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大衆消費財としての日本文化論

投稿日:2010年8月5日 更新日:

私は、日本人だからか日本文化論が好きです。でも、この本を読んでしまうと、それらの魅力は色褪せてしまうように思います。世にある日本文化論を俯瞰してみるようなこの本の視点は、著者の生い立ちから生まれたのかもしれません。アメリカ在住の文化人類学者のハルミ・ベフはアメリカ生まれですが、少年期は日本で過ごしており日本の教育も受けた人です。
彼はこの本の中で、日本文化論は「大衆消費財」であると言っています。それは学問ではなく、衣類や車と同じだと言っているのです。分かりやすく学問と文化論の違いを箇条書きにしてみます。(著者は、普通の学問のことを「象牙の塔の学問」と表現しています。それは、”学術専門雑誌に載せるような”という意味だそうです。これについては後ほど説明します。)


象牙の塔の学問は・・
過去の貢献を土台として新しい理論が構築され展開される。
文化論は・・
理論的積みかさねがほとんど見られない。


象牙の塔の学問は・・
議論の理論性についてやかましい。
文化論は・・
エッセイ風に話が発展し、論理の構築にはならない。


象牙の塔の学問は・・
真理が先行する。
文化論は・・
真理の要求はそれほど強くない。(むしろそこに望まれているのは真理ではなく、”世界に誇れる自画像”であると言っている。)


象牙の塔の学問は・・
学者間相互の意見交換があり、議論に対する反論があり、対話によって成り立っていく。その対話がお互いの理論的貢献をひいてはそれの進歩を可能にする。
文化論は・・
知識の蓄積が比較的少ない。一個一個の文化論が独立し、他の文化論と関連のない場合が多い。意見の交換、討論の代わりに、著者から一方的に情報ないし知識が読者に提供される。

なぜ著者が「象牙の塔の学問」という言い回しを使っているのかというと、「普通の学問」のような曖昧な言い方や、学問という言葉の中にある”純粋の学問”とか”真理探究の学問”のような学問の優位性を感じさせる響きをさけるためです。
しかし、そんな配慮をしても、ここからは、依然として学問の優位性が読み取れるように思います。著者は、そんな学問にはなれない文化論に、研究対象としての価値を見い出しているようです。

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