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失われたパンゲア大陸。石化した帆船。 by チアゴ・ホシャ・ピッタ(Thiago Rocha Pitta)

投稿日:2012年11月18日 更新日:

s-earth

パンゲア。はるか昔に存在していたと言われる超大陸です。学者のなかには、あのアトランティスもその大陸の一部だったと主張する人もいます。とても夢のある話ですが、この話の真偽は私には分かりません。でも、大陸が少しずつ長い時間をかけて移動していることは事実のようです。その距離は年間数センチ。仮に超大陸がかつて存在していたとして、それが現在の6大陸の位置に分裂するまでに一体どれくらいの時間がかかるんでしょうね。なんだか気の遠くなりそうな話です。

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「Monument to the Continental Drift」Thiago Rocha Pitta(2011)

今回ご紹介する作品は、その大陸移動を扱った作品です。なかなか珍しいですよね。作者の名前は、チアゴ・ホシャ・ピッタ(Thiago Rocha Pitta:1980年から)。ブラジル出身のアーティストです。上の写真は、「大陸移動の記念碑(Monument to the Continental Drift)」と題されたシリーズの中の1作です。
ホシャ・ピッタの解説によれば、この作品は、「化石となった帆船」を表わしています。船の帆はコンクリートにより石化しています。

草原の中に鎮座する化石となった帆船。なんだか、物語を感じる作品ですね。
遠い昔、海上の風に帆をたなびかせていた帆船。しかし今は、草原に吹く風にも微動だにしません。どこかの海で座礁したのでしょう。かつて海であった場所は陸となり、帆船は、長い時間をかけてこの場所に定着しました。そんなお伽噺が妙にしっくりとくる作品です。

この作品が興味深いのは、「自然(nature)」における「時間」を表現している点にあります。数十年の寿命しかない人間には、想像することすら難しい、悠久の時間。この帆船は、そうした時の流れのなかに存在しています。この船は、石化した現在でも航海を続けているのです。にもかかわらず、私たちがそれを理解できないのは、私たちに与えられた時間があまりに短すぎるからなのです。

作者であるホシャ・ピッタは、「自然」に対して強く畏敬の念を抱いているように思います。「自然」は、人間とは無関係にそこに存在する。人間が好き勝手に「自然」を解釈しているだけである。そうした考えを持っているのでしょう。レジャー、恵み、あるいは脅威。そうしたこちらの都合に一切の配慮をしない「自然」、その姿を彼は表現したいのだと思います。

彼は、次のように語っています。

 現代人が自然について語ることは、とても難しい。なぜなら、都市に暮らす私たちは自然から隔てられているからだ。さらに、そうした環境で熟成された文化が、自然に対する考え方をより複雑なものにしている。 

自然は、もはや、私たちの暮らしの中にあるものではない。あるとすれば、公園のような管理された形で存在するだけである。ピクニックやキャンプをしに山や森に出かける人もいる。しかし、それもレジャーとして非日常を味わっているにすぎない。いずれにしろ、自然が、生活の外側にあるということに変わりはないのだ。

だからこそ、彼は「自然」を表現することの難しさを感じているのだと思います。人間の都合で切り取った「自然」は、はたして本当に「自然」そのものなのか。そうした自問を繰り返しながら、制作をしているのだと思います。

今回、彼は「時間」を切り口として「自然」を表現しようとしました。その試みはある程度うまくいっているように思います。しかし、結局は「自然」を鏡として自己を写していることに変わりはありません。彼の自問自答に終わりはないのかもしれません。

※今回ご紹介した作品(屋内展示)は、原美術館で開催されている「ホームアゲイン―Japanを体験した10人のアーティスト」展で鑑賞することができます。

参考サイト:
Nostalgia of Pangea
The Garden of Forking Paths
Thiago Rocha Pitta
Forces of nature: Thiago Rocha Pitta
Thiago Rocha Pitta Heritage, Brazil, 2007
画像引用元:
Earth Horizon By DonkeyHotey
GARERIA MILLAN

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