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ポロックは最期まで、野心家であり続けたか

投稿日:2012年4月23日 更新日:

number11 1951
「Number11, 1951」 ポロックのが晩年に描いた黒い絵

 「生誕100周年 ジャクソン・ポロック展」には、ポロックが晩年に描いた黒を基調とした絵が数多く展示されています。これらの作品は、一般的にポロックの凋落期の作風と説明されることが多いようです。
 しかし同展は、この黒い作品群をポロックの前進的な模索の跡であると捉え、生涯、野心的であり続けたポロックを称賛しています。

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ポロックが最も優れた作品をつくったのは、1940年代後半から1950年の間であると思われます。その中でも1950年という年は、ポロックがとりわけ精力的に制作し、また高い評価を得た年でした。
 この年、ポロックは、アシール・ゴーキーデ・クーニングとともに、ヴェネチア・ビエンナーレのアメリカ代表となりました。その際出展された3点(「Number 1A 1948」 、「Number12 1949」「Number23 1949」 )のうち、「Number 1A 1948」は、「ピカソの作品を過去のものとした」と大絶賛されたそうです。当時ピカソは、前衛の象徴のような存在でした。ピカソを超えるべき存在として常に意識していたポロックは、この言葉に歓喜したに違いありません。  

 しかし、ポロックは、この華やかな1950年を経て、作風を一転させます。彼は突如、先の黒い絵を描くようになるのです。
 残念ながら、ポロックは、この絵によって、ふたたび1950年のような注目を浴びることはありませんでした。ヴェネチア・ビエンナーレの称賛のあと、6年後、彼は自動車事故で亡くなりました。

 さて、ポロックの妻、リー・クライズナーは、この1950年を境としたポロックの劇的な変化について、次のような言葉を残しているそうです。

 50年の展覧会のあと、次に何をするというのでしょう。彼は、それ以上同じことをするようなまねはできなかったのです。

  このクライズナーのひとことからは、絶頂期の成功に決して囚われることなく、生涯、斬新さを模索し続けたポロックの姿が浮かんできます。今回の展覧会では、この彼女の言葉の効果で、ポロックの生涯がとても美しく解釈されているように思います。
 
ところが一方で、同展とはまったく異なる捉え方もあるようです。私が数冊の本と映画から得たポロックの晩年の印象は、単に寂しいだけでした。ポロックの晩
年の作品は、彼自身の精神の薄弱さによってつくられ、衰勢していったのです。そこには建設的な思考錯誤はありませんでした。
 
 ポロックの晩年は実際どうだったのか。その答えはどこにもなく、ただ、私たちが欲するポロック像がさまざまなかたちで存在しているだけなのかもしれません。
 先のクライズナーのひとことは、ポロックの絵を愛する私を、まるで心地よく酔いしれたような心持にさせてくれます。

画像引用元:wahoo ART

2012年2月10日?5月6日
10:00?17:00(金曜日は20:00まで)
月曜日休館(4月2・30日は開館)
東京国立近代美術館にて

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