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クリスチャン・マークレーの”今”を喚起する映画 ?横浜トリエンナーレ2011より?

投稿日:2011年8月29日 更新日:

 先日、横浜トリエンナーレのメイン会場のひとつである日本郵船海岸通倉庫会場を見てきました。
 本当は今までのトリエンナーレを比較した上で感想を書きたいとことですが、見ていないものはしょうがない。今日は、簡単な全体の感想と一番心に残った作品について書いてみたいと思います。

 まず、全体としては、作品の展示の仕方が整然とし過ぎているように感じました。もっと破綻した部分があっても良かったです。映像作品が多く、また3月の大震災についてかなりダイレクトに触れている作品が目立ったように思います。
 3.11を題材とした作品を提示することは非常に難しいと改めて思いました。被災地の映像が映し出されている作品の前には、かなり長時間立ち止まる人が多かったように思いますが、作品を見ているというよりも、映像に見入っているように見えました。それが作家の意図に反しているとは思いませんが、映像と鑑賞者との距離が近すぎて、結果、作品全体が見えにくくなっているように感じました。私達にとってその記憶は、作品にするにはまだまだ生々しすぎるように思います。

 さて、日本郵船海岸通倉庫会場で私が一番印象に残ったのは、アメリカのクリスチャン・マークレー(Christian Marclay)のビデオ作品です。スゴイ作品だと思いました。
 世界中の様々な映画の中のいろいろな登場人物が時計で時刻を確認するシーンをひたすら繋げた作品です。あらゆる時代の映画が使われているので、画面はカラーになったり白黒になったり、また画質も一様ではありません。しかしだからと言って、ただ切って繋げたようには見えません。登場人物の動きを通して、映像が滑らかに見えるように工夫されています。
 例えば、ある映画の電話をかけるシーンのあとには他の映画の電話を受けるシーンが続いていたり、ドアを開けて出て行くシーンのあとに別映画のドアの向こう側が繋がれていたりします。全体的なストーリーがある訳ではありませんが、リアルな時間の経過を見ているような錯覚に陥ります。

 この映像の何がスゴイかと言えば、写しだされる時計の時刻が常に現実(観客)の世界とぴったりと合っていることです。私は30分くらいその映像を見ていましたが、それに気づくのにかなりの時間を要しました。おそらく短時間で鑑賞した多くの人が、頻繁に映し出される時計はずっと同じ時間を指したままだと見たように思います。そしておそらく、”この時間にどんな意味があるのだろう?”と考えたのではないでしょうか。とは言っても、それで良いのかもしれません。それで十分アーティストの意図することろに導かれているのかもしれません。

 ところでこの映像は24時間ノンストップです。24時間、現在の時間を刻み続けます。私はこのことを、家に帰ってPCで彼のことを調べている時に知りました。

 映画はいつでも過去の架空の時間の集積であると、私達は自然に判断しています。ですから、この映像が現在の時間を指していることを知ったとき、急に1つ1つの映画のシーンが現在の出来事であるかのように鮮やかに見えてきます。これはすごく新鮮な体験です。この作品面白いです。是非見に行ってください!

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