
うどんの専門家、工学院大学先進工学部の山田昌治教授がすすめる、科学的に理にかなった美味しいうどんの作り方をご紹介します。
麺ものを中心に料理の美味しさを研究している山田さんは、科学の力で料理を名店の味に近づけることができるとおっしゃいます。
名店の味は、奥深いバックグラウンドに裏打ちされた職人芸の世界。
そのままを再現するのは難しいとしても、素材の違いや職人の技を科学的に分析することで、それに近い味が出せるそうです。
(一部情報元:テレビ朝日「林修の今でしょ!講座」2016年3月15日放映)
美味しいうどんを作るポイント

山田さんによると、名店のような美味しいうどんを作るポイントは、3つあります。
ちなみにうどんは、茹でうどん(チルドうどん)を使います。
- 【麺の弾力性を出す】うどんを茹でる前に、電子レンジ(500w)で30秒加熱する。
- 【ダシの成分を近づける】ダシは昆布・カツオ節・干しシイタケを使い、50度を保ちながら取る。
- 【茹でる時の水温】100度に近い高温で麺を茹でる。
以上3点について、詳しく説明します。
電子レンジを使って麺の弾力性を出す
山田さんによると、科学的に麺のコシをアップさせる鍵は、麺の水分量にあります。
電子レンジで麺(茹でうどん:1玉分)を30秒ほど加熱すると、およそ3g程度の水分が減ります。このほんの僅かな水分を飛ばすことが、麺のコシに繋がります。
ちなみに市販の茹でうどんは、多加水麺と言って、茹で過ぎても伸びにくいように、あらかじめ水を少し多めに加えて作られています。
水分量が多いので、茹で伸びはしない分、弾力性が少ないのが特徴です。
なおせっかく水分を飛ばしても、茹で時間を同じにしたら元に戻ってしまうので、通常の半分から6割程度の茹で時間にとどめます。
昆布・カツオ節・干しシイタケでダシを取る
家庭で作るうどんのつゆは、昆布とカツオ節でダシを取ることが多いと思います。
でも山田さんによると、これに干しシイタケのダシを加えるだけで、グッと名店の味に近づきます。
昆布の旨味成分は、グルタミン酸ナトリウム。そしてカツオ節は、イノシン酸。干しシイタケは、グアニル酸。
これら3つの旨味成分を加えると、相乗効果で旨味が格段に増します。
ただイノシン酸とグアニル酸は、100度で長時間煮ると旨味成分が分解してしまいます。
そのため、旨味を抽出する時は、50度くらいの低い温度で煮出すのが理想です。
高温で茹でる
また麺を茹でる温度も大事です。
山田さんによると、麺を低温で茹でると、麺が伸びたようなべちゃっとした食感になります。
麺は100度に近い高温で茹でると、コシが出ます。
そのため家庭では、麺を入れても高温をキープできるように、なるべたっぷりの湯を沸かします。
なお麺を茹でる際、さし水は不要です。吹きこぼれそうになったら、火力を調整します。
以上の3つのポイントを踏まえ、山田さんがすすめるうどんのレシピをまとめると、次のようになります。
科学の力を使ったうどんのレシピ

山田さんがすすめる、科学的に理にかなった、美味しいうどんの作り方です。
使用する茹でうどんは、スーパーなどで売られている1玉80円程度のものでも十分差が実感できるそうです。
- 昆布・カツオ節・干しシイタケでダシを取り、うどんつゆを作る。
- うどんを耐熱皿にのせ、ラップをせずに電子レンジ(500w)で30秒加熱する。
- 大きい鍋にたっぷりの湯を沸かし、麺を通常の半分から6割くらいの時間茹でる。
- うどんを器に盛り、つゆをかけたらできあがり。好みでネギなどをトッピングする。
このように調理すると、1玉80円程度の茹でうどんでも、名店の味に近づけることができるそうです。
ところで当サイトでは、山田さんが考案した「乾麺うどんを食感良く茹でる方法」も紹介しています。
こちらは実際に試してみましたが、歯応えや弾力性が出てうどんが美味しくなります。
ちょっと変わった方法ですが、とても面白いのでリンク先も合わせてご覧ください。
※上の写真はイメージで、家事えもんことタレントの松橋周太呂さんが考案した「火を使わない!コクうま沖縄風うどん」です。
たったの8分でできる、一風変わった沖縄そば風うどんです。