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横浜美術館の残念なキュレーション。横浜トリエンナーレ2011より。

投稿日:2011年8月31日 更新日:

 横浜トリエンナーレの会場の1つ、横浜美術館を覗いてきました。今日は美術館の展示全体に対する感想を書きたいと思います。
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 横浜美術館が横浜トリエンナーレのメイン会場となるのは、実は今回が初めてです。ディレクターの三木あきこさんは今回の開催概要に、”横浜美術館も主会場のひとつとなったことを受けて、アーティストたちと協働で美術館の所蔵品や美術館という場所に新たな視点を投げかけ(ます。)”と書いています。
 確かに今回の展示は会場が横浜美術館であることを思い起こさせる要素が散りばめられていました。所蔵作品を組み合わせたり、美術館の備品を使った田中功起さんの面白いインスタレーションもありました。

 先日、横浜トリエンナーレの評判をネットで調べてみたのですが、”横浜美術館の所蔵作品を交えた展示が大変印象的だった”という意見が多いことが分かりました。
 ルネ・マグリットやコンスタンティン・ブランクシー、歌川国芳、マックス・エルンスト、工藤哲巳などの作品が現在活躍している作家の作品と混在しており、確かに私も斬新な試みであると思いました。トリエンナーレに異質な要素を積極的に取り入れること自体は私も大賛成です。

 しかし今回の展示は、その組み合わせが残念だったと思いました。正直に言うと、私には、物足りない空間に適当に所蔵作品を配置したようにしか見えませんでした。いえ、もちろんキュレーションには何らかの意図があるとは思いますが、それでも私が散漫だと感じてしまうのは、キュレーションのコンセプトが浅いからではないかと思いました。

 観客をなめているのか、本当に良いと思っているのか、(すみません。敢えて強く書いてみたいと思います。)今回の横浜美術館の展示の仕方は、それぞれの作品の中のあまりに表面的な要素だけを取り出して分類し、それをもとに展示しているようにしか見えませんでした。会場を回っているうちに、あまりの安易さにだんだんと腹が立ってしまいました。こんなふうに感じたのは私だけでしょうか? 

 例えば、イサム・ノグチの「真夜中の太陽」という大きなリング状のオブジェの前には、おそらく単に同じ円形を扱っているという理由だけでツァイ・チャウエイ(Tsai Charwai)の「円」という作品が、”一緒に見てください”とばかりに展示されています。ちなみにその展示室の中は円形の作品でまとめたようにしか見えませんでした。
 また、デリケートな細密画の池田学と木彫作家の砂澤ビッキ、シュールな作品をつくるメレット・オッペンハイム(Meret Oppenheim)が一緒になっている小さな展示室は、動物を扱った作品でまとめられていました。
 中国のアーティスト、スン・シュン(Sun Xun)の手描きアニメーションは、作品に出てくる人物が同様に山高帽を被っているというだけで、ルネ・マグリットの作品「王様の美術館」と一緒に展示されています。
  そして、ダミアン・ハーストの非常に美しい蝶でできたステンドグラスが展示されていた円形の部屋は、”教会”というキーワードでまとめられていたと理解しました。

 う?ん。そうは言っても、どうにもならない美術館やトリエンナーレの事情もきっとあるでしょう。所蔵作品を採りれたのは単に予算が少なかったからかもしれません。あるいは美術館の宣伝が必要だったのかもしれません。また、”トリエンナーレだから様々な作家を扱わなければならない”みたいなプレッシャーから展示が散漫になるのかもしれません。そして、多くの人の理解を得るために、敢えて分かり易い分類・展示をしたのかもしれません。

 でも私は、キュレーションが、多くの人には見えない分類の仕方やモノの見方を提示することであって欲しいと思います。

 明日は田中功起さんの作品について書きます。私、田中さんの作品好きだな。







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