サイゲン大介こと、お笑いコンビ うしろシティの阿諏訪泰義さんが考案した、ハンバーグのレシピをご紹介します。
ハンバーグの名店「ミート矢澤」の再現レシピです。
高級黒毛和牛を使った同店の人気ハンバーグを、安い外国産のひき肉で作ります。
ちなみに上の写真は、本物の「ミート矢澤」のハンバーグ。
お店の前には、毎日のように長蛇の列ができますが、1時間ほどかけて私もいただいたことがあります。
ミート矢澤のハンバーグは、最高級黒毛和牛A5ランクをメインに使用しており、プロ仕様のスチームオーブンを使って、極めて強い火力で一気に焼くことで、旨味や肉汁を余すこと無く閉じ込めた逸品です。
ちなみにサイゲンさんは、ご自身のハンバーグについて、「本物とくらべると、肉の甘みや弾力がまったくかなわない」とおっしゃっています。
実際に私も作ってみて、ミート矢澤のまったくクセのない上品な味を再現するのは難しいと思いました。
でもサイゲンさんのハンバーグは、安いひき肉で作ったとは思えない本格的な味に仕上るので、家庭料理のレシピとしては超おすすめです。
ほろほろっと砕けるような柔らかさと、複雑な旨味を合わせ持った、美味しいハンバーグですよ。

ちなみにサイゲンさんは元プロの料理人で、料理本「リストランテasuwa」の著者でもあります。
(一部情報元:日本テレビ「あのニュースで得する人損する人」2017年2月23日放映)
ハンバーグの作り方
ミート矢澤の「ハンバーグ」の再現レシピです。
レシピの全工程は、後ほど写真をもとに説明します。
◎牛ひき肉 | 150g |
◎牛脂 | 10g |
◎生甘酒(※) | 20ml |
◎玉ネギ(すりおろしたもの) | 10g |
◎マヨネーズ | 10g |
◎塩 | 少々 |
◎コショウ | 少々 |
◎わさびチューブ | 2g |
◎水 | 10ml |
グレープフルーツゼリー(果肉なし) | 10g |
サラダ油 | 小さじ1 |
玉ネギ(すりおろしたもの) | 30g |
ショウガ(すりおろしたもの) | 1g |
醤油 | 20ml |
焼肉のタレ(甘口) | 25ml |
ウーロン茶 | 10ml |
※甘酒は、米麹から作られた、加熱処理をしていないものを使用するレシピになっています。
でも加熱処理をしたもの(市販品の殆ど)でも、代用できると私は思いました。比較してみたところ、味はまったく変わりませんでした。
詳しくは、下の文中【工程1】をご覧ください。
- 牛脂は電子レンジ(600w)で10秒加熱して溶かす。ワサビは水(10ml)で溶く。
手を氷水につけて冷やし、冷やした手袋をはめ、◎の材料すべてをボールに入れ、手早く混ぜる。
ボールにラップをかぶせ、冷蔵庫で10分寝かせる。 - 1にグレープフルーツゼリーを加え、再び手を氷水につけて冷やし、冷やした手袋をはめ、手袋にサラダ油(適量)を塗り、手早く混ぜて成形する。
- 中火よりも少し弱めの火でフライパンを熱し、サラダ油を引き、フタをして片面を4分焼く。ひっくり返してフタをし、もう片面を3分焼く。
火を止めてそのまま3分蒸らす。 - 【ソースを作る】ソースの材料すべてを耐熱ボールに入れ、電子レンジ(600w)で1分加熱する。
- 3を皿に盛り、4を添えたらできあがり。
写真をもとにレシピを説明します。
ハンバーグの作り方
【工程1】
最初にハンバーグのタネを作ります。
まず牛脂を耐熱容器に入れ、電子レンジ(600w)で10秒加熱して溶かします。(10秒だと加熱時間が少し短いかもしれません。その場合は、もう少し時間を長くして、完全に溶かしてください。)
そしてワサビを水(10ml)で溶いておきます。
次に上のレシピの◎の材料すべてをボールに入れ、手で混ぜます。
ただし、手の体温でタネの脂を溶かさないために、ひと手間かけます。
手を氷水で冷やし、さらに冷やした手袋をはめ、タネを手早く混ぜます。
タネが混ざったら、ボールにラップをかぶせ、冷蔵庫で10分寝かせます。
ハンバーグのタネには、牛脂・生甘酒・ワサビを加えます。
牛脂を加えると、肉のパサつきを抑えることができます。
また生甘酒を加えると、旨味が加わります。
さらにワサビを入れると、肉の臭みを消すことができます。
ちなみに甘酒は、米麹から作られた加熱処理をしていない「生甘酒」を使うレシピになっています。
情報元のテレビ番組によると、「生甘酒」には、旨味成分のアミノ酸を生成する「プロテアーゼ」という酵素が含まれており、この酵素の働きで、ハンバーグの旨味がアップするとのこと。
加熱処理された甘酒には「プロテアーゼ」が含まれていない(酵素は熱に弱い)ので、その効果が期待できないという説明でした。
ですが、実際に「生甘酒」と生甘酒を加熱処理した「普通の甘酒」の2種類の甘酒を使ってハンバーグを作り、食べ比べてみたところ、味はまったく変わりませんでした。
人間が感じないレベルの違いはあるかもしれませんが、甘酒を加えてタネを置く時間はたったの10分なので、明らかな差は出ません。
(ただし甘酒自体の甘みや旨味は、ちゃんとハンバーグに活かされていたので、「プロテアーゼ」の働きによる味の違いが確認出来なくても、甘酒を加える意味はあると思います。)
「生甘酒」は、有名デパートで目にすることも稀な、入手しにくい食材です。
加熱処理をしていないため、品質が不安定で劣化しやすく、商品としては殆ど出回っていません。
(ちなみに8時間ほどかければ、生甘酒は手作りすることができます。おすすめレシピはこちらです。)
そんな「生甘酒」を「普通の甘酒」で代用できるだけでも、このハンバーグのレシピの使い勝手が、グッと上がると私は思います。
さて、ハンバーグの話しに戻ります。
ハンバーグのタネをこねる工程には、あともう1つポイントがあります。
タネをこねる際には、手を氷水で冷やし、冷やした手袋をはめます。
手の体温で、牛肉の脂が溶け出るのを防ぐためです。
このハンバーグは、タネをこねる時に、ひと手間かけるレシピになっています。
少し面倒ですが、肉の脂は、実はけっこう低い温度で溶けてしまうようです。
ちなみに、弱火調理を提唱する水島弘史シェフによると、肉は意外とデリケートで、30度くらいで早くも熱が入ってしまうそうです。
水島シェフは、ハンバーグのタネをこねる時に、手ではなく「すりこ木」を使います。(詳しくはこちらをご覧ください。)
手を冷やすのも「すりこ木」を使うのも、面倒といえば面倒ですが、こだわる方は細心の注意を払います。
どちらも、牛肉の脂を溶け出させない工夫です。
【工程2】
さて、タネを冷蔵庫に10分入れたら、今度はそれにグレープフルーツゼリーを加え、再び手を氷水につけて冷やし、冷やした手袋をはめ、手袋にサラダ油(適量)を塗り、手早く混ぜて成形します。
ハンバーグのタネには、ゼリーを混ぜ込みます。
ゼリーに含まれるゼラチンには、保水力があるので、肉汁を抱きかかえてくれます。
またゼリー自体も肉の中で溶けるため、肉汁たっぷりのハンバーグに仕上がります。
ゼリーにもいろいろな味がありますが、サイゲンさんによると、グレープフルーツが1番おすすめだそうです。
肉の味を邪魔しない上に、ほんのり苦味があって味に深みが出るとのことですよ。
【工程3】
ハンバーグを成形したら、フライパンで焼きます。
中火よりも少し弱めの火でフライパンを熱し、サラダ油を引き、ハンバーグをのせます。(上の写真は、レシピの倍量:2人分を一度に調理しています。)
そしてフタをして片面を4分焼きます。
4分経ったらひっくり返し、再びてフタをして、もう片面は3分焼きます。
最後に火を止めて、そのまま3分蒸らします。
ハンバーグは、フタをして焼き、最後に余熱で火を通すと、肉汁を閉じ込めることができます。
【工程4】
ハンバーグの火を止めたら、ソースを作ります。
ソースの材料すべてを耐熱ボールに入れ、電子レンジ(600w)で1分チンするだけです。
【工程5】
ハンバーグを皿にのせ、ソースを添えたらできあがり。
肉汁たっぷりで、ホロっと崩れるくらい柔らかいハンバーグが完成します。
ミート矢澤の肉のくどさがまったくない上品な味のハンバーグとはまた違いますが、複雑な旨味が感じられる、本格的な肉々しいハンバーグです。
玉ネギの辛味を効かせた、さっぱりとしたソースがよく合いますよ。