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「お客さんがたくさん来ても正直困る」現代アートギャラリーの事情

投稿日:2012年2月8日 更新日:

 先日、友人との待ち合わせの折、書店で偶然手に取ったビジネス書に、次のような一文が書かれていました。

「お客さんのまったく入らない画廊が潰れないのはなぜか?」

 この問いの意味するところは、「お客さんの来ない画廊は絶対潰れない。」ということでは、もちろんありません。「画廊の賑わいと経営状況は無関係のようだが、それはなぜか?」という意味です。

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 答えはたしか、次のように書かれていました。

「画廊は、商品を保管するための倉庫にすぎないから。」

 つまり、画廊は、主として外商でビジネスをしているのであって、画廊内にお客さんが来るか来ないかは、あくまでも二次的な問題だというわけです。しかし、経営上必要としないスペースをわざわざ設けているのは、お客さんの信用を得るためなのだそうです。

 先日私は、現代アートのギャラリストKさんに、こんなことを尋ねました。
 「現代アートのギャラリーは、ギャラリー内で行う展覧会への観客集めに消極的であると、私は思っています。Kさんのギャラリーにも同様の傾向を感じるのですが、それは、集客が経営上重要なことではないからでしょうか?」

 Kさんは、私の質問に「そうです。」と答えました。
 そして、ギャラリーの場所を決める際に、多くの来訪者を見込めそうな立地ではなく、欧米のギャラリーのような広いスペースを確保することを優先したとお話してくださいました。
 「お客さんがあまりたくさん来てくれても、正直困る。」Kさんは最後に、そうおっしゃいました。

 日経ビジネスの記事によれば、現在、日本の美術市場規模はおよそ1000億円。そのうち、現代アートのマーケットは約100億円です。これは世界の美術市場の1?2%程度でしかありません。
 こうした、決して大きいとは言えない市場においてギャラリーを運営していくためには、様々な営業努力が必要であることは容易に想像できます。それは、例えば、マーケットにおける作家の評価を向上させるためにギャラリーではなく美術館で展覧会を開催したり、あるいは、日本市場の枠を超えて、海外の市場を開拓したり、などです。

 経営を成り立たせながら、その上でさらに鑑賞者を画廊に呼び込み、現代アートの啓蒙をする余裕など、現代アートのギャラリーにはないのかもしれません。現代アートファンとしては、そのギャラリーが無料で展覧会を提供してくださっていることだけでも、有難いと思うべきなのでしょう。

 私は、日頃お邪魔しているギャラリーが、現代アートの面白さを知る格好の場であると感じています。そこにより多くの観客が集まったら、現代アートを介したコミュニケーションの場としてさらに活性化していくように思います。しかし、当のギャラリーがお客さんで賑わうことを望んでいないのなら、仕方がない。そう思うしかありません。

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