やまでら くみこ のレシピ

短時間で簡単に作れる人気家庭料理を紹介。

ミリアム・カーンの人物画の魅力

投稿日:2012年4月16日 更新日:

smiriam cahn

 今日、ミリアム・カーンの絵をネット上で見ていた時、ふと気がついたことがあります。
 それは、彼女の絵を いくつか並べて鑑賞した場合とくらべて、1枚の絵のみを眺めた場合には、作品がそれほど面白く感じられないということです。彼女の世界観を理解するには、複数の絵を一緒に見る必要があるように思います。


 冒頭の一枚の絵をご覧ください。カーンが描く人物は、一見幽霊のように見えます。輪郭がぼーっとしていて、抵抗感のある肉体はまったく感じられません。彼女の描く「人」は、身体という殻から溶け出て、背景に浸透し、画面全体を支配しているように感じます。カーンの興味は、肉体の向こう側にある、個々人の心の根源のようなものを表現することにあると思います。

 しかしながら、たくさん並んだ彼女の絵を見ると、また違った見え方がします。先日私は、六本木で行われているミリアム・カーンの個展を見に行ってきました。
 その時私が感じたのは、カーンの制作の目的は、絵1枚1枚を表現すること以上に、たくさんの絵を並べた時に見えてくる作中の人物の多様性を表現することにあるということです。
 彼女の人物画は、人間の服装や外見的特徴を捉えようとしているわけではありません。しかし、それらをほとんど説明していないにも関わらず、彼女の描く人物は、驚くほど幅が広いのです。彼女は、抽象的表現によって個人の違いを表現しています。
 このような人物の捉え方というのは、実は、私たちにとって、とても新鮮なものです。私たちは、普段、外見的特徴のみに目を奪われて、逆に盲目になっているのかもしれません。カーンの絵は、そのような人の見方など、ナンセンスだと言っているように思います。

画像引用元:HENRY WOOD INNER WORKINGS

「ミリアム・カーン 私のユダヤ人、原子爆弾、そしてさまざまな作品」
2012年3月24日?5月12日
WAKO WORKS OF ART にて

おすすめ記事

ジャクソン・ポロックのドリッピングを科学する。

ジャクソン・ポロックが描いた「ドリップ・ペインティング」は、一見、子供…

村上隆のゲルニカ。「五百羅漢図」

村上隆さんの大規模な回顧展「Murakami-Ego」が、2月9日から…

Anton Garcia Abril:スペインの現代アート、コンクリート製「トリュフ」

天然の岩の内部をくりぬき、そこに窓を設置したかのような構造物。これは、…

ロッククライマーがつくる彫刻  ダグ+マイク・スターンの「ビッグ・バンブー」

写真をご覧ください。木材を積み上げてつくられた、巨大な鳥の巣のような構…

音が描く模様。聞こえない音の視覚的な美しさ by カールステン・ニコライ(Carsten Nicolai)

子どもの頃、私は、雷が大嫌いでした。降りしきる雨の中、突然に光る空、そ…

セザンヌの絵が解き明かす、現代の脳科学

画家セザンヌが生きた19世紀、人間の感覚は、外の世界のありのままの姿を…

刺青から紐解く炭鉱夫の恐怖。山本作兵衛の世界

2011年5月、画家山本作兵衛の絵が、日本で初めて世界記憶遺産に登録さ…

地中美術館の「モネの一室」が素晴らしい。オランジュリー美術館との比較。

「睡蓮」によって大装飾空間をつくり出す。晩年のモネのそうした構想をもと…

モノに喋らせる。皿が泳ぐプール。 by セレスト・ブルシエ=ムジュノ(Céleste Boursier-Mougenot)

20世紀のアメリカで活躍した美術家、マルセル・デュシャンは、当時のアー…