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「ジャクソン・ポロックとリー・クライズナー」 ★★★★☆

投稿日:2012年4月8日 更新日:

ジャクソン・ポロックとリー・クラズナー
「ジャクソン・ポロックとリー・クライズナー」 イネス・ジャネット・エンゲルマン著(2009年)
オススメ度:★★★★☆

ジャクソン・ポロックと、画家であり彼の妻となったリー・クライズナーの出会いは、ジョン・D・グレアム(John D. Graham )という人物が企画した展覧会に、2人がそろって出品依頼をされたことがきっかけでした。

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グレアムは、「自分が選んだアメリカのアーティストたちの作品が、ピカソやマティスやブラックといったヨーロッパの芸術家たちの作品に勝るとも劣らぬ素晴らしいものであるということを、この展覧会によって示したい」と願っていました。先日このブログの他の記事にも描きましたが、グレアムは、その後、ポロックの芸術観に大きな影響を及ぼしました。

クライズナーは、自分と同様にグレアムに選ばれた当時無名のポロックの作品が気になり、突然ポロックのアトリエを訪ねました。そこでポロックの作品を初めて見たクライズナーは、その時から、彼のことを優れた画家として尊敬するようになります。ここから、2人の親密な関係が始まりました。この当時のポロックに対するクライズナーの思いを、彼女の甥が次のように表現しています。

 リーはまるで若い娘がヒーローを崇拝するかのように、ジャクソンのことを熱愛しつづけていました。

さて、この本の面白いところは、彼ら2人の作品を時系列で鑑賞しながら、その後の彼らの関係の変化を垣間見ることが出来る点です。

ポロックが優れた作品を制作していた頃、彼女は、ポロックからとても強い影響を受けていました。彼の作品を認めていたわけですから、当然と言えば当然かもしれません。時には、ポロックの作品に比した彼女の作品が、非常にくだらないものに思え、破棄してしまうこともあったとか。そんな彼女は、次第に、彼女自身の制作を脇に置き、画家ポロックのサポートの方にウエイトを置くようになりました。

しかし、そのようなことも長くは続きませんでした。なぜなら、ポロックが画家としてふるわなくなるなって以来、クライズナーのポロックに対する思いもまた、次第に衰えていったからです。
画家としての短い、しかし華やかな時期を過ごしたポロックは、周りからの過度な期待がプレッシャーとなり、精神的に病んでしまいます。彼はその後、自滅の一途を辿ります。
ろくに絵も描けなくなってしまったポロックを、彼女は尊敬できなくなっていました。そんな時、置き去りにしてきた彼女自身の制作に、再び火がついのです。クライズナーは、作品に対する考えをポロックに知り合う以前にリセットし、独自の作品を模索し始めました。

クライズナーがポロックに思いを寄せたのは、彼女にとって、ポロックが優秀な画家であったことと無関係ではないでしょう。ある意味、クライズナーが打算的な女性に見えないこともありません。しかしながら、案外、画家として、また一人の女性として、彼女の存在は時代を超えてリアルな部分を秘めていると私は思っています。
大変面白い本です。是非ご覧ください。

ポロック関連記事: 「ジャクソン・ポロックのドリッピングを科学する」
「ジャクソン・ポロックの絵と、家屋のペンキ塗りの深い(?)関係」

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