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「不幸せという美しさ」 森村泰昌の言葉より

投稿日:2012年4月25日 更新日:

「美しい」ってなんだろう?

 美術家の森村泰昌は、著書『「美しい」ってなんだろう?』の中で、「美しい」という言葉が多くの人に忘れ去られていると憂えています。

 私は時々このブログで「美しい」を使いますが、日常会話では殆ど使っていません。それはなぜかと考えてみたのですが、そもそも、「美しい」を必要とするような会話をあまりしていないからであろうと思います。
 では、「美しい」という言葉が必要な会話とはどのようなものか?それは、白とも黒ともつかない微妙なニュアンスをもった話しなのだと思います。つまり、私の日常には、そのような会話が少ないのです。

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さて、この本で森村は、「美しい」という言葉が忘れられていくに従って、私たちの抱く世界観が狭まっていると語っています。彼は、日常的に強調されている価値観の陰に消えつつある領域を、「美しい」という概念によってすくいあげたいと考えているようです。
 例えば森村は、ルノアールやモネのような印象派の絵と、ゴッホの絵を取りあげて、私たちが抱く「幸せ」のイメージについてふれています。

 だれもが「幸せ」を感じる芸術作品の代表格として、森村は、印象派のルノアールやモネの絵をあげています。確かに、私も、彼らの絵にやすらぎのようなも
のを感じます。それを幸福感と言い換えることもできるでしょう。印象派の絵に人気が集まるのは、この陶酔感と無関係ではないように思います。
 一方、ルノアールやモネの絵と比較するかたちであげられているのが、ゴッホの絵です。森村はゴッホの「「種をまく人」について次のようにコメントしています。

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ゴッホ 「種をまく人」 1888年

 畑に種をまくひとがいますね。きっとこの畑はあまり肥えていないのです。まずしい土地なのです。ホントの現実は暗いのです。でもこのひとは一生懸命、種をまきます。いつかきっと実り豊かな畑になると信じて。
 
 
つまり種をまく人のこころには、こうやって一生懸命がんばれば、きっと輝かしい豊かな実りにつながるんだという夢がある。この夢は祈りにも近い気持ちで
しょう。いまの現実はくらいかもしれまいが、この種をまくひとのこころのなかにある将来の夢として、サンサンと光をあびる明るい豊作の畑があるわけです
ね。 

 ゴッホの絵も印象派のそれと同様に、決して暗い色で描かれているわけではありません。しかし、印象派の絵と異なり、ダイレクトな幸福感を感じるわけではありません。むしろそこには、不幸ととなりあわせの現実が描かれています。
 
 森村は、印象派の絵とゴッホの絵について次のような説明をしています。ルノアールやモネの絵は「幸せという美しさ」を描いているが、ゴッホは、「不幸せという美しさ」を描いた。つまり、ゴッホは、不幸せを美しい表現に変えた。
 
 「美しさ」というキーワードで結ばれたこれらの絵は、「幸せ」と「不幸」の二項対立的な捉え方を緩和し、より深淵な人生観を引き出してくれる。森村はそう考えているように思います。

画像引用元:西洋絵画美術館
テキスト引用元:『「美しい」ってなんだろう?』 森村 泰昌 著 
 
「森村泰昌モリエンナーレ まねぶ美術史」
2012年4月7日?6月10日
静岡市美術館にて

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