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「瀧口修造とマルセル・デュシャン」展の感想

投稿日:2012年1月2日 更新日:

「瀧口修造とマルセル・デュシャン」展

先日、「瀧口修造とマルセル・デュシャン」展を見てきました。

マルセル・デュシャンは、現代美術の先駆けとも言える存在です。男性用便器を美術館に展示した作品が有名ですよね。

そんな彼が欧米で評価される前から、瀧口修造は、マルセル・デュシャンを日本で紹介していたのだそうです。
瀧口修造とマルセル・デュシャンは、1958年にサルバドール・ダリのスペインのカダケスの自宅でたった一度会っただけにもかかわらず、その後書簡を通じ、晩年に至るまで交流を深めていったそうです。

同展では、彼らのそのような関係が、彼ら自身の作品、そして彼らに続く後の芸術家にどのような影響を及ぼしたのかを紹介しています。

瀧口修造のシュールレアリスム作家としての活動

瀧口修造は、一般には、美術評論家、あるいは執筆家として知られていますが、晩年は美術家として作品の制作もしていたそうです。

同展によると、彼は慶應義塾大学の学生だった頃に執筆活動を始めていますが、シュールレアリストのアンドレ・ブルトンと出会った1958年の欧州旅行がきっかけで、「職業としての書くという労働に深い矛盾を感じる」ようになったそうです。そして、「60年代初頭以降には、次第に評論活動の第一線から距離をおく」ようになりました。

今回の展覧会では、彼がそのような過程を経て制作したアート作品が展示されています。
デカルコマニーやバーント・ドローイング(紙を燃やしたり煙で燻したりしてつくられた絵)、ロトデッサン(自動回転する板に紙を貼って描いたデッサン)等、シュールレアリズムの思想から生み出された技法を用いてつくられた作品です。

瀧口修造の知名度

瀧口修造が感じた、「書くという労働に対する深い矛盾」とは一体どういうものなのでしょうか?
私は、瀧口修造がその矛盾を感じるようになった経緯をもう少し詳しく知りたいと思い、彼の著書や資料をいろいろと探してみました。
ところが、そのあまりの入手し難さに驚きました。絶版になっている本が多く、また、そうでない一部の本も書店に置かれていることは稀です。先日、横浜の大きな書店を数軒覗いてみたのですが、瀧口修造関連の本は置かれていたとしても1冊のみでした。

私が感じるところでは、現在、瀧口修造は一般的にそれほど広く知られた方ではありません。
私は、試しに瀧口修造はどのくらい知名度があるのか、アートに興味がない身近な人に聞いてみました。聞いたのは7人ですが、彼のことを知っている人は誰もいませんでした。もしかしたら、美術関係者に聞いたとしても似たような結果になったかもしれません。そして、彼の著書の入手し難さが、さらにその傾向を強めているように思います。
そういう私も、実は、この展覧会を見る以前は、「日本でシュールレアリズムを初めて紹介した人」くらいの知識しかありませんでした。

ただ、今回の展覧会をきっかけとして、私は、瀧口修造のことが気になっています。
「書くという労働に対する深い矛盾」。
もう少し調べてみようと思います。

「瀧口修造とマルセル・デュシャン」展
2012年1月29日まで 休館日なし
開館時間 日から木曜日 10:00?18:00 金・土曜日 10:00から20:00 ※入場受付は閉館の30分前まで

千葉市美術館にて

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