やまでら くみこ のレシピ

人気レシピの作り方を分かりやすく紹介します。

書家・華雪の「刻」

投稿日:2012年5月16日 更新日:

 前回の記事で、華雪のライブパフォーマンス画像「わたし」を紹介しました。そこに映し出された、華雪が文字を書く姿は見るものを圧倒します。
 その反面、彼女の姿にばかり目を奪われてしまうためか、書かれた文字自体の印象がどうしても薄くなってしまいます。

 ですから、パフォーマンスはとりあえず置いておいて、出来上がった彼女の書のみを鑑賞するのも悪くありません。むしろ、ライブパフォーマンスとは違った趣が感じられて面白いと私は思います。

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「刻」

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 先日、渋谷ヒカリエに新しくできたギャラリー8/CUBE1,2,3で、華雪の書を5点ほど鑑賞しました。パフォーマンスなしの書のみです。その中で、私が特に気に入ったのは、この作品、「刻」です。

 事前に何も説明を受けなければ、この作品から「刻」という字を見出すのは少し難しいことかもしれません。私も作品の脇のキャプションを見なければ分かりませんでした。しかし、私にとってはそれは大した問題ではありません。というのは、私は、文字としてではなく図像としての面白さに惹かれたからです。

 私は、彼女の書は絵画のようだと思います。華雪は、画面に「刻」というたったひとつの文字しか書いていません。しかし、その一文字の中には驚くほど豊かな表情が見えます。

 その風情を生み出している要因のひとつとして、彼女の使用する筆が挙げられます。華雪は、幼少の頃に教わった書道の先生のすすめで以前から筆を特注しています。その筆は、一般的なものと比べてとても毛が長いのが特徴であるそうです。おそらく、この変わった筆を使いこなすには、それなりの訓練が必要でしょう。もしかすると、それを使いこなすことは、彼女にしかできない芸当なのかもしれません。しかし、もし思うままにコントロールできるのであれば、おそらくそれは、表情豊かな文字を生み出す切り札となるように思われます。

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右から「刻」「手」「花」

 ところで、華雪の特注している筆は、実は、彼女自身の髪の毛で作られています。私も今回初めて知ったのですが、髪の毛を筆に加工してくれる店というのが存在するのだそうです。そうした店が存在するということは、髪の毛で筆をつくるニーズがあるということなのかもしれません。私は、髪の毛で筆をつくる動機とはどのようなものなのか、今とても興味を持っているところです。

 道具が人に馴染んだ状態のことを、「身体の一部になる」と表現することがあります。彼女にとって筆というのは、その材質が示す通り、彼女の身体の延長なのでしょう。

参考資料:華雪ホームページ 華雪 Kasetsu
       TOKYO SOURSE 華雪
 集英社インタビュー 華雪

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