やまでら くみこ のレシピ

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「彩色されたサンゴの死体」に出会う旅。

投稿日:2010年7月29日 更新日:

オーストラリアの著述家ドナルド・ホーンは、旅行のことを「聖なる祝祭」と表現しています。
「聖なる祝祭」、あまり聞きなれない言葉ですが、どのような意味なのでしょうか。
ドナルド・ホーンは、その著書のなかで次のように述べています。

旅行という聖なる祝祭は、そこで私達が出会った生命のない事物をモニュメントに変えてしまう。そのモニュメントは、まるで彩色されたサンゴの死体のようだ。

ちょっとわかりづらい表現ですが、旅先で記念写真を撮る時のことを思い浮かべると、なるほどと思います。

記念写真を撮るということはつまり、バックに映る事物をモニュメント(記念碑)に変える行為なのではないでしょうか。
そして、事物は本来の姿(=生きたサンゴ)を失い、モニュメント(=死んだサンゴ)として写真に収まる。

ドナルド・ホーンはそうしたことを指摘しているように思います。

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ヨーロッパに横たわるサンゴの死体たち

彼は、モニュメントの例としてヨーロッパの建築物をいくつか挙げています。

パルテノン神殿

西洋文明を賛美するための廃墟として建てられたのではない。
パルテノン神殿

セゴビアの水道橋

ローマ人の力のモニュメントとして建てられたのではない。
セゴビアの水道橋

聖ソフィア大聖堂

ビザンチン文化を記念して建てられたのではない。
聖ソフィア大聖堂

ケルン大聖堂

中世を記念して建てられたのではない。
ケルン大聖堂

メディチ・リッカルディ宮殿

ルネサンスを記念して建てられたのではない。
メディチ・リッカルディ宮殿

ドナルド・ホーンは、著書「博物館のレトリック」の中で、こうした例を挙げながら、「ヨーロッパ諸国はそこを訪れる観光客に何を吹き込もうとしているか?」ということを解き明かしています。
とても興味深い本ですよ。

日本のモニュメント

ところで、このような例は日本の中にも見い出すことが出来ますね。パッと思いつくものを挙げてみます。

法隆寺

世界最古の木造建築として賞賛されるために建てられたのではない。
法隆寺

合掌造りの家屋

日本の代表的伝統家屋として建てられたのではない。
合掌造り

銀閣寺

東山文化を記念して建てられたのではない。
銀閣寺

姫路城

世界遺産として褒め称えられるために建てられたのではない。
姫路城

東大寺

世界最大の木造建築として賞賛されるために建てられたのではない。
東大寺

私たちは、これらがかつて「生きたサンゴ」であったことを置き去りにして、「彩色されたサンゴの死体」として記念写真におさめていたのかもしれません。
なんだか置き去りにしてしまったものが気になってきました。

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