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ゲッティー美術館のアフロディテにみる、イタリア古美術管理事情

投稿日:2010年12月27日 更新日:

 The Daily Beast に、美術品の密輸についての記事がありました。イタリアの古美術管理事情が垣間見えて面白いです。以下記事を全訳してみました。

<訳>
 ゲッティー美術館にある古代ギリシャの愛の女神像が、墓荒らしをするアートの密輸業者を交えた長い国際的闘争の末、イタリアに返還されました。

 アフロディテは、愛と官能の神かもしれませんが、ロサンジェルスにあるゲッティー美術館にとっては違法な古美術取引による悪のシンボルであり、美術館のイメージを数十年間汚し続けてきました。ゲッティーの巨大なアフロディテ像は、その起源を辿ることが出来ません。その彫像が1987年に1300ポンドの荷物として届けられて以来、起源は議論に包まれてました。美術館の自然保護論者のリーダーであるルイス・モンリールが取引に関して警告を発していたものの、ゲッティーはそれを記録的な高額で購入しました。けれどもそれは、来週、墓荒らしの裁判と国際的論争を含んだ長い主導権争いの末、イタリアに返還されます。

 23年前、モンリールは、美術館の当時のキュレーター、マリオン・トゥルーとの会話から、BC5世紀につくられたとされているそのアフロディテは、スイスの個人コレクションの一部では無かったと疑いはじめました。トゥルーによると、彼女の知人であるロンドンのアートディーラー、ロビン・シムスは、”イタリア政府は、1939年以降、古美術品に対して政府の許可無しの移動を許していますが、アフロディテは、それよりもずっと前にスーパーマーケットの有力な経営者がコレクションの一部として獲得したものです。”と保証したということです。
 現在ジュネーブのAga Kahn Trust for Cultureのディレクターをしているモンリールは、”アフロディテの彫刻されたチューニックのひだの中にあった土から、彼(シムス)は事件に関わりがあると分かった。”と、ディリービーストに対し真実を語りました。彼にとってその土は、事件のかすかな手がかりであり、トゥルーが言ったように、アフロディテは個人の倉庫で発見されたのではないことを意味していました。土は、モンリールが知り得た新しい真実の断面とともに、墓荒らしか、考古学者ではない人間が、最近古い墓からこの彫像を引っ張り出してきたという秘密を漏らすサインとなりました。
 
 アフロディテの購入は、本物であることを立証するため1年かかりました。美術館と美術商は、その彫像が本当にアフロディテか他のギリシャの女神なのか議論していましたが、モンリールは、”本当に疑うべきことは、高値がつくブラックマーケット経由で国外に密輸された1000にも及ぶイタリアの古代美術品の密売の一部であるかどうかだ”と主張しました。国境の検問を通り抜ける時、彫像は棺の中や貨物の中に隠されていました。飛行機テロリズムで検査が厳しくなる以前のことです。小さな美術品は、高額な使い走りによって、手荷物にして簡単に運び出されました。密輸された後にメトロポリタン美術館に売却されたある有名な壺は、実際、トランスワールド航空のファーストクラスで旅行しています。

 墓荒らしに密輸を止めさせるものは何も無いかもしれません。美術館の政策として、取得した古代の美術品すべてに、いつどんな環境下でイタリアを離れたのかという証明をつけるのは必要なことと考えられていました。しかし、たくさんの他のものと同様、アフロディテには、合法的にイタリアから輸入されたことを証明する書類がありませんでした。事実、それの存在した場所の記録がありませんでした。モンリールは、その約2メートルの彫像を購入するにあたり、それが発掘された場所と時代を特定するため、少なくとも土の中の花粉を調べことをゲッティーに嘆願しました。彼の警告は無視され、ゲッティーは、その彫像を$18,000,000という記録的な価格(今日の$33,300,000)で購入しました。アフロディテはすぐに美術館の古代美術コレクションとして展示されました。しかしその不完全な過去は、のちにゲッティーを悩ませることになりました。

 文化的な主導権争いとローマでの長い裁判の後、今、アフロディテは最終的にシチリアに返還されることになっています。それはロサンジェルスのゲッティービラに日曜日まで展示されており、そこで注意深く分析され、ゲッティーがつくった耐震用スタンドを取りつけられて輸送されます。イタリアに帰還後は、イタリア文化省のカタログに載せられます。そして次の年の5月、シチリアのモルガンティーナの近くにあるアイドーネという小さな村の考古学美術館のキュレーターが、その返還をうけて、美術館の新しい部門を開きます。先週、そのシチリア島の美術館は、ニューヨークのメトロポリタン美術館から、16ものギリシャ文化の銀製工芸品の返還を迎え入れたところです。メトロポリタン美術館は、それらも違法の美術品であると結論を出し、イタリア政府との合意に従いました。メトロポリタン美術館は、2006年以降、20もの美術工芸品を返還しています。

 疑わしい状況で美術品を購入した全ての美術館に警告を与えた今回の長い裁判が無かったとしたら、イタリア政府は、これらの盗まれた宝物を再びイタリアに戻そうとしなかったかもしれません。2004年にイタリア政府は、トゥルーと彼女と長いつきあいのある美術コレクター、さらにパリ在住のアメリカ人ロバート・ヘッチの3人を起訴しました。今91歳のヘッチが逮捕された時、彼は美術の密輸マニュアルとも読める回顧録を書いていましたが、それは押収され、ローマの検察官パオロー・フェリーによってヘッチとトゥルーの立件に使われました。その本には、まだ泥だらけで墓の中にある美術品のポラロイド写真と墓荒らしの電話番号が載せられているにも関わらず、ヘッチは、その本はフィクションだと言い張りました。彼は、盗んだ戦利品を、イタリアの密輸組織のリーダーであるジャコモ・メディチとともに、ロンドンのコレクター,シムスを通して売却しました。シムスは、アフロディテをトゥルーに売った人物であり、これらの犯罪で2007年に懲役2年(執行済刑期7ヶ月)の実刑判決を受けました。メディチには懲役10年の判決が

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