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脱北アーティスト、ソン・ビョクさんがコミカルな絵に込めた決意

投稿日:2011年8月18日 更新日:

昨日発売のニューズウィーク(2011年 8 月14日号)の文化面には奇妙な絵が載っています。
映画「7年目の浮気」のマリリンモンローがフワフワっと浮かび上がるドレスの裾を押さえるシーンは有名ですが、そのマリリンの姿が絵に描かれている・・・いえ、よく見たら頭部だけが金正日にすげ替えられているではありませんか!足下では金魚が飛び跳ねています。
正直に言うと、悪趣味な巧くない絵(下手ウマでもない)だと思いましたが、なんだか妙に脳裏にこびりつく感があります。この「脱げ!」と題された絵を描いたのは、現在韓国に住んでいるアーティスト、ソン・ビョク(Song Byeok)さんです。

彼はもともと北朝鮮のプロパガンダアーティストだったそうです。しかし、2001年に脱北後、02年に韓国で制作をはじめて以来一転し、北朝鮮の抑圧的な体制と金正日を批判する作品をつくるようになったそうです。「脱げ!」はもちろん金正日を批判する作品として描かれていますが、そのとなりにはソンさんが北朝鮮時代に描いた典型的なプロパガンダポスターを再現したものが載っています。同じ画家が描いたと思われる細かな部分の表情の類似点はありますが、雰囲気は全く対照的です。プロパガンダポスターが非常に硬くて威圧的なのに対し、キム・モンローの方は思わずふきだしてしまいそうなコミカルな雰囲気があります。

彼は韓国で幸せに暮らしている、そしてそれが絵にも反映されていると単純に思うことも出来ますが、彼の脱北からこれまでの経緯を知ると、キム・モンローにはもっと深い意味が見えて来ます。

彼には1度脱北に失敗した経験があるそうです。一緒だった父親が増水した川に流された時、彼は北朝鮮の国境警備隊員に助けを求めたそうですが、「(おまえも)死ねばよかったのに」と言われ殴られたそうです。その後彼は7ヶ月を過ごした刑務所での虐待で指を1本失ったそうです。

”北朝鮮がテーマの作品は売れない”とまわりから言われながらも、彼はあくまでも自分の経験を直視し、北朝鮮でおきていることを世の中に伝えなければと考えています。そんな彼について、身近なある人は、「毎晩のように見る悪夢から逃れるために」作品を描いているように感じるそうです。

彼の描いた2点の絵画の対照的な見え方からは、彼の”あくまでも自分の経験を直視する”との決意の裏にある強烈な葛藤が見えてくるようです。

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2011年 8/24号 [雑誌]

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