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モチーフに振り回されるセザンヌなんて考えられない

投稿日:2012年5月11日 更新日:

 もし、セザンヌの絵をたった一言で表現するとすれば、私だったら、「冷静」という言葉を選びます。
 なぜ、「冷静」なのか。それは、セザンヌの描く作品からは、モチーフに対しての彼の感情がまったくと言っていいほど伝わってこないからです。セザンヌは、ごく身近な、おそらく彼にとって愛着のあるモチーフを、完璧な画面をつくりあげるためのパーツのひとつに置き換えてしまいます。

 例えば、果物というモチーフ。彼にとっては、その果物のバックグラウンド、例えば、自宅の庭から収穫したものなのか、それともどこかで購入したものなのかなどといったことは、取るに足りないことに違いありません。
 人物についても同様のことが言えそうです。目の前でポーズするモデルは、愛する妻であっても、出会ったばかりの親しみの湧かない人物であっても、何も支障がないように思えます。

 ところが、セザンヌは、どんなモチーフを目の前に出されても、同じように淡々と絵を描けたわけではありませんでした。彼は、制作の際の冷静さを保つために、モチーフの選別をしています。

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scezanne
「大水浴」

 セザンヌが、水浴をする人々の絵を何枚も続けて描いていた頃のことです。
 彼は初め、その絵の中に数人の男女を混在させていました。しかしある時期から、女性だけ、もしくは男性だけに統一された絵を描くようになったそうです。
 セザンヌはなぜ水浴する人の性別を統一したのでしょうか。それは彼の個人的な感情と関係しています。セザンヌはその頃、女性との関係がうまく築けないことを悩んでいたそうです。彼は、この問題に絵が影響されることがないように、男女別の水浴の絵を描くようにしたのだそうです。

 キャンヴァスを前に冷静であり続けるために、セザンヌは、制作を取り巻く環境をコントロールしていました。彼は決して、常に平静さを保てる人ではなかったようです。厳格に構成された絵からは想像できない、セザンヌの人間味溢れる一面が垣間見えるようで、私はとても嬉しくなりました。

参考資料:「セザンヌ パリとプロヴァンス」キャプション
画像引用元

「セザンヌ パリとプロヴァンス」
2012年3月28日?6月11日
国立新美術館にて

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