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「和魂洋才」にみる精神分裂病質

投稿日:2010年8月4日 更新日:

心理学者の岸田秀さんは、1853年のペリー来航から現在に至るまでの日本国民の心理を分析して、精神分裂病的であるといっています。これが書かれたのは75年ですが、内容はそのまま今にも当てはまりそうです。過去の日米戦争は精神分裂病の発病であり、現在はその寛解期にあたると説明しています。
岸田さんは、日本国民の精神分裂病質がつくられたきっかけとして、明治期の「和魂洋才」というスローガンを挙げ、「和魂」という内面的自己と「洋才」という外面的自己との使い分けという防衛機制が、精神分裂をもたらしたといっています。今までなんとなく使ってきた「和魂洋才」とは、実はよく分からない言葉です。ウイキペディアでは以下のように説明されています。

「和魂洋才(わこんようさい)とは、日本古来の精神世界を大切にしつつ西洋の技術を受け入れ、両者を調和させ発展させていくという意味の言葉である。」

西洋の技術には、しかしながら西洋の精神が宿っているのであり、それを日本の精神と調和させるというこの言葉には、和と洋がほとんど強引にくっつけてられています。それをスローガンにする精神状態には、確かに精神分裂症的なものを感じます。

「外的自己と内的自己とが生き生きとした統一関係にあってこそ、言いかえれば外的自己が内的自己のありのままの自発的表現であり、かつ内的自己が外的自己の行動を自分の主体的意志に発し、自分が決定でき、自分に責任がある行動であると実感していてこそ、人格の統一性、自己同一性は保たれるのである。」

和魂洋才をもとにして考えると、この状態は、「和魂和才」という言葉で表せるように思います。著者は、和魂和才でやってゆけないところに近代日本の悲劇があったと言っています。
ところで、和魂洋才は、平安時代からある「和魂漢才」をもとにつくられた言葉です。著者の岸田さんは、近代以前の日本と中国の関係は気ままな関係であり、ペリー来航時のアメリカとの強制的な関係とは異なるとしています。そうだとすれば、和魂洋才と和魂漢才は同様な響きを持つ言葉ではありますが、その言葉がつくられた当時の意味は全く違うのかもしれません。しかしどちらにしても和魂和才ではなかったのです。日本が他国との関係を意識する上で、和魂和才であったことは、実はなかったのかもしれません。

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