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”one man’s floor is another man’s feelings”?横浜トリエンナーレ2011:シガリット・ランダウの作品より?

投稿日:2011年8月30日 更新日:

 今日は、横浜トリエンナーレ2011の日本郵船海岸通倉庫会場で、クリスチャン・マークレーの次に気になった作家のことを書こうと思います。
 イスラエル出身のユダヤ人アーティスト、シガリット・ランダウ(Sigalit Landau)  です。今年のベネチアビエンナーレに出品された映像作品の1つ「Dead Sea」は、死海で撮影されています。

 死海というと観光地のイメージが強いかもしれません。事実、イスラエル・パレスチナ・ヨルダンなどの周辺諸国は死海のリゾート開発に力を入れているそうですが、その名(死海:The Dead Sea)が示す通り、通常の海水の10倍もの塩分濃度をもつこの”死の海”は、実は生命を近づけない過酷な海のことです。
 シガリット・ランダウが死海を撮影場所として選んだのは、そう言った意味も含まれているように思います。
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 映像にはまず、死海に浮かんだスイカが大きく写し出されます。スイカは画面中心から螺旋を描くように水上にぎっしりと並べられており、螺旋はゆっくりと旋回しながら解かれていきます。 映像は少しずつ広角になっていきます。
 暫くの間、青白いスイカがただ並んで浮かんでいる映像が続きますが、突然画面上部からスイカの螺旋に沿うようにして女性の裸体が流れてきます。女性の伸ばした腕の先には、表皮を剥ぎ取られて中身をえぐられたスイカがいくつか伴っています。それはまるで、痛めつけられ中身をむき出しにされた人体を思わせるような鮮血の色に染まっています。

 この人体と割れたスイカが現れる瞬間は、大変衝撃的です。全体的には透明感があり幻想的なイメージのある映像ですが、そこに突如あらわれる人体と真っ赤なスイカとのコントラストは、鮮明に頭に焼きつきます。

 そんな観客の動揺など気に留めず、映像は淡々と広角になっていきます。真っ青な死海が画面いっぱいに写し出されると、スイカと人体はまるで原始的な生物の細胞の一部のように見え、終いには何もない死海が残されます。
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 シガリット・ランダウは、今年のベネチアビエンナーレのイスラエルパビリオンに、”one man’s floor is another mans feelings”という言葉を記したそうです。これは英語のことわざ”one man’s floor is another mans ceiling”(ある人にとっての床は、他のある人にとっての天井である。)から彼女がつくった言葉ですが、これは相互依存のもとに生きていくこと、すべての人が富をシェアして生きていくことをあらわしていると言えます。

 この作品のように突如として現れる痛み、そして死を、最後に単なる原生生物の細胞のように彼女が見せるのは、この作品にも彼女がパビリオンに刻んだ言葉の意味が込められているからではないかと感じました。

「Dead Sea」参考映像

※文中の画像は、やまでらが会場で撮影したものです。会場内は写真撮影が可能でした。

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