やまでら くみこ のレシピ

人気レシピの作り方を分かりやすく紹介します。

杉本博司の護王神社。この神社に直島の神は宿るのか?

投稿日:2010年9月23日 更新日:

直島 瀬戸内国際芸術祭

瀬戸内国際芸術祭の開催地である直島で、「家プロジェクト」というアートプロジェクトが展開されています。
これは、直島の民家にアートを点在させる試みで、空き家を改修して空間そのものをアート化させようとするものです。

その「家プロジェクト」の中に、とても気になった作品がありました。
それは、杉本博司さんの「アプロプリエイト・プロポーション」です。直島・本村地区にある護王神社を、杉本さんの設計をもとに再建した作品です。

スポンサーリンク

アートによる神社の再建

杉本さんは再建にあたって、次のように述べています。

この神社は「村落共同体の要」であり、神社を再建することは神様をいじることだから、それなりの覚悟を持って当たらなければならないと思った。とはいっても、ただ再建するだけではつまらない。これは家プロジェクトであり、アートである。

タイトルの「アプロプリエイト・プロポーション」とは、「神域にふさわしい比率」という意味のようです。神社の拝殿(冒頭写真:手前の建物)は、伊勢神宮の中でも一番古い形式が残っている瀧原宮(たきはらのみや)の全体の比率をもとにつくられたそうです。

杉本さんは、この作品のコンセプトについて次のように語っています。

護王神社の発想の起点となったのは、いちばん古様の神社である伊勢神宮が形成される過程で、伊勢神宮よりももっと古い形式があったはずだということ、そしてそれがどのような形であったのだろうかと考えることでした。

・・天皇制が確立して、伊勢神宮に神が祀られることになったわけですが、それ以前、古墳時代には豪族が群雄割拠している時代がずっと続いていました。九州をはじめとして日本中に豪族が古墳をつくって、古墳の巨大さで勢力を競う。その中でいちばん有力な長として天皇家が全国を制覇して、古事記、日本書紀が編纂され、国家神道として伊勢神宮が整備されました。

が、その直前の40〜50年の間に、古墳が急につくられなくなっているんです。だから、何らかの古墳禁止令のようなものが出たのではないかとぼくは想像しました。何の記録も残ってはいないんですがね。

古墳時代から天皇制の成立までの100年ほどの過渡期に、古墳もありながら神社もあった、そういう形式も考えられるのではないか・・・。

ということで、護王神社には、石室の上に神社をつくりました。実際、古墳の跡に神社が建っている例は、九州などにはたくさんあります。

石室の上に立つ神社

直島 瀬戸内国際芸術祭
左:本殿、右:拝殿 地下の石室と本殿はガラスの階段で繋がっている。

再建された護王神社は一見神社のようですが、地下に石室があるため古墳のようでもあります。さらに拝殿の床は巨大な一枚岩になっていて、磐座(いわくら)を連想させます。そこには、神道以前からあったと思われる神の存在を顕在化させるための様々な場が混在しています。

このような神社は、アートとでも言わなければつくることが出来ないのかもしれません。
杉本さんのこの作品は、神社とは何か、神域とは何か、そんなことを考えさせるものであり、とても興味深いものです。

しかし、それと同時に、直島の人々の目にこの神社がどのように映るのか気になるところです。
この神社は、「村落の共同体の要」としての機能を持ち続けているのでしょうか。

島外から持ち込まれた依り代

ところで、神社の多くは、古代神道における磐座(いわくら)・神籬(ひもろぎ)信仰のあった場所に建てられているということです。
ですから神社は真にその土地に根ざした建築物と言えると思いますが、杉本さんは、拝殿の床の一枚岩をわざわざ島の外(岡山県の万成山)から探し出してきたそうです。神社のある場所に後から依り代が置かれるというのは、普通の神社の成り立ちから言うと全く逆の行程を踏んでいます。それは今までにない試みという意味で面白いとも言えるのかもしれません。でも、岡山から切り出してきた磐座(いわくら)のある神社を、直島の人々は自分たちの村の神社だと捉えることが出来るのでしょうか。

何を神の依り代と感じるかは、時代とともにどんどん変化しています。
現在の私たちの生活の中では、巨石や巨木より、その代替としての神社や神具としての榊などの方が、より分かり易い存在であるかもしれません。そう考えると、土地に根ざすものではなく可動な依り代を村落の外から持ってくることの何が悪いのかとの考えも浮かびます。でも、その行為はそれ程意味のあることなのでしょうか。

杉本さんのこの作品には、本当に色々と考えさせられます。

スポンサーリンク

関連記事

直島のベネッセハウス「ミュージアム」を予約しました。安藤忠雄さんのコンクリート打ちっぱなしホテル。

9月に瀬戸内国際芸術祭に参加してきます。 今日は、安藤忠雄さんのが設計した直島のホテルを予約をしました。

no image

アートとしての「空気神社」・「原子力神社」の存在意義?鎌田東二さんのお話から?

 先日横浜で行われた「戦争とアート」と題された討論会で、フリーランス神主の鎌田東二さんから山形県の「空気神社」のお話しを伺いました。 「空気…

ローコストだからいい建築 <瀬戸内国際芸術祭報告6>

家プロジェクト:川俣正さんの廃材でできた島 日本の美術館の問題点について建築家の安藤忠雄さんは、”美術館というハコにかかる費用が多すぎて展覧…

直島の住民から見た瀬戸内国際芸術祭。

直島の地中美術館やベネッセハウスの設計を手がけた建築家の安藤忠雄さん。 彼が初めて直島を訪れたのは1988年のことだそうです。いまから20年…

直島の地中美術館に感動しました! 美術館全体が収蔵作品を上手に引き立てています。

直島の地中美術館、とても素晴らしかったです。 おそらく世界中を探しても、これほど緊張感のある美しい美術館は、あまりないのではないでしょうか。

ピックアップ記事

ジャクソン・ポロックのドリッピングを科学する。

ジャクソン・ポロックが描いた「ドリップ・ペインティング」は、一見、子供…

村上隆のゲルニカ。「五百羅漢図」

村上隆さんの大規模な回顧展「Murakami-Ego」が、2月9日から…

コンクリート製「トリュフ」に暮らす(建築家:アントン・ガルシア=アブリル)

天然の岩の内部をくりぬき、そこに窓を設置したかのような構造物。これは、…

ロッククライマーがつくる彫刻  ダグ+マイク・スターンの「ビッグ・バンブー」

写真をご覧ください。木材を積み上げてつくられた、巨大な鳥の巣のような構…

音が描く模様。聞こえない音の視覚的な美しさ by カールステン・ニコライ(Carsten Nicolai)

子どもの頃、私は、雷が大嫌いでした。降りしきる雨の中、突然に光る空、そ…

セザンヌの絵が解き明かす、現代の脳科学

画家セザンヌが生きた19世紀、人間の感覚は、外の世界のありのままの姿を…

刺青から紐解く炭鉱夫の恐怖。山本作兵衛の世界

2011年5月、画家山本作兵衛の絵が、日本で初めて世界記憶遺産に登録さ…

地中美術館の「モネの一室」が素晴らしい。オランジュリー美術館との比較。

「睡蓮」によって大装飾空間をつくり出す。 晩年のモネのそうした構想をも…

杉本博司の護王神社。この神社に直島の神は宿るのか?

瀬戸内国際芸術祭の開催地である直島で、「家プロジェクト」というアートプ…

モノに喋らせる。皿が泳ぐプール。 by セレスト・ブルシエ=ムジュノ(Céleste Boursier-Mougenot)

20世紀のアメリカで活躍した美術家、マルセル・デュシャンは、当時のアー…

サイト内を検索

このブログについて

このブログは、鎌倉在住の主婦が綴るレシピサイトです。

これは皆んなでシェアしないともったいない!と思った事柄を記事にしています。

最近の話題は、こんな感じです。

  1. 人気の簡単料理のレシピ
  2. 夕食やお弁当の節約献立
  3. 忙しくてもラクチンな作り置き
  4. 無理なく続けられるダイエットレシピ
  5. 食材の基本的な調理法や保存方法