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マルセル・デュシャン賞について?森美術館「フレンチ・ウィンドウ展」より?

投稿日:2011年8月20日 更新日:

 今、森美術館「フレンチ・ウィンドウ展」が開催されています。
 この展覧会には、「マルセル・デュシャン賞」の受賞作家および最終選考作家の作品が展示されています。この賞はADIAF(フランス現代美術国際化推進会)というフランスのアートコレクターの団体によってフランスのアートシーンを盛り上げる目的で2000年に設立され、フランスで活躍する若手アーティストに贈られています。ちなみに賞金は35,000ユーロ(本日の為替レート1ユーロ=110円で計算すると385万円)。その他にポンピドゥーセンターでの個展が約束されます。

 斬新で凄く面白いと思う作品もあれば、特に何とも思わない作品まで様々でした。良かった作品の感想はまた別の機会に書きます。今日は「マルセル・デュシャン賞」という賞について書きたいと思います。

 この森美術館の展覧会を見て、正直、いったい何がマルセル・デュシャン賞なのだろうとまず思いました。とはいっても、おそらくこの賞の名前を聞いて、多くの人は、デュシャンのような斬新な作家に与えられる賞なのだろうと理解するでしょう。けれどもあまりに定義が漠然とし過ぎていて、分かりにくいように思いました。デュシャンのような偉大であると同時に今でも不可解な作家を賞の定義付けに使うこと自体が難しいといえるのかもしれません。選考するのも難しいのではないでしょうか?賞に関わるみなさんはきっと、マルセル・デュシャンをこよなく愛しているのだと思いますが、デュシャンの名前が軽い宣伝文句に聞こえてこなくもないように思います。まあ、人の名前を冠した賞には少なからずそのようなところはあるでしょう。

 森美術館のブログには、この展覧会の出品作家(のうち7名)がデュシャンに対するコメントを寄せていますが、彼らにとってもやはりデュシャンは偉大な存在のようです。”あなたにとってマルセル・デュシャンとは?”との質問のコメントをいくつか抜粋してみます。
 ”独立していて、それだけで機能しているモデルのような存在だと思います。”(マチュー・メルシエ氏)、”輝きを失わない非常にスピリチュアルな祖父のような存在です。”(ピエール・アルドゥヴァン氏)、”輝き続ける星のような存在です。”(トマース・ヒルシューホン氏)、”私にとって、マルセル・デュシャンとは、アートの制作につながる労働と工芸という2つの考え方から、アートを解放することに成功したアーティストです。”(ヴァレリー・ベラン)、”マルセル・デュシャンは20世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチです。”(フィリップ・マヨー氏)

 ところで、昨日行われたトークセッション「千利休とマルセル・デュシャン/ 観念の錬金術」で杉本博司さんが、”デュシャンがもし生きていたらそんな賞があることを良く思わないんじゃないか?”というようなことをおっしゃいました。フランス出身のデュシャンは、第一次大戦中の1915年に戦火を逃れるように渡米し、その後はニューヨークで制作しています。”おそらくフランス人には当時あまり良く思われていなかった、現にデュシャンは80年代くらいまでフランスの作家として認めてもらえなかった。だからこの賞には違和感があるのではないか?”というお話しでした。
 もしデュシャンが生きていたら、「マルセル・デュシャン賞」に対して、どんなユーモアに飛んだ、しかしどこか突き放したようなコメントをしてくれるだろうと想像すると楽しくなってきます。

※文中の杉本博司さんのコメントは、このブログの管理人の記憶に基づいてなるべく杉本さんの御発言に忠実に記したものです。

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