やまでら くみこ のレシピ

人気レシピの作り方を分かりやすく紹介します。

アンディー・ウォーホールのキャンベルスープは著作権違反? アートと著作権について 

投稿日:2011年12月13日 更新日:

流用アート論
「流用アート論 1912?2011年」
小田茂一著 (青弓社 2011年7月)
おススメ度★★☆☆☆

 著者はこの本の冒頭で、”今日のアートはちょうど百年前を起点として、以来一貫した手法によって継承されてきた。それは「流用(アプロプリエーション appropriation)」に基づいた作品制作である。”といっています。

 本書は、ピカソのコラージュやデュシャンのレディーメイドを原点として、「流用」によるアートの歴史を時間軸に沿って紹介しています。
 主に論じられているのは、「抽象表現主義」「ネオダダ」「ミニマル・アート」「コンセプチュアルアート」「ランド・アート」「ポップ・アート」。日本人作家では、河原温、赤瀬川源平、荒川修作、森村泰昌、杉本博司、やなぎみわ、中原浩大、村上隆、奈良美智が取り上げられています。
 「流用」にもとづいた現代アートは今後どうあるべきか?著者は次のように書いています。 

現代アートがさらに積極的な表現活動に結び付くかどうかの鍵は、表現されていく内容に「ユニークな文体」(※)が込められているかどうかにあるといえるかもしれない。つまり「どういうふうに(how)」という視点の有無である。そしてさらに、作品が独自の「コンセプト」を提示しているものなのかどうかということである。新たに表現された作品が、単に何かを「流用」することを超えて、著作物としての独自性を保持できているのかどうか、そしてその結果として、「ユニークな文体」による新たな様式あるいはスタイルを生み出せているかどうか―作品としてのよるどころと存在価値はここに求められるといえるだろう。

※「ポストモダニズムと消費社会」(『反美学 』所収)より。フレドリック・ジェームソンは、「非常にユニークな文体」を作り出すことで作家のオリジナリティは定義されるとし、それをパスティシュやパロディとして模倣していくこととの関係性について記している。

 アートにおける表現としての「流用」を考えた時、おもにネット上を賑わせている話題の1つとして、著作権の問題が浮かび上がります。そこには、 ”アート系の人々は、アートは著作権を侵害することが許される特別な領域だと考えている”との批判の声があります。一部の人達には、そのように映っているようです。
 このような観点からみると、わたしにとってこの本は、アートの内側からしか「流用」を捉えていないという意味で物足りなさが残ります。

 アートを愛する私にとって、アートと著作権について語ることはとても難しいです。アーティストは著作権に抵触してもいいと思っているわけではありません。しかし、現在は著作権と不可分な「流用」をせずに独自の表現をつくりだしていくことが難しい時代であると考えます。それはなぜかと言えば、「流用」は、アートがその歴史の中で独自の表現を追求してきた果てとしてリアルであり、現在の私たちの日常を映し出す上でもリアルだと思うからです。

 著作権とアートの関係は、もっと議論されるべきだと思います。しかし、あまりにもうるさく規制することになると、アートは委縮してしまうでしょう。artscapeというサイトには、アートに詳しい弁護士さんの話しが載せられていますが、それによると、

 今の日本の著作権法で理論的に考えると、(アンディー・ウォーホールの)キャンベルのスープ缶の作品は違法複製に当たるかもしれないのだ。差し止め、損害賠償、実刑という可能性がある。実際はキャンベルスープ社はおそらくこの件を追認し、論争には至っていない。

だそうです。
 最近では黒瀬陽平さんのように正面から著作権に対したアーティストもいますが、大体においてアート系の人は、著作権について考えたがらない傾向があると思います。自由な表現を目指している人間にとって、これはある意味当たり前のことかもしれませんが、先のウォーホールの作品が著作権違反になる可能性を思えば、もう少し積極的に考えるべきことだと思います。私も今後このブログで度々取り上げたいと思います。

スポンサーリンク

関連記事

no image

「カオス*ラウンジ げんじつ!」展を見てきました。

「カオス*ラウンジ げんじつ!」展は、今日が最終日。会場では黒瀬陽平さん御本人とお話しすることが出来ました。 先日私は、黒瀬さんのことをブロ…

アートフェア東京2011イベントトーク「はじめてのアートコレクション」

昨日アートフェア東京2011のプレイベントトーク「はじめてのアートコレクション」に参加してきました。パネラーは、サラリーマンコレクターの宮津…

黄金町バザールについて 「政治家の殺し方」を読んで

「政治家の殺し方」 中田宏 著 (幻冬舎 2011年10月) 中田宏 横浜前市長の「政治家の殺し方」という本がよく売れているそうです。 この…

アートフェア2011イベントトーク「アートのゆくえ」・加藤翼展・things on strings 展

 今日は、アートフェア東京2011の関連企画”フューチャージェ?ネレーションが語る「?アートのゆくえ」”に参加してきました。その後…

ヴェネチア・ビエンナーレに16世紀の巨匠ティントレットが参加!

6月4日にはじまった世界最大規模の国際美術展ヴェネチア・ビエンナーレに、16世紀の巨匠ティントレットの代表作が3点展示されているそうです。 …

ピックアップ記事

ジャクソン・ポロックのドリッピングを科学する。

ジャクソン・ポロックが描いた「ドリップ・ペインティング」は、一見、子供…

村上隆のゲルニカ。「五百羅漢図」

村上隆さんの大規模な回顧展「Murakami-Ego」が、2月9日から…

コンクリート製「トリュフ」に暮らす(建築家:アントン・ガルシア=アブリル)

天然の岩の内部をくりぬき、そこに窓を設置したかのような構造物。これは、…

ロッククライマーがつくる彫刻  ダグ+マイク・スターンの「ビッグ・バンブー」

写真をご覧ください。木材を積み上げてつくられた、巨大な鳥の巣のような構…

音が描く模様。聞こえない音の視覚的な美しさ by カールステン・ニコライ(Carsten Nicolai)

子どもの頃、私は、雷が大嫌いでした。降りしきる雨の中、突然に光る空、そ…

セザンヌの絵が解き明かす、現代の脳科学

画家セザンヌが生きた19世紀、人間の感覚は、外の世界のありのままの姿を…

刺青から紐解く炭鉱夫の恐怖。山本作兵衛の世界

2011年5月、画家山本作兵衛の絵が、日本で初めて世界記憶遺産に登録さ…

地中美術館の「モネの一室」が素晴らしい。オランジュリー美術館との比較。

「睡蓮」によって大装飾空間をつくり出す。 晩年のモネのそうした構想をも…

杉本博司の護王神社。この神社に直島の神は宿るのか?

瀬戸内国際芸術祭の開催地である直島で、「家プロジェクト」というアートプ…

モノに喋らせる。皿が泳ぐプール。 by セレスト・ブルシエ=ムジュノ(Céleste Boursier-Mougenot)

20世紀のアメリカで活躍した美術家、マルセル・デュシャンは、当時のアー…

サイト内を検索

このブログについて

このブログは、鎌倉在住の主婦が綴るレシピサイトです。

これは皆んなでシェアしないともったいない!と思った事柄を記事にしています。

最近の話題は、こんな感じです。

  1. 人気の簡単料理のレシピ
  2. 夕食やお弁当の節約献立
  3. 忙しくてもラクチンな作り置き
  4. 無理なく続けられるダイエットレシピ
  5. 食材の基本的な調理法や保存方法