
管理栄養士の小山浩子さんが考案した、「乳和食」のレシピをご紹介します。
「乳和食」とは、牛乳を使った和食のこと。
カレーやシチューに牛乳を加えるのはごく一般的ですが、「乳和食」は、牛乳とはほぼ無縁と思える料理も含めた、幅広い和食に使うのが特徴です。
たとえば、「肉じゃが」や「かぼちゃのそぼろ煮」、そして「サバの味噌煮」といった純和風の煮物。
さらに「豆腐料理」や「酢の物」にも、牛乳を使います。
牛乳と組み合わせることが意外な料理ばかりですが、牛乳臭さはなく、とても食べやすいとのこと。牛乳は、和食全般に合うようですよ。
ところで、和食中心の食生活をしていると、醤油や味噌で、塩分の摂取量が高くなりがちです。
でも、普通の和食を「乳和食」に切り替えるだけで、塩分の摂取量を、およそ半分も減らすことができるそうです。
牛乳のコクと旨みが料理に加わるので、塩を控えても十分満足できる料理が作れると、小山さんはおっしゃいます。
さて今日は、そんなヘルシーで美味しい「乳和食」のレシピを4品ご紹介します。
「あさりのミルク味噌汁」と、牛乳で作る万能調味料「ミルク酢」。そして、ミルク酢をいかした「れんこんしょうゆ炒め」と「わかめときゅうりの酢の物」です。

なお小山さんは、「目からウロコのおいしい減塩 乳和食」という、乳和食の料理本を執筆しています。
この料理本は、料理のプロでもなかなか獲れない「グルマン料理本大賞」を受賞して話題になり、出版から1年で3万部売れています。
牛乳のコクと旨みをいかした和食のレシピが、たくさん掲載されていますよ。
(一部情報元:TV「あさチャン!」チャン知り 2015年6月11日放映)
あさりのミルク味噌汁

まずは小山さんが考案した乳和食、「あさりのミルク味噌汁」のレシピをご紹介します。
水の代わりに牛乳を使った、アサリの味噌汁です。
牛乳のコクと旨みで、まろやかに仕上がるそうです。
なお味噌の使用量は、半分以下に減らせるとのこと。2人分で、小さじ2杯程度の量になります。
牛乳
味噌
鶏ガラスープの素
- 鍋に牛乳・鶏ガラスープの素・アサリを入れ、強火で加熱する。牛乳が吹きこぼれないように注意する。
- アサリが開いたら、味噌を入れて溶く。できあがり。
水はまったく加えずに作ります。

実際に作ってみたところ、確かに、塩気を減らしても美味しい味噌汁ができました。
上の写真は、私が作った「あさりのミルク味噌汁」です。
牛乳ベースなので、味噌汁とは言え、かなり白っぽい出来上がりになります。
200mlの牛乳を使ったところ、鶏ガラスープ(大さじ1/4)・味噌(小さじ1と1/4)で十分美味しく作れました。
1人分の味噌汁を160mlと考えると、加えた味噌の量は、ちょうど小山さんがおっしゃる「2人分につき小さじ2」くらいになります。
あさりだけでなく、具材を変えて作ってみるのも、楽しそうですね。
万能調味料「ミルク酢」の作り方

次にご紹介するのは、牛乳で作る万能調味料「ミルク酢」の作り方です。
小山さんによると、「ミルク酢」には、牛乳のカルシウムをはじめ、マグネシウムやカリウムといった、牛乳中のミネラルが8割以上入っています。
「ミルク酢」は、牛乳に米酢を加え、分離させて作ります。
牛乳 | 500ml |
米酢 | 大さじ2と1/2 |
- 鍋に牛乳を入れて温める。
- 沸騰直前になったら、酢を少しずつ加える。ゆっくりかき混ぜると、牛乳が液体と固体に分離する。
- 2をきれいに漉したらできあがり。透明感のある液体が、ミルク酢。残った固体は、カッテージチーズとして料理に使える。
「ミルク酢」には、牛乳の栄養や旨みがたっぷり詰まっていますが、牛乳の味はまったくしないということです。

実際に作ってみたところ、ミルク酢には、優しい酸味と旨みがありました。
ちなみに上の写真は、私が作ったもの。
写真の右側にある黄色い液体が、ミルク酢。左側が、カッテージチーズです。
レシピ通りに作ったところ、400mlのミルク酢と、100gのカッテージチーズが出来ました。
小山さんによるとミルク酢は、調味料として料理に幅広くいかせるそうです。
次に、ミルク酢の使い方の一例として、小山さんが考案した料理2品をご紹介します。
「れんこんのミルク酢しょうゆ炒め」と「わかめときゅうりの酢の物」です。
れんこんのミルク酢しょうゆ炒め

小山さんが考案した、「れんこんのミルク酢しょうゆ炒め」のレシピです。
赤唐辛子
ミルク酢
ゴマ油
ポン酢醤油
- 温めたフライパンにゴマ油を引き、薄切りにしたレンコン・輪切りにした唐辛子少々を炒める。
- ミルク酢とポン酢醤油で味つけしたらできあがり。
小山さんによると、このお料理は、塩分を通常の1/3程度に減らすことができます。
少ない塩気でも、ミルク酢のおかげで、味はしっかり感じられるそうです。

上の写真は、私が作った「れんこんのミルク酢しょうゆ炒め」です。
ほのかな酸味でさっぱりとした炒め物が出来ました。レンコンの優しい風味と良く合います。
私は80gのレンコンを使い、ミルク酢(大さじ1と1/2)・ポン酢醤油(小さじ1/2)で味つけしました。
塩気は、いつもの半分程度にしたつもりです。
私は、これくらいの塩気で十分美味しいと思いました。でも夫は、もう少し塩気があった方が良いようでした。
わかめときゅうりの酢の物

またミルク酢を使うと、塩をまったく使わない酢の物も作れると小山さんはおっしゃいます。
次にご紹介するのは、小山さんが考案した「わかめときゅうりの酢の物」のレシピです。
キュウリ
ショウガ
ミルク酢
米酢
砂糖
- ワカメは食べやすい大きさに切る。キュウリは薄切りにする。ショウガは細めの千切りにする。
- ミルク酢・米酢・砂糖・ワカメ・キュウリ・ショウガを保存用ポリ袋に入れてよく混ぜ、しばらく漬け込んだらできあがり。
塩を加えなくても、十分美味しい酢の物ができるそうです。

実際に作ってみたところ、ミルク酢を加えることで、米酢&砂糖だけでは出せない旨みが加わっているのが分かりました。
ちなみに私は、下のような分量で作りました。
キュウリ(1本)・戻した乾燥わかめ(20g)・ショウガ(7g)・ミルク酢(大さじ6)・砂糖(小さじ1と2/3)・酢(大さじ4)。
ただ、食べ慣れていないからか、塩をほんのちょっとでも加える方がより美味しいと思いました。
でももしかしたら、塩をくわえなくても十分満足できる、調味料の配合比率があるのかもしれません。
サバのミルクみそ煮

最後に、日頃の食事に「乳和食」を取り入れているという、主婦の堤和美さんが考案した、牛乳を使った料理を2品ご紹介します。
「サバのミルクみそ煮」と「ふわふわがんもどき」です。
まずは「サバのミルクみそ煮」のレシピをご紹介します。
牛乳を使ってサバの味噌煮を作ると、魚の臭みが気にならないので、下処理の手間が省けるそうです。
牛乳
味噌
砂糖
酒
赤唐辛子
- 鍋に味噌・酒・砂糖・唐辛子を入れ、味噌を溶かす。
- 1の鍋に切ったサバを並べ、ひたひたくらいの牛乳を加える。落し蓋をして、10分ほど加熱したらできあがり。

堤さんのレシピを参考に、「さばのミルク味噌煮」を作ってみました。
下処理を一切せずに調理したところ、確かにサバの臭みは感じませんでした。
牛乳のコクが加わり、マイルドな味わいのサバの味噌煮になりました。
牛乳で煮たのに、不思議と出来上がりは、牛乳の味がしません。牛乳を使っていることには、殆どの人が気づかないと思います。
凝固した牛乳がサバの表面に付着してしまうのが、見た目としてちょっと残念ですが、味はけっこうイケます。
ちなみに私は、次のような分量で作りました。
サバ(2切れ)・牛乳(200ml)砂糖(小さじ1)・酒(50ml)味噌(小さじ3/4)。
塩分は、いつもの半分にしました。
これくらの薄味でも、慣れれば美味しくいただけると思いますが、味噌はもう少し多め(小さじ1くらい)にすると、もっとウケが良くなるかもしれません。
牛乳を煮魚に使えるとは、驚きました。
他の魚でも試してみようと思います。
ふわふわがんもどき

「ふわふわがんもどき」は、ミルク酢を作る過程でできるカッテージチーズを使った料理です。
カッテージチーズを豆腐に見立てて、がんもどきを作ります。
シイタケ
ネギ
卵白
ゴマ
片栗粉
塩
ミルク酢 | 大さじ2 |
ポン酢しょうゆ | 小さじ1 |
- カッテージチーズに卵白・細かく刻んだネギ・小さめに切ったシイタケ・ゴマを加えて混ぜる。
- 片栗粉・塩少々を1に加え、さらに混ぜる。
- 2をスプーンですくい、油で色よく揚げる。
- 「ミルク酢ポン酢しょうゆ」の材料を合わせる。できあがったがんもどきに、このポン酢しょうゆをつけていただく。
堤さんは、ミルク酢を一度にたくさん作り、すぐに使えない分は、冷凍保存しているそうですよ。

ところで小山さんによると、天ぷらやフライの衣に牛乳を加えるというアイデアも、なかなか使えるようです。
衣に使う水を、100%牛乳で代用します。
牛乳のタンパク質が膜になり、油の吸収を抑え、カラッとヘルシーに揚げることができるそうですよ。