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シンクタンクのようなニューヨークの美術館

投稿日:2011年9月17日 更新日:

 現在ニューヨークの美術館では、従来の美術館の定義を大きく超えた新しい試みが行われています。

 美術館はもともと美術作品の保存・研究・公開をするための場所ですが、最近は日本でも、コミュニケーションをする場であるとのニュアンスが強調されているようになってきました。
 しかし、今ニューヨークのいくつかの美術館では、もはやそこを美術館とは呼べないほど斬新な実験がくりひろげられています。(ART Newsの記者は、美術館ではなく”シンクタンク”だと言っています。)以下、ニューヨークでの事例をいくつか書いてみたいと思います。

 先月、グッゲンハイム美術館を運営するソロモン・R・グッゲンハイム財団は、BMWと共同で「BMWグッゲンハイムラボ(BMW Guggenheim Lab)」を立ち上げました。
 BMWグッゲンハイムラボは、可動式の施設を活動拠点としており、6年間3サークルをかけて、世界の9都市を巡回します。その目的は、9つのそれぞれの都市が抱える様々な問題に持続可能な解決策を見いだすことにあります。
 特徴的なのは、アーティストの他にも政治家、ミュージシャン、心理学者、活動家、生物学者など、多分野の専門家が参加する点で、ワークショップや実験教室、都市ツアー、討論会などの意見交換の場は、無料で提供されることになっています。

 BMWグッゲンハイムラボの1サークル目で使用される施設は、日本の建築家ユニット、アトリエ・ワン(Atelier Bow-Wow)が設計を手がけています。
 先日、東京オペラシティーで行われている2010年のベネチアビエンナーレ帰国展「家の外の都市の中の家」を見てきましたが、そこで紹介されていたアトリエ・ワンのお2人(ご夫婦です)の住居兼仕事場からは、住居というある意味閉じられた場においても、開かれたコミュニケーションを可能とする空間づくりが積極的に考えられていることがよく伝わってきました。
 今回設計した施設は、可動式であるため、機動的であることが最優先に考えられています。各プロジェクトに必要な道具や設備が簡単に取り出せてすぐに使えるような工夫がされているようです。
 シンクタンク、コミュニティーセンター、公共の集会所を合わせたこの施設は、8月3日にニューヨークにオープンしました。今後は、ベルリン、ボンベイにも巡回し、2013年に再びニューヨークに戻った際には、3都市での成果がまとめられることになっています。

 昨年ニューヨーク近代美術館(MoMA)で行われた展覧会”Rising Currents”では、ウォーターフロントとしてのニューヨークに将来おこると予想される気候の変動やそれに伴う海面水位の上昇などの問題が取り上げられました。
 また、現在進行中のプロジェクト”Foreclosed: Rehousing the American Dream”では、住宅に関する問題が議論されています。
 そのプロジェクトでは、都市計画、住居政策、環境学、景観設計、工業技術、社会科学など、多岐にわたる分野の専門家が5つのグループをつくりワークショップを行います。それぞれのグループに土地、住宅、インフラと都市の関係についての新しい創造的な思索にもとづいた提案をしてもらったあと、それをベースにシンポジウムや展覧会が展開されることになっています。

 ニューミュージアムは、今年の5月に100以上の町の団体とともにストリートフェスティバルを開催しました。市長や建築家、経済学者、科学技術の専門家、農場経営者なども参加したそのプロジェクトでは、町の住人が町のために持続可能な自発的な活動をすることが強調されています。

 まだこれらの新しい試みの成果が語られる段階ではありませんが、美術館がコミュニティーの一員として積極的に役割を果たしていこうとしている姿は、大変興味深いと思います。

 (明日に続く)

参考文献:
It’s Not Just a Museum, It’s a Think Tank
FESTIVAL OF IDEAS FOR  THE NEW CITY
Rising Currents: MoMA exhibit explores how New Yorkers will live when sea levels rise

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