食通として知られている、文豪の池波正太郎さんが好んだと言われている、トンカツのレシピをご紹介します。
「カミカツ」です。
「紙のように薄い」という意味のトンカツで、昭和6年創業の人気老舗洋食店「たいめいけん」の、創業当時からの人気メニューです。
これからご紹介するレシピは、同店の三代目・茂出木浩司シェフが、家庭でも手軽に作れるように、少しアレンジを加えています。
ほろほろっとした柔らかい食感の、風味豊かなトンカツが作れますよ。
(一部情報元:フジテレビ「ノンストップ!」2017年1月30日放映)
カミカツの作り方
「カミカツ」のレシピです。
レシピの全工程は、後ほど写真をもとに説明します。
豚ロース肉トンカツ用 | 2枚(約200g) |
塩・コショウ | 適量 |
薄力粉 | 適量 |
オリーブオイル | 適量 |
バター | 大さじ1 |
溶き卵 | 1個分 |
パルメザンチーズ | 6g(大さじ1) |
パン粉 | 150g |
パセリみじん切り | 小さじ1 |
トマトケチャップ | 大さじ4と1/2 |
中濃ソース | 大さじ3 |
粒マスタード | 大さじ1 |
ハチミツ | 大さじ1 |
- 豚肉は筋切りし、ラップを上からかぶせ、鍋の底などで叩いて5ミリくらいの厚さに伸ばす。
塩・コショウをし、薄力粉をまぶし、Aを混ぜたものにくぐらせ、さらにBを混ぜたものをまぶす。 - フライパンに1〜2センチくらいのオリーブオイルを入れ、170度に温める。
1を加え、ヘラで押し付けながら中火で揚げる。
両面がキツネ色になったらバターを加え、バターを溶かした油をお玉でかけながら、豚肉に均一に火を通す。 - ソースの材料すべてを混ぜる。
- 2を食べやすい大きさに切り、3をかけたらできあがり。
写真をもとに、レシピを説明します。
カミカツの作り方
【工程1】
まず豚肉の下準備をします。
豚肉は筋切りしてラップをかぶせ、上から鍋の底などで叩き、5ミリくらいの厚さになるまで薄く伸ばします。
力を入れて豚肉を思い切り叩くと、すぐに5ミリくらいになりますよ。
豚肉は叩いて薄く伸ばすと、食感が柔らかくなります。
ちなみにたいめいけんでは、鍋の底ではなく、肉叩きを使って薄く伸ばしているそうです。
次に、薄くなった豚肉に衣をつけます。
まず塩・コショウをし、薄力粉をまぶします。
そしてA(卵・パルメザンチーズ)を混ぜたものにくぐらせ、B(パン粉・パセリみじん切り)を混ぜたものをまぶします。
ちなみにパン粉の量は、少し多めのレシピになっています。
トンカツの衣には、パルメザンチーズとパセリを混ぜ、コクと風味をプラスします。
【工程2】
続いて、トンカツを揚げます。
フライパンに1〜2センチくらいのオリーブオイルを入れ、170度に温めます。
ちなみに170度を見極めるには、パン粉を少量加えるといいですよ。すぐにきれいに散ったら170度です。
そして衣をつけた豚肉を入れ、ヘラで押し付けながら中火で揚げます。
両面がキツネ色になったらバターを加え、バターを溶かした油をお玉でかけながら、豚肉に均一に火を通します。
トンカツをヘラで押し付けながら揚げると、衣と豚肉に一体感が出ます。
またトンカツが揚がる直前に、揚げ油にバターを溶かして加えると、コクが出てよりいっそう美味しくなります。
豚肉を薄く伸ばして揚げると、揚げ油の節約になり、揚げ時間の短縮にもなります。
このトンカツはすぐに揚がるので、揚げ過ぎに注意です。
いつも通りにじっくり揚げてしまうと、かえって豚肉が硬くなってしまいます。
【工程3・4】
揚がったカツを食べやすい大きさに切り、ソース(材料すべてを混ぜたもの)をかけたらできあがり。
口の中に入れると、ほろっと崩れるような、柔らかい食感のトンカツが出来ます。
チーズのコクとパセリの風味がほのかに感じられ、豚肉の旨味が引き立ちます。
またけっこうボリュームがあります。
厚みはありませんが、その代わりに表面積が大きく見えるので豪華です。
豚肉を薄く伸ばしてカツにすると、食感が柔らかくなるだけでなく、揚げ油が少量で済んだり、また揚げ時間の短縮にもなります。
この「カミカツ」は、池波正太郎さんが好んだお料理として話題性があるだけでなく、簡単・節約・時短の三拍子が揃った、すごくいいレシピですよ。
ところで、たいめいけんの料理を好み、同店に足繁く通っていたという池波正太郎さんは、「薄いカツレツでないと、本当のカツレツでない」(池波正太郎の食卓より)と、トンカツの厚みにこだわりをお持ちだったようです。
同店の2代目・茂出木雅章シェフが作った紙のように薄い「カミカツ」を、好んで召し上がったそうですよ。