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エドワード・W・サイード後の「オリエンタリズム」

投稿日:2010年12月23日 更新日:

オリエンタリズム(上)
オリエンタリズム(下)

”ヨーロッパのオリエンタリズム?ドラクロアからカンディンスキーまで?”と題した展覧会がブリュッセルのベルギー王立美術館で開催されています。この展覧会では、エドワード・W・サイードによって示されたオリエンタリズムの定義が、その後どのような展開をみせているか注目されているようです。

パレスチナ系アメリカ人の文学研究者エドワード・W・サイードの名著『オリエンタリズム』は、1978年に出版されました。この本におけるオリエントとは、主に中東のことを指しますが、それは、彼自身がパレスティナとエジプトで幼少時代を過ごしたことと無関係ではないようです。
サイードはこの著書の中で、西ヨーロッパの抱いた退廃的で異国情緒のある中東のイメージは、西洋の政治・経済・文化の侵略主義と密接な関係をもっていると指摘しました。そして、中東を不気味なもの異質なものとして規定することで自らの優位を正当化した西洋の姿勢を批判しています。オリエンタリズムとは、もともと東洋趣味ほどの意味しかもたない言葉でしたが、サイードによって、西洋の東洋に対する思考様式と定義されました。
『オリエンタリズム』の出版から今年で23年が経ちましたが、彼のそのような政治社会学的側面からのアプローチに対しても、様々な議論がなされるべきでしょう。カタールミュージアムの館長であるSheikha Al Mayassa bint Hamad bin Khalifa Al-Thani氏は、
「たとえ『オリエンタリズム』の見解が一般的に、西洋からの東洋の眺めとして理解されているとしても、そこにはまだ調査し新たに認識する余地があると思う。『オリエンタリズム』が私達にもたらした歴史観を疑ってみることも、さらなる議論や熟考のためには必要なことだ。」と語っています。

もっとも最近では、自然なかたちで、新しいオリエンタリズムの解釈が生まれてきているようです。
世界のアートマーケットでは、オリエンティスト(西洋美術史における東洋通という意味です。)の絵画の価格が急騰しているということです。投資目的の売買もされる中、この価格の上昇がいったいどれ程絵画自体の評価に繋がっているのかは分かりません。けれども、それらの主な買い手である中東のコレクターは、オリエンタリストの絵画に対して、ポスト政治学的な、あるいはもう少し絵画的なニュアンスを持った解釈を好む傾向があるということです。
また、単に歴史的なことだけに言及されがちだったそれらの絵画は、そのもの自体の美しさにも目を向けられるようになったようです。

今回の展覧会は、ブリュッセルからミュンヘン、マルセイユとヨーロッパを巡回します。”東洋はモダニストの革命のもとを発生させた。”との考えがこの展覧会には込められており、カンディンスキー、マティス、マッケも”オリエンタリズムとモダニズムの眩惑的な接点の物語を描いた。”と高く評価されました。しかし、ミュンヘン・マルセイユでは彼らの作品が見られるものの、ブリュッセルでは、カンディンスキーはたったの一枚しか展示されておらず、マティスやマッケの作品に至っては全く見ることが出来ないということです。ブリュッセルでは、彼らのオリエンタリストとしての業績がまだ十分評価されていないようです。

Acording to “Orientalism (1978) “written by Edward Said, European fantasies of an exotic, decadent, backward Middle East were inseparable from western political, economic and cultural imperialism.Thirty two years later from its publication, Sheikha Al Mayassa bint Hamad bin Khalifa Al-Thani, the chairman of Qatar Museums says “Although the notion of ‘orientalism’ is commonly perceived as a view from the west on the east, we believe that there is an opportunity to explore and appreciate the spaces in between.

Recently, two things suggest fresh approaches for orientalism.
The first is the gloval art market.Orientalist paintings are surging in popularity.Middle Eastern collectors who are main buyer of orientalist paintings favour a post-political, or at least more nuanced, interpretation.
The second significant development is in the appeal of orientalist paintings themselves.The scope to explore not only the historic but the aesthetic imperative of orientalism.

The exhibition ‘From Delacroix to Kandinsky: Orientalism in Europe’ is crossing Europe.Three destinations of this show are Brussels, Marseille and Munich.Kandinsky,Matisse and Macke made decisive trips to north Africa. In those trips, they will coherently conclude the story of the dazzling convergence of orientalism and modernism.Marseille and Munich show their paintings, but Brussels shows only one Kandinsky and not a single Matisse or Macke.In Brussels their achievements remain untold.

‘From Delacroix to Kandinsky: Orientalism in Europe’, Musees Royaux des Beaux-Arts, Brussels, to January 9; Kunsthalle der Hypo-Kulturstiftung, Munich, January 28-May 1; Musee de Marseille, Centre de la Vieille-Charite, Marseille, May 27-August 28

参考資料
Orientalism after Edward Said
By Jackie Wullschlager The Financial Times December 10 2010 20:25

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