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「村上隆の五百羅漢図」 スーパーフラットからの脱却

投稿日:2012年5月4日 更新日:

smurakami
「五百羅漢図」

 村上隆の新作「五百羅漢図」についての批評記事が美術手帖の4月号に掲載されています。その記事は評論家の椹木野衣により執筆されたものであり、記事中で椹木は、この作品について、「いままでの村上隆の絵とはだいぶ趣が異なっている」、「『スーパーフラット』には見えない」と述べています。

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たしかに「五百羅漢図」は、これまでの村上作品とは一線を画しているように思えます。以前にもこのブログに書きましたが、過去の作品との違いは、ネット上の画像からも確認することができます。
 例えば、お馴染みのキャラクター、DOB君やお花、カイカイ&キキなどがどこにも見当たらないこと。東日本大震災というずっしりと重みのあるテーマで描かれているということ。そして、作品自体がとてつもなく大きいこと。

 しかし、椹木の指摘している差異は、そうした類のものだけではないようです。彼は、この作品の特徴を、「多様性」あるいは「超複雑性」という言葉で表現しています。
 
記事によると、この作品は延べ数百人の美大生の手により制作されているそうです。こうした制作体制は、従来のものとは大きく異なっています。そして、椹木
は、このやり方こそがこの作品を特徴づける大きな要素であり、「多様性」そして「超複雑性」を生み出した源泉であると指摘しています。
 村上が従
来から「馬鹿」と批判してきた美大生、彼らを集め、指揮し、一つの方向に向かわせた結果がこの「五百羅漢図」という作品であるということなのでしょう。だ
からこそ、少数精鋭で制作されてきたこれまでの作品にはない、偶然の産物としての複雑さがこの作品には存在するのだと思います。

 ここで興味深いのは、その偶然とは、村上により意図的につくられたものであるという点です。手放しの偶然ではないのです。村上は、新たなスタイルを獲得する手段として、今回の方法を選択したのだと思います。
 椹木は、同記事の中で、美大生を集めた背景には美大生の啓蒙、つまり美術教育という側面があると述べています。たしかにそうした側面はあるのでしょう。しかし、それは村上にとってはあくまでも二次的なものにしか思えません。村上が一番に目指したものは、自らが意図したとおりに制作される「スーパーフラットな作品」からの脱却にあったのだと思います。

関連記事:村上隆のゲルニカ。「五百羅漢図」
参考文献:美術手帖 2012年 04月号  「五百羅漢図とは誰か」 椹木野衣 著
画像引用元:すご早!アート2.0

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