やまでら くみこ のレシピ

テレビで話題の人気レシピをメインに紹介しています。

アウトサイダーアートとカミュの「異邦人」

投稿日:2011年8月22日 更新日:

 ”アウトサイダーアート”という言葉をはじめて使ったのは、イギリスのシュールレアリスム研究家ロジャー・カーディナルという人だそうです。彼はその際、カミュの小説「異邦人」に言及しました。「異邦人」の英訳のタイトルは「ジ・アウトサイダー」なのだそうです。
 佐々木俊尚さんは著書「キュレーションの時代」の中で「異邦人」について次のように書いています。

”この小説とういうのは要するに、平凡な人間であっても社会や他人との小さなきしみが生じてしまうと、いつでもすぐにアウトサイダーになってしまう。そういう「ゆらぎ」の可能性がつねにあるということを描いています。”

 さらに佐々木さんは、”アウトサイダーアートも、そうした「ゆらぎ」の上に成り立っている。”と説明しています。

 今アートと呼べるものをインサイダーとするなら、インサイダーはアウトサイダーを浸食しながら限りなく拡大しているような錯覚が私にはあります。佐々木さんも本の中でそのようなことをおっしゃっています。
 ”美術のメインストリームだったインサイダーとアウトサイダーの間の境界はゆらぎ、あいまいになって、ボーダーラインが流動化してしまっている” そして、”何十年か先には、この境界が完全に融解してしまって、アウトサイダーアートという言葉さえなくなっているかもしれません。”

 しかし先の佐々木さんの「異邦人」の解説を読んで少し考えを変えました。
 アウトサイダーが「異邦人」の主人公のようにふとしたことでつくられていくものなら、境界を捉えることは私が想像している以上に難しく(だからやりがいがある)、同時にその境界は決してなくなることが無いのではないかと思います。

※アウトサイダーアートには様々な説明が可能ですが、ここでは”アートという概念の枠にはまらないアート”という意味で使っています。







おすすめ記事

ジャクソン・ポロックのドリッピングを科学する。

ジャクソン・ポロックが描いた「ドリップ・ペインティング」は、一見、子供…

村上隆のゲルニカ。「五百羅漢図」

村上隆さんの大規模な回顧展「Murakami-Ego」が、2月9日から…

Anton Garcia Abril:スペインの現代アート、コンクリート製「トリュフ」

天然の岩の内部をくりぬき、そこに窓を設置したかのような構造物。これは、…

ロッククライマーがつくる彫刻  ダグ+マイク・スターンの「ビッグ・バンブー」

写真をご覧ください。木材を積み上げてつくられた、巨大な鳥の巣のような構…

音が描く模様。聞こえない音の視覚的な美しさ by カールステン・ニコライ(Carsten Nicolai)

子どもの頃、私は、雷が大嫌いでした。降りしきる雨の中、突然に光る空、そ…

セザンヌの絵が解き明かす、現代の脳科学

画家セザンヌが生きた19世紀、人間の感覚は、外の世界のありのままの姿を…

刺青から紐解く炭鉱夫の恐怖。山本作兵衛の世界

2011年5月、画家山本作兵衛の絵が、日本で初めて世界記憶遺産に登録さ…

地中美術館の「モネの一室」が素晴らしい。オランジュリー美術館との比較。

「睡蓮」によって大装飾空間をつくり出す。 晩年のモネのそうした構想をも…

杉本博司の護王神社。この神社に直島の神は宿るのか?

瀬戸内国際芸術祭の開催地である直島で、「家プロジェクト」というアートプ…

モノに喋らせる。皿が泳ぐプール。 by セレスト・ブルシエ=ムジュノ(Céleste Boursier-Mougenot)

20世紀のアメリカで活躍した美術家、マルセル・デュシャンは、当時のアー…