サラリーマンは、税制面で損しがちな職種だと私は思います。
「十五三一(とうごうさんぴん)」という言葉を御存じでしょうか。
この言葉は、4つの職業における所得がどれくらいの割合で税金の対象となっているのかを表わしています。
4つの職業とは、サラリーマン、自営業者、農家、政治家。
この言葉によれば、サラリーマンは、所得の10割に税金がかけられます。自営業者だと所得の5割です。同様に、農家は3割。政治家は、なんと1割のみ。
サラリーマンは他の職業にくらべていかに税金をキッチリと取られているかが分かりますね。
うちはサラリーマンですが、この言葉通りに税金を払い続けていたくはありません。賢い節税対策を模索したいと思います。
というわけで、今日はサラリーマンの節税方法を簡単にまとめました。
サラリーマンの税負担
そうは言っても、厳密に言えば、この言葉通りサラリーマンの給与の100%が所得税の対象になるわけではありません。
サラリーマンは所得税控除が受けられます。所得税控除には、「配偶者控除」や「扶養者控除」など会社が手続きを代行してくれるもの以外にも、自分で申請することで得られる「医療費控除」や「雑損控除」などがありますね。
また、サラリーマンにも必要経費に相当するものが認められています。給与の3割前後は、「給与所得者控除」として自動的に所得税の控除対象になっています。
しかし、これらの控除を合わせてみても、それほどメリットがあるとは思えません。経費が認められているとは言え、所詮3割。経費を自分で計上できる世界にはかないません。サラリーマンではない人たちの間では、もっと多くの経費を当たり前のように計上しているそうです。
無税生活 (ベスト新書)の著者・大村大次郎さんによれば、自営業者であっても、収入の6割くらいの経費をごく普通に計上しているそうです。ですから、先の「十五三一(とうごうさんぴん)」という言葉を照らし合わせると、おそらく農家や政治家は、平均的にもっと経費を使っているのでしょう。
なぜ、サラリーマンとそれ以外の人たちの間にこれ程の差がつくのか。
それはおそらく、サラリーマンではない人たちは、税金を自分で申告することができるからでしょう。彼らは、収入から経費を差し引いた所得を自分で計算することができます。ですから、税金を極限まで安くすることも可能です。
サラリーマンの税申告は会社がやってくれます。これはある意味ラクと言えますが、税申告に直接かかわれないデメリットも大きいと言わざるを得ません。
サラリーマンが節税する方法
サラリーマンがこのような状況から抜け出す第一歩は、給与所得以外の所得をつくり出すところから始まります。
最近では、不動産賃貸経営やアフィリエイトなどの副業を持っているサラリーマンも多いようです。これらの副業で少しでも収入がアップすることには、もちろん大きな意味があります。
しかし、もし社内規程で副業が禁止されていないのであれば、それを副業のまま、お小遣いかせぎ程度に止めておくのはモッタイナイ。なぜなら、単なる副業のままでは決して節税にはならないからです。収益を上げつつ同時に堅実な節税をしていくには、副業を「事業」にすることが必須です。
事業所得・不動産所得と雑所得の違い
アフィリエイトなどの副業で得られる収入は、「雑所得」と呼ばれます。一方、事業と行なっている仕事から得られる収入は「事業所得」、不動産の家賃収入は「不動産所得」になります。雑所得とこの2つの所得には大きな違いが2点あります。
- 事業所得および事業的規模の不動産所得は、他の所得、例えば給与所得と損益通算できる。
- 事業所得および事業的規模の不動産所得は、青色申告をすることにより、65万円の青色申告特別控除が受けられる。
※損益通算とは・・所得課税において2種類以上の所得があり、1つ以上の所得が赤字で他の所得が黒字という場合に、それぞれの黒字の所得と赤字の所得を一定の順序に従い差し引き計算を行い、利益と損失を合算して計算することができるというもの。(金融・経済用語辞典より)
この損益通算というのは、サラリーマンが節税するためにとても有効な武器になります。たとえば、事業所得で赤字が出た場合、給与と損益通算できるので、所得税が節税できるのです。65万円の控除も大きいですね。ちなみに、雑所得で青色申告をした場合の控除額は、たったの10万円です。
事業所得認定の際に税務署がチェックする7項目
では、どうすれば雑所得を事業所得にすることができるのでしょうか。
それは、その収入のもととなった仕事が、副業ではなく事業であることを税務署でしっかりと説明できればよいのです。
事業所得の定義というのは、実ははっきりしたものがありません。
以前は、事業所得の認定はわりと簡単だったそうですが、現在では、あまりに実態のない事業を持ち出して損益通算狙いをする人が後を立たなかったため、事業所得の認定はわりと厳しく行われているそうです。
「生涯税理士」というサイトによれば、現在税務署では認定の際、以下の7項目についてチェックを行っているそうです。
- 【事業所得認定の際に税務署がチェックする7項目】
- 営利性有償性の有無
- 継続性
- 自己の危険と計算における企画遂行性の有無
- 精神的あるいは肉体的労力の程度
- 人的、物的設備の有無
- 社会的な地位
- 生活状況
利益を目的とし、仕事の対価としてお金を貰っているか
現在から将来にかけて反復継続的に繰り返されているか
事業上のトラブルの責任は事業主にあるか、株の売買などの場合は売買する株を自分で判断しているか
会社に勤めながら、余暇で少しだけしている程度でないか
従業員がいるか、事業をする設備があるか
事業主として周りから認知されているか
その仕事で生活費できているか (「生涯税理士」より引用)
これらの項目をまとめて、税務当局はこんなふうに表現しています。
事業所得とは「社会通念上、事業と認められるもの」であり、その判断基準は、「いわゆる本業であってその利益から生活費を求めるものであるか否か」である。
一見怯みますけど、要は、これらの点において自分は事業として収入を得ているということを説得できればよいのです。
不動産所得の事業的規模は「5棟10室」
不動産所得が事業的規模に該当するかどうかの判断基準は、事業所得よりもシンプルです。というのは、実は簡単な目安があるんです。あくまでも目安ですけどね。けれども、それがあることで、税務署に対し、安心して事業的規模をアピールすることができるんです。
その基準というのは「5棟10室」という言葉で示されています。これはつまり、貸家などの場合は5棟、1棟ものの区分であれば10室を所有していれば、事業的規模であ
ることを表わしています。分かりやすくていいですよね。
しかも、不動産の場合、「減価償却費」によって、ある程度の経費を計上できます。投資物件の建物部分は古くなるにしたがって評価額が下がっていきます。減価償却費というのは、その目減り分のことを言います。この減価償却費は、節税対策にも有利と言えると思います。
私は現在、不動産投資で、この5棟10室を目指しています。
投資や事業で成功するためには、やはり税金という観点は外せないものだと思います。
※ 投資と節税は自己責任で!
