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中国本土の現代美術コレクターで活気づく、香港のアートマーケット

投稿日:2011年5月25日 更新日:

The Cinema of Feng Xiaogang: Commercialization and Censorship in Chinese Cinema After 1989Zhang Xiaogang
(中国在住のアーティスト張暁剛(Zhang Xiaogang)の作品“Forever Lasting Love”は、先月サザビーズ香港で1億ドルという記録的な値をつけた。) 

 今、現代アートマーケットでは、香港が大変注目されているそうです。
 現代美術やデザインに特化した唯一の国際的オークションハウスであるフィリップ・デ・プリー(Phillips de Pury)は、今秋初めての香港セールを開催します。また世界的に有名なガゴシアンギャラリー(Gagosian Gallery )は最近市内に画廊をオープンしました。アジアの現代美術作家を幅広く紹介しているペキンファインアーツ(Pekin Fine Arts)は、スペースをリニューアルしたそうです。

 香港は、税金が安い、検閲がゆるい、ビザの制限がゆるい、そして全ての人が英語をしゃべることなど、もともと事業を展開するにあたり多くの利点があるそうなのですが、何よりも今一番注目されているのは、”中国本土の現代美術コレクターに近い”ことなのだそうです。

 現代美術が彼らにうける理由について、中国の伝統的な美術品を収集しているあるコレクターは、「現代美術は、その真贋が問われることは滅多に無いからだ。」と説明しています。彼の収集する中国の伝統絵画は、しばしば真贋論争を引き起こすそうです。
 真贋が滅多に問われることがないのは、レアな市場であるからという理由もあるかもしれません。中国本土のコレクターが現代美術に熱心になっている理由はこれだけではないように思いますが、中国の伝統美術の真贋論争は、想像するに大変厄介なのでしょう。彼らの多くが若く、アートマーケットの新規参入者であることを考えると、そんな厄介な場には足を踏み入れたくないとの思いもあるのかもしれません。

 あるいは、あまり高価な作品を購入出来ないために、まだ評価の定まっていない現代美術に向かっているのかもしれません。現に彼らにはリーズナブルな価格の作品を求める傾向があるそうです。
 先月、サザビーズ香港で行われたアートオークションにおいても、目立った高値の作品は主にアメリカの団体に落札されたものの、結果的には彼ら中国系コレクターの参加がオークションの成功に繋がったと分析されているそうです。

 しかし、美術関係者の中では彼らを批判的に見る傾向もあるようです。上海にあるシャンハートギャラリー(Shanghart Gallery )の代表Lorenz Helbling氏は ”彼らの作品購入の動機は、市場の価値評価にしかない”と批判しています。

「彼らがオークションで作品を購入する唯一の理由は、”以前2万ドルだった作品が今は4万ドルだから”というものです。私は彼らに、”あなたはその作品の作者の歴史を御存じですか?”と訪ねました。すると彼らは、”以前2万ドルだったが今は4万ドル、それが歴史だ。”と答えました。・・・このようなオークションハウスを取り巻く状況の中、私達は、もう少しまじめになる、もしくはもう少しアカデミックになる、また一応投資に有利なアーティストを選ぶ必要に迫られています。」
(“people bought a work at auction and the only reason was it was $20,000 before and now it’s $40,000.I would ask, do you know about this artist’s biography? And they would say, it was $20,000 now it’s $40,000, that is the biography.・・・This time around the auction houses seem to say, we should be a little bit more serious, or be a bit academic, or at least select better artists for the speculation game.”)

 彼ら中国系コレクターのニーズに対して、サザビーズ香港は、作品の背後にある物語を理解してもらおうと ”ドキュメンタリー エキシビジョン(documentary exhibition)”を開催したそうです。この展覧会は作品自体を展示しているわけではなく、それらのバックグラウンドを見せることが目的だったようです。

 投機目的の美術品購入をどう思うか?これはアートにどれ位興味があるかによってかなりの温度差があるように思います。アートを愛する人々にとっては、決して良いことではないと思います。このオークションハウスの反応は、アート関係者として当たり前のことでしょう。
 サザビーズ香港を含めて現代美術に関わる人々が、どのようにアートを理解してもらいたいと思っているのか、その辺をもう少し探ってみたいと感じます。当たり前の反応ではあっても、押しつけがましい啓蒙は勘弁してもらいたいです。

 
参考資料
New buyers on the block  By Natasha Degen The Financial Times  May 20 2011

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