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クリスチャン・マークレーの「Christian Marclay Scrolls」展

投稿日:2011年11月19日 更新日:

先日、ギャラリー小柳で「Christian Marclay Scrolls」展を見てきました。

 タイトルが示す通り、クリスチャン・マークレーによる巻物(1点)が展示されていました。他には版画の小作品数点、掛け軸が7?8点くらいありました。彼のこのような作品を見るのは初めてでしたが、横浜トリエンナーレで大変話題になっていた「The Clock」に通じるものをはっきりと感じることが出来ました。

 マークレーはアート・イットに掲載されているインタビュー記事の中で、24時間ノンストップ映画「The Clock」について、映像と音をスムーズに繋げることに大変苦労したと語っています。

 映画の中の時計が出てくるシーンを繋げて24時間をつくり出すだけでも驚異的だと私は思いますが、その上、それが単なる断片の繋ぎ合わせではなく、ごく自然な流れを持った1つの映画を見ているような感覚も与えてくれます。私が想像を絶するような緻密な作業の連続だったろうと思います。

 マークレーはこの作品について、「私は視覚と音、双方の編集に取り組む事で、嘘の継続性を作り出したかった」と言っていますが、彼がそこに執拗にこだわるわけは、次の発言からよく分かります。 

見ている人はすぐに乱暴で急な場面転換が継続すると飽きてしまうだろうと、(私は)考えています。
「The Clock」に熱中してしまうのは、終わりがない映画のように見えるものを見ているからです。
これが寄せ集められて作られたものだというのはわかるけれども、どこかでひとつの映画なのだと信じている。だからシネマの幻想とコラージュの明白さとリアルタイムにおける現実という複数の現実の間で押したり引いたりされるのです。さらにそれに加えて、見ている人は自分自身の経験を持ち込み、また違うレベルの流動性が生じます。なぜなら、彼らは今何時であるかとか、作品を見る時間があるかないか、もしくはどれくらいそこにいたかということをわかっているからです。つまり彼ら自身の時間も作品の一部を成すことになるのです。

 今回の展覧会の絵巻物は「The Clock」と違って見え方は非常に単純ですが、彼のこだわりは同様によくあらわれていると思いました。巻物の上で、音は文字として表現されていますが、視覚的なものと聴覚的なものを滑らかに繋ぐことで、終わりのないストーリーをつくっていることに変わりはないように思います。

 作品は殆どが売れていました。横浜トリエンナーレがきっかけで、マークレーは日本でも人気出たんだろうなと思います。私は掛け軸に興味があったので、その金額が800万円台だったことだけは覚えています。(とりあえず私には買えない金額でした。)
 どれも色鮮やかで派手でしたが、もし購入した日本人がいるのなら、それを床の間に掛けて眺めたりするのだろうか?なんて想像して楽しみました。
 作品を掛け軸や巻物にすることを思いついたのは、マークレー本人なのか?それとも、ギャラリーからの提案なのか?杉本博さんのアイデアかな??

引用部分:アート・イット クリスチャン・マークレー「The Clock」より

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