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小泉明朗さんの「human operaXXX」?東京都現代美術館 常設展?

投稿日:2011年8月7日 更新日:

 
 現代美術館の常設展で見た小泉明朗さんの作品「human operaXXX」が大変印象的でした。

 このビデオ作品には、ある白人男性が、過去に体験した悲しい出来事を小泉さんに語っている姿が撮られています。(小泉さん御自身はカメラの反対側にいるようでほとんど写りません。)おそらく彼は、その暗い過去をあまり人に話したことがないのでしょう。重たい雰囲気が感じられます。ゆっくりと慎重に語りはじめた彼は、次第に暗い過去の世界の中に深く入り込んでいきました。
 私がそばで話しを聞いていたら、一緒に深い闇の中に沈んでいってしまったかもしれません。あるいは、そんなふうに話しに同調することが、彼を少しでも楽にしてあげる方法だと思ったかもしれません。

 しかし小泉さんは、無神経にも彼の話しを妨害し始めます。彼の話しを中断して、「ちょっとヴィジュアル的に何か足りないな?」なんて軽く言って、話しとは全く関係のないカラフルなおもちゃのようなものを彼に渡し、手に持ちながら話しを続けて欲しいと頼みます。このいっけん人をバカにしたような行為に白人男性は戸惑いますが、仕方なく了解して話しを続けます。重たい調子で話しはじめた彼ですが、自分の話しに入り込んでしまい、あっと言う間に”話したい人”に変化してしまった様子がよく分かります。

 その後も小泉さんは、”君はただ話したいんだろうけど、僕はビジュアル的に完全なものをつくりたいんだ。”と言って彼の話しを何度も中断し、彼の顔に落書きをしてみたり意味不明なものを貼り付けてみたり、また口にものをくわえさせてみたりします。何度もワケの分からない邪魔をされて、とうとう白人男性は自分がどこまで話しをしたか分からなくなってしまいます。そして最後にはバカバカしくなって話しを続けることができなくなってしまいます。

 この作品における小泉さんの行為を、私は”無神経な妨害”と書きましたが、それは、表面的にそう見えるという意味であり、決して本当に無神経だと思ったわけではありません。むしろ、このビデオ作品からは小泉さんの愛が感じられます。しばしば人は、出来れば忘れたいと思っている悲しいことに、自分から進んで浸っています。小泉さんのこの作品は、人の悲しみ悩みを俯瞰し緩和させるきっかけのようなものになっていると思います。

東京都現代美術館 常設展MOTコレクション 2011年10月2日(日)まで

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