麺のスペシャリスト、工学院大学先進工学部教授の山田昌治さんがすすめる、科学的に理にかなった美味しいラーメンの作り方をご紹介します。
麺ものを中心に、料理の美味しさを科学的に研究している山田さんは、科学の力で料理を名店の味に近づけることができるとおっしゃいます。
名店の味は、奥深いバックグラウンドに裏打ちされた職人芸の世界。そのままを再現するのは難しいとしても、素材の違いや職人の技を科学的に分析することで、それに近い味が再現できるそうです。
(一部情報元:テレビ朝日「林修の今でしょ!講座」科学の力で家庭料理を名店の味に 2016年3月15日放映)
科学の力で名店のラーメンを作る
山田さんによると、名店のような美味しいラーメンを作るポイントは3つあります。
- 【油のきめ細かさ】スープに卵黄を加える。
- 【スープの水温】スープに加える湯の温度は、90度以下にする。
- 【味覚の幅】隠し味に焦がした胡椒を加え、苦みを加える。
以上3つのポイントについて、詳しく説明します。
スープに卵黄を加える
山田さんによると、美味しいラーメンのスープを作るポイントは油のきめ細かさにあります。
油がきめ細かいと、スープが乳化(水分と油が細かく混ざる)した状態になります。
そうすると油本来の特徴である刺激が弱くなるので、油の旨味だけが際立ち、まろやかになります。
名店ではじっくり煮ることでスープを乳化させていますが、家庭では時間をかけずに、スープに卵黄を加えます。
卵黄は天然の乳化剤。
卵黄をスープに加えると、水と油がよく混ざり、乳化しやすくなります。
ちなみに酢と油で作るマヨネーズが分離しないのは、卵黄が入っているから。
卵黄に含まれる「レシチン」には、油のまわりにくっつき、水の中で油を細かく分散させる働きがあります。
スープに加える湯は90度以下にする
またスープを湯で溶かす際には、湯の温度を90度以下にします。
沸騰した湯でスープを作ると、香りを逃してしまうためです。
香り成分は、揮発性なので高温にすると飛んでしまいます。
隠し味に焦がした胡椒を加える
美味しいラーメンを作るには、味の幅も大切です。
山田さんによると、人間の舌は、味の幅を広げることで旨味を感じやすくなります。
名店のラーメンの味を分析すると、家庭のラーメンに圧倒的に足りないのは、苦みだそうです。
そこで足りない苦みをプラスするために、焦がした胡椒を使います。
胡椒をフライパンで少し焦がし気味に炒ると、アミノ酸と糖がメイラード反応(食品に焦げ目ができること)という化学反応を起こします。
そうすると胡椒に香ばしさが加わり、奥深い苦みになります。
さて以上3つのポイントを踏まえ、山田さんのラーメンの作り方をまとめると、次のようになります。
科学の力を使ったラーメンのレシピ
山田さんがすすめる、科学的に理にかなった、美味しいラーメンの作り方です。
- 胡椒をフライパンで少し焦がし気味に炒る。
- 麺を茹でる。
- 付属のスープを90度の湯で溶かし、1玉につき卵黄1個を加えて混ぜる。
- 3に1を加え、器に注ぐ。茹で上がった2を入れる。
仕上げにチャーシュー・刻んだネギ・メンマなどをトッピングしたらできあがり。
なおこのレシピは、醤油・塩・味噌・豚骨など、様々な味のラーメンに使えます。
ちなみに味付け卵を作る場合は、カレーの苦みを加えると、美味しいそうです。
殻をむいたゆで卵を醤油・みりん・砂糖・カレー(少々)で作ったタレに漬け込めば完成です。
是非お試しください。