やまでら くみこ のレシピ

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ライアン・ガンダーの「墜ちるイカロスー失われた展覧会」

投稿日:2011年11月18日 更新日:

 ライアン・ガンダーの展覧会を見てきました。”展覧会とは何か?”が、ひとつの大きなテーマになっているのがよく分かりました。決して作品1点1点に深入りさせない。常にクールに”展覧会”を俯瞰するような視点が与えられます。
 気になった作品の感想を簡単に記します。

「そしてあなたは変わるだろう(And you will be changed)」2011年

私が最も面白いと思った作品。小さなモニターが壁についていて映像が流れています。このギャラリーのキュレーターらしき人(確認したら当たってた)が、会場内をまわって作品の解説をしています。
 私はあまり気にもせず、「これって展覧会の解説ですか?」と監視員に尋ねました。すると、「いいえ!前回の展覧会の解説です!」と言われました。はっ??
 映像をよ?く見ると、キュレーターさんは何もない壁や床を指さして、過去にそこにあったであろう作品の解説をしています。これは、ガンダーのアイデアで今回の展覧会のためにつくられた作品なのだそうです。面白い!!!
ちなみにキュレーターさんのしているエルメスの派手なスカーフがよく目立っていました。(会場がメゾンエルメス8階フォーラムだからね。)

「僕は壊れている(I am broken )」2001年

ドナルド・ジャッドの箱状の立方体が反復して壁に並んでいる作品は有名ですが、ガンダーはそれを、I KEA社の一番売れている棚「LACK」を用いて表現しています。
 これだけだったら、”ジャッドの作品よりも、ある意味ミニマル(最小限)かもね。” で終わりかもしれないけど、よく見ると、向かって右側の棚の側面が削り取られており、棚の最上部には観葉植物が顔を覗かせています。破綻があっていいね?。
 IKEAは日本でもよく知られていますが、世界最大の家具メーカーなのだそうです。
Some rights reserved by oliworx←これはドナルド・ジャッドの作品
Some rights reserved by oliworx


「墜ちるイカロス(Icarus Falling)」
2011年

 展覧会のタイトルになっている作品。絵画を掛けていたであろう金具だけが壁に残されていて、スポットライトが当たっています。
 作品の解説には、以前そこに、マーク・タンジー(Mark Tansey)の絵画 「深さの神話(Myth of the Depth )」があったと記されています。
 この作品以外にも、”実際には存在しないものの気配だけを提示している作品”がいくつかありました。それには必ずこのように、今は存在しないものの具体的な情報が示されています。単に”絵があった”とは全く違い、イメージが大きく膨らみます。

 
「ベストクラブ(The Best Club)」2011年

 「墜ちるイカロス」と同様、この作品も、”存在していそうで存在していない作品”を提示しています。壁に黒い遮光カーテンが設置されているだけなのですが、その奥にビデオインスタレーションでもあるような雰囲気をつくり出しています。
 美術館の中に黒カーテンがあると、反射的にビデオ作品があると思っている。このお決まりの空間づくりって結構つまらないな?と気づきました。


「暗闇の匂いがする??(錬金術の箱 #26)(It smells like darkness-(Alchemy Box #26))」
2011年

 セーヌ川沿いにあるという小さな屋台式の本の売店(人が入れるくらいの金属でできた錆びた箱状のもの)が、会場に無造作に転がっています。どうやら閉店しているようで、(笑) 鍵がかかっているのですが、作品の解説によるとその中にはメゾンエルメス8階フォーラム(今回の展示会場)で過去に展示をしたアーティストの本が入っていているとのこと。
 内部に本当に本があるのかも分からない、”私が関係すること”を単に拒絶しているようにしか見えない、目の前に転がっているこの箱が本屋。大変新鮮な体験でした。


「これが本当の多様性だなんて誰が言った(Who said this was true multiplicity anyway)」
2011年

 これまでにメゾンエルメス8階フォーラムに展示された、30人のアーティストの2038年の姿を、法廷画家が30枚の肖像画にしました。それが床にばらまかれているという作品です。
 ”2038年の姿”というのは、ガンダーによるちょっとした味付けかな。今までの”展示”を俯瞰して見せています。タイトルにはちょっとした皮肉が込められているのでしょうか。”色々あった(多様だった)と思うことも、並べて上から見ればこんなもんだよ。”って感じかな。

 超オススメの展覧会です。是非御覧ください!

『墜ちるイカロス – 失われた展覧会 | ライアン・ガンダー展』
 開催中〜2012年1月29日
 
メゾンエルメス8階フォーラム
 東京都中央区銀座5-4-1
 tel. 03-3569-3300
 11時〜20時(日曜〜19時)最終入場は閉館30分前
 11月28日、1月1日、2日休
 入場無料

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