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ポロック 美の20世紀(15) ★★★☆☆

投稿日:2012年4月9日 更新日:

美の20世紀(15)
「ポロック 美の20世紀(15)」 ドナルド・ウィガル著(2008年)
オススメ度 ★★★☆☆

この画集は、図版がとても美しく、さらに価格は1,600円と手ごろであるため、ポロックの作品と生涯を知るための最初の一冊としておすすめします。ポロックの作品が、著者独自の視点を交えて分かりやすく解説されています。

私がこの画集のテキストの中で、もっとも印象深かったのは、ポロックが「アクション・ペインティング」の制作過程をどのように捉えていたのかということを、著者、ドナルド・ウィガルが説明しているところです。先日私は、同様のことについて私なりの考えを書いたのですが、私のそれとは違い、彼の説明はとても美しいです。

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ウィガルはまず、以下の有名なポロックの言葉を引用しています。ポロックは、キャンヴァスを床に敷いて制作する理由を、次のように話しています。

 床の上では、私はより気楽でいられる。より絵の近くに、より絵の一部であるように感じられるのである。なぜなら、このようにすれば、その回りを歩き、四方から制作して、文字通り絵画の中にいられるからだ。

このポロックの言葉を、ウィガルは、小説家 ジョイス・キャロル・オーツ(Joyce Carol Oates:1938年〜)の言葉を手掛かりに読み解いています。以下少々長くなりますが、その部分を引用します。

 ポロックはしばしば、制作中自分は過程の「中に」あるといっていたが、そういうことは別にポロックに特有のことではなかったし、絵画に限ったことでもない。そういった現象は、たとえば小説家ジョイス・キャロル・オーツなど、他の書き手や作り手たちにもよく見られるものである。近年オーツは、おそらくポロックが言おうとしていたことの大部分を、次のように語っている。

「明朝、私は机に向かっているとしましょう。その時、私は文章を書いています。それはとてもリアルなことです。それは過程です。5年後それが本になって出版されるとして、その時それは結果です。過程とは人がそこに生きるところのもので、結果はその終わりにやってきます。それは、首尾よくいくこともあれば、それほどうまくいかないこともあります。ですが、過程は人に幸福を与えてくれます。人は、過程の中では幸せでなければなりません。何か未来の救いを待っている状態では、世界で最も偉大な作家と呼ばれるようになることはないでしょう。」

過程というのは、結果を生み出すためにやむを得ず通過しなければならないことでもなければ、ましてや、苦行のようなものでもない。過程それ自体が、生きる充実感と直結している。と著者は言っています。
ポロックは、実生活の中で、うつ病やアルコール中毒、また彼自身の性格といった様々な悩みを常に抱えていました。そんな彼にとって制作は、のびのびとした生の実感を得られる唯一の時間だったのかもしれません。

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