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安藤美夜さんの彫刻「9.11以後(After9/11)」 と 原爆ドーム

投稿日:2011年9月15日 更新日:

 安藤美夜さんの彫刻「9.11以後(After9/11)」について、前回の続きを書きます。

 では、どのようにして、この作品に、崩壊したワールドトレードセンターの残骸が使用されることになったのでしょうか?作家の安藤さんに対して、2団体からのサポートがあったことが分かります。

 1つは、9.11ロンドン・プロジェクト(9.11 London Project)。彼女はここからの依頼を受けて制作をしています。もう1つは、ニューヨーク・ニュージャージー港湾公社(Port Authority of New York and New Jersey)。話題となっているビルの残骸は、ここから寄贈されたものだそうです。
 ワールドトレードセンターの建設・経営にあたっていたニューヨーク・ニュージャージー港湾公社は、10年前に起った悲劇的な大事件を振り返るきっかけとして、その残存物の重要性をアピールしています。イギリスの他にも、カナダ・フランス・ドイツ・イタリアなどの国やアメリカの全て州にも同様にそれらを送っています。
 これはアメリカという国のテロリズムに対する1つのアピールでもあるのかもしれません。

 さて、9.11メモリアルとしての安藤さんの作品を肯定的に捉えている人もいます。
 ある方は、彼女の作品に似たものとして、原爆ドームの例を挙げていました。
  原爆ドームは当時の爆風のすさまじさをダイレクトに語るものとして広島の地に今でも残っています。保存されるに至った経緯を調べてみると、原爆ドームもはじめは安藤さんの彫刻と同様の抵抗にあっていることが分かりました。
 「見るたびに原爆投下時の惨事を思い出すので、取り壊してほしい」という市民からの根強い意見や、原爆ドームの保存にコストをかけるよりは少しでも復興支援を強化すべきとの考えから、広島市も当初は、保存に対して消極的な考えを持っていました。
 しかし、ある女子高校生の日記がその流れを変えました。
 生まれて間もなく被爆した楮山(かじやま)ヒロ子さんは、16歳の時、「あの痛々しい産業奨励館(※原爆ドームのこと)だけが、いつまでも、おそるべき原爆のことを後世に訴えかけてくれるだろうか」と日記に書き残しました。その年に彼女は白血病で亡くなります。彼女の言葉がきっかけで市民運動がおこり、原爆ドームは永久保存されることになりました。

 安藤さんの彫刻が原爆ドームと大きく異なる点の1つは、アートとしてつくられているということでしょう。安藤さんは、悲劇を思い起こさせる残骸をそのまま提示しているわけではありません。私は安藤さん自身の言葉から、彼女は私達の記憶を昇華させるための装置を作り出したのではないかと感じました。
 ロンドンに行く際には、是非本物を見てみたいと思います。

参考資料:
World Trade Center steel in London
“Peace [After 9/11],” a monumental new sculpture by artist Miya Ando, debuts
After 9/11 by Miya Ando
Mayor Of London Boris Johnson Unveils Sculpture Made From 9/11 Debris
原爆ドーム Wikipedia

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