やまでら くみこ のレシピ

人気レシピの作り方を分かりやすく紹介します。

「山口晃の電柱」比較

投稿日:2012年4月28日 更新日:

 唐突な問いかもしれませんが、日本人にとって電柱とは、どのようなものでしょうか。
 私には、空気のような存在に思えます。生活する上で必要不可欠であるにも関わらず、日常ほとんど意識することがないからです。
 しかし一方で、単にうっとうしいと思っている人もいることでしょう。電柱が林立した街並は、お世辞にも美しいとは言えません。また、狭い道路にあっては通行の妨げとなることや、災害時の防災における問題もしばしば指摘されるところです。

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「扇配子の字行形柱 」 2010年

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山口晃は、電柱をモチーフとした絵やインスタレーションを度々制作していますが、彼が表現する電柱は、空気のようでもなければ、うっとうしくもありません。とても個性的で、親しみが湧きます。カワイイ電柱だと思います。
 
山口は、それらの作品を「活け花」と関連づけて語ります。電柱を、華道で用いる剣山(ケンザン)に見たてているのでしょうか。そこには、彼の描く絵の世界
から抜き出てきたようなオブジェが、彼のセンスによって「活けられて」います。活け花のような完結した宇宙があるように思います。

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「忘れじの電柱」 2012年

  ところで、新作「忘れじの電柱」は、先の電柱とはだいぶ趣が異なります。決してカワイくはない。こんな電柱もありだったのか。私は、山口の新しい一面を見たような気がしました。
 実はこの電柱の棒の部分は、展示会場(メゾンエルメス8階フォーラム)の既存の柱なのです。山口はそれにいくつかのパーツを取り付けて電柱をつくっています。

 
先の電柱とくらべてみると、まずとても大きい。そして支柱部分が木製ではない。電柱の下の方には、男性用便器やブランコのような遊具、また花器などのオブ
ジェが取り付けられているが、いまひとつ電柱との馴染みが薄い。決定的に違うことを、一言でまとめて述べるとすれば、この作品には山口の独特の世界観が存
在しない。

 日常からふと異空間に入り込んでしまったような不思議な感覚。山口の作品を鑑賞する醍醐味はそのようなところにあると私は思ってきました。しかし今回の一風変わった山口の電柱を見て、私は勝手に想像しました。彼は、作品の中の世界と現実との間に、より強固な繋がりをつくりたいと考えているのではないかと。山口は彼の世界観をより現実の中に浸透させたいのではないか。
 今回の展覧会では、山口の作品が今後大きく変わっていく予兆のようなものを感じました。私は、彼の今後の展開がとても楽しみです。

画像引用元:Art It弐代目・青い日記帳

「望郷?TOKIORE(I)MIX」 山口晃 展
2012年2月11日?5月13日
メゾンエルメス8階フォーラム

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