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講座「アートで生計を立てるぞ!」の報告 小山登美夫さんへの3つの質問

投稿日:2012年1月30日 更新日:

240128  小山登美夫さんの講座、「アートで生計を立てるぞ!」に参加してきました。

 この講座については、ヨコハマ経済新聞が記事として取り上げています。先日、美術大学の先生がfacebook上で、小山さんの講座とヨコハマ経済新聞の記事について、たいへん興味深い指摘を2つしていました。

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 1つは、「アーティストが、いかにしてアートで食べていくか?」という講座の趣旨は分かるが、大学内を見回すと、むしろマーケットを意識しすぎる学生が増えていることの方が問題であるという指摘です。
 私は今どきの美大生をよく知りません。しかし、仮に、そうした傾向があるのだとしたら、それは美大生に限らず、日本の若手アーティスト全般に共通する問題なのではないかとも思います。小山さんにそのあたりを是非伺ってみたいと思いました。

 もう1つは、記事中の「求められている作品、アーティスト像」という一節に違和感を覚えるという指摘です。この発言の根底には、アーティストは、自己の価値観に基づいて制作をするのであり、まわりから求められている作品をつくるのではないという考えがあります。
 私もこの意見に賛成です。ニーズに敏感に反応する受身姿勢のアーティストに、私も少なからず抵抗を感じます。

 私は、小山さんの講座に参加して、この2つの指摘を検証してみました。まずは小山さんに以下の3つの質問をしました。

  1. マーケットを意識しすぎる学生が最近増えているとの意見もあるが、小山さんも同様の傾向を若手アーティストに感じているか?
  2. もし感じている場合、それについてどう思うか?
  3. アーティストがマーケットを意識して作品を制作することについてどう思うか?

 これらの質問への小山さんの回答、そして講座の中でのお話をまとめると、次のようになります。

  1. 感じている。
  2. よくない傾向だと思う。しかし一方で、自分にとってのリアリティーをしっかりと追及している作家が多くなったとも感じている。自己のリアリティーとは遠くはなれて、単に作品の増産をしているような人はあまりいなくなったと思う。
  3. アーティストがマーケットを意識しながら制作することと、その作品が実際に売れるかどうかはあまり関係がない。むしろ、市場に評価されることを最優先に作品をつくろうとする人は、認められにくい傾向にある。仮に一時的に売れたとしても、アーティストとしての歴史がつくられないために、遠くない将来に価値が落ちてしまう(村上隆さんは異例だそうです)。逆に、アーティスト本人の個性が明確に見えてくる作品であれば、マーケットを意識していないアーティストの作品であっても売れることがある。どちらにしても、マーケットから長く評価されるためには、アーティスト自身のリアリティがそこにあるかどうかが大変重要だと思う。
    一方で、アーティストはマーケットからの評価という価値観だけに縛られるものではない。アーティストは職業ではなく、あくまでも表現者であるので、制作を継続しなければならない理由はない。作品が1つや2つで終わるアーティストがいても良いのではないか。

 小山さんは、作品が高値で売れるということは、購入した人がそれを捨てる可能性が低くなるということであり、それはつまり、作品がこの世に残る確率が高くなることであると説明されていました。もちろん、売れない作品は良くない作品であるなどという短絡的な話ではありません。小山さんは、才能のあるアーティストの作品を末永く世に残していくために、マーケットの評価を上げる方法を楽しみながら模索されているようです。

 ところで、先のヨコハマ経済新聞の記事についてですが、この文章は、講座の企画者であるヨコハマ創造都市センターの松尾さんという方が書かれたのだそうです。会場で松尾さんに伺ったお話しから察すると、「求められている作品、アーティスト像」という一節には、あまり深い意味はないようです。「アートで生計を立てるぞ!」というタイトルと同様、集客のための表現であると思います。その表現が功を奏し(?)、講座には60人以上が参加していました。それだけの人数を集めたということは、「求められている作品、アーティスト像について語ってくれる人」へのニーズがあったということでしょう(私もそのうちの1人ですが!)。

 実際、参加者からこの一節に絡む質問がいくつか出ていました。会場の興味は、「いま、どういう作品が求められているのか」ということに集中していたように思います。これらの質問に対して、小山さんは明確には回答していませんでした。それは、はぐらかしていたということではありません。誠実に回答しようとした結果、分からないから答えなかった、そういうことだと思います。「いま、どういう作品が求められているのか」など、誰にも分からないのかもしれません。日本のギャラリストの第一人者である小山さんも含めて。

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