
親子丼の超おすすめレシピをご紹介します。
フレンチのシェフ水島弘史さんが考案した「水で作る親子丼」です。
だしの代わりに水を使った親子丼で、素材の旨味が引き立つ、味わい深い一品が出来ます。
卵はふわふわとろとろで、鶏肉はしっとりジューシーですよ。
調理時間は25分です。

ちなみに水島さんは、科学的な視点に基づいた「低温調理法」を家庭料理にいかす方法を提案している方で、その斬新な調理法は、テレビなどでもよく話題になります。
(一部情報元:TBSテレビ「サタデープラス」2017年7月22日放映)
親子丼の作り方

「水で作る親子丼」のレシピです。
調理のポイントは2つあります。
1つめは、鶏肉と玉ネギをあらかじめ下茹ですること。
レシピ通りに下茹ですると、鶏肉はしっとり柔らかくなり、玉ネギは程良いシャキシャキ感が残ります。
そしてどちらも、味が中までしっかり染みます。
ひと手間かけて鶏肉と玉ネギを下茹でする効果は絶大ですよ。
2つめは、卵と調味料(割り下)を先に混ぜてしまうこと。
卵と調味料を合わせてから火を通すと、失敗せずにふわとろ卵が作れます。
なおレシピの全工程は、後ほど写真をもとに説明します。
鶏もも肉 | 160g |
玉ネギ | 60g |
三つ葉 | 10g |
日本酒 | 40g |
水 | 60g |
塩 | 1g |
醤油 | 15g |
砂糖 | 16g |
卵 | 4個 |
ご飯 | 2杯分 |
水 | 適量 |
塩 | 水の3% |
- 鶏肉は小さめの一口大に切る。玉ネギは5ミリ幅に切り、三つ葉は軸と葉に分け、軸を2センチの長さに切る。卵をボールに入れて溶く。
- 【鶏肉の下茹で】冷たい状態のフライパンに鶏肉が浸るくらいの水を注ぎ、水の重量の3%の塩を加えて混ぜる。
フライパンの底にキッチンペーパーを敷き、その上に鶏肉を並べる。
フライパンを弱火〜弱めの中火にかけ、5分ほどかけて75度まで温度を上げる。(75度の目安は、アクが出て茹で汁が濃く濁り、フライパンの底が見えなくなった頃。温度計を使う必要はありません。)
75度になったら弱火で1分加熱し、火を止めてそのまま5分置き、余熱で火を通す。
鶏肉を少し切り、中まで火が通っているか確認し、キッチンペーパーの上に取り出す。 - 【玉ネギの下茹で】フライパンに玉ネギが浸かるくらいの湯を沸かし、玉ネギを加え、沸騰を保ちながら2分茹でる。キッチンペーパーの上に取り出す。
- フライパンに酒を入れて中火にかけ、1分ほどかけてアルコールを飛ばす。いったん火を止める。
水(60g)・塩・醤油・砂糖・溶き卵を加えて軽く混ぜ、2・3・三つ葉の軸を加え、弱火〜弱めの中火にかける。
ヘラで2〜3分ほどゆっくり混ぜながら全体に火を通す。
フライパンの底が見えるようになったら火を止め、三つ葉の葉をのせ、フタをして1〜2分蒸らす。 - ご飯を丼に盛り、4をのせたらできあがり。
写真をもとに、レシピを説明します。
水島流親子丼の作り方

【工程1】
まず食材を切ります。
鶏肉(160g)は小さめの一口大に、玉ネギ(60g)は5ミリ幅に切ります。三つ葉(10g)は軸と葉に分け、軸を2センチの長さに切ります。(写真右)
そして卵(4個)を溶いておきます。(写真左)

【工程2】
次に鶏肉を下茹でします。
まず冷たい状態のフライパンに鶏肉が浸るくらいの水を注ぎ、水の重量の3%の塩を加えて混ぜます。
ちなみに3%の塩の量は、水を500ml使う場合は、塩大さじ1です。
かなり多めの塩が入ります。
続いてフライパンの底にキッチンペーパーを敷き、その上に鶏肉を並べます。(上の写真)
フライパンにキッチンペーパーを敷く理由は、水島さんは何もおっしゃっていませんでしたが、たぶん鶏肉の温度を均一に保つためです。
鶏肉がフライパンに接触する部分は温度が上がりやすいので、キッチンペーパーでワンクッション置くということだと思います。

鶏肉を水に浸したら、フライパンを弱火〜弱めの中火にかけ、5分ほどかけて75度くらいまで温度を上げます。(上の写真)
この工程は温度計があったら便利ですが、無くても大丈夫。
水島さんによると、水温が75度くらいになった目安を抑えるだけでOKだそうです。
75度の目安は、鶏肉からアクが出て、茹で汁の濁りが濃くなり、フライパンの底が見えなくなってきた頃。この頃になると薄っすら湯気も出てきます。
ちなみに上の写真は、ちょうど75度の様子です。茹で汁の濁り具合を参考にしてください。
75度くらいになったら、そこから弱火で1分加熱し、火を止めます。
そしてそのまま5分置き、余熱を使って鶏肉に火を通します。
5分経ったら、鶏肉を少し切って中まで火が通っているか確認し、キッチンペーパーの上に取り出します。
鶏肉はあらかじめ下茹でします。
冷たい塩水に鶏肉を浸し、75度くらいの低温で加熱して、余熱で火を通すと、味が入りやすくなり、柔らかく仕上がります。また臭みも無くなります。
水島さんによると、鶏肉のタンパク質は60度前後から固まり始め、70度前後で水分や旨味が外に出始めます。
75度で鶏肉を加熱すると、旨味をなるべく逃すことなく、しっとりジューシーに仕上げることができるそうです。
この段階で鶏肉にはある程度味が付き、後で加える調味料との味馴染みも良くなります。

【工程3】
次に玉ネギを茹でます。
フライパンに玉ネギが浸かるくらいの湯を沸かし、玉ネギを加え、沸騰を保ちながら2分茹でます。
そしてキッチンペーパーの上に取り出します。
玉ネギは、他の具材とは別に2分だけ下茹でし、後で合わせます。
玉ネギをさっと茹でると、細胞が壊れやすい状態ができるので、味が染み込みやすくなります。
また程良いシャキシャキ感も残ります。

【工程4】
最後に具材を卵でとじます。
まずフライパンに日本酒(40g)を入れて中火にかけ、1分ほどかけてアルコールを飛ばします。
そしていったん火を止めます。

火を止めたら、水(60g)・塩(1g)・醤油(15g)・砂糖(16g)・溶き卵を加えて軽く混ぜ、工程2で茹でた鶏肉・工程3で茹でた玉ネギ・三つ葉の軸を加えます。(上の写真)
そして弱火〜弱めの中火にかけます。

2〜3分ほどヘラでゆっくり混ぜながら全体に火を通すと、フライパンの底が見えるようになります。(上の写真)
ここで火を止めます。
そして三つ葉の葉をのせ、フタをして1〜2分蒸らします。
卵は調味料と混ぜてから火を入れます。
卵と調味料を先に混ぜると、ふわとろな卵を失敗せずに作ることができます。
卵の固まり具合は、お好みで調整してください。

【工程5】
ご飯を丼に盛り、卵とじをのせたらできあがり。
この親子丼は、鶏肉と玉ネギの下茹でを済ませてしまえば、あとは卵を合わせるだけなので、家族が別々に帰って来るような時間差にも対応できます。

この親子丼は、卵がふわふわとろとろで、鶏肉と玉ネギの食感が良く、素材の味がしっかり感じられます。
ひと手間かけて鶏肉と玉ネギを下茹でする効果は絶大ですよ。
鶏肉は中まで塩味がしっかり染みていて、旨みが濃く感じられます。
ごく普通の親子丼は、具材も卵も同じ割り下の味がして全体的にのっぺりしていますが、この親子丼は、調和した全体感がある中で、鶏肉の存在感もはっきり出ます。
また玉ネギも良い仕事をしています。
シャキシャキとした歯応えで良いアクセントを提供しつつも、他の具材との味馴染みもバッチリです。
味と食感に奥行きがある、とても美味しい親子丼が出来ます。