千年もの間ジャングルに眠っていた巨大遺跡、ボロブドゥールの魅力をご紹介します。
ボロブドゥールは、世界最大級の仏教遺跡。
遺跡そのものが仏教の曼荼羅図を立体的に表現している神秘的な遺跡です。
この記事では、まだボロブドゥール遺跡に行ったことがない方のために、見どころやアクセス、その他観光に必要な情報を、実体験をもとに分かりやすくお伝えします。
ぜひ最後までお付き合いください。
ボロブドゥール遺跡って何?
ボロブドゥールは、インドネシアのジャワ島にある仏教の遺跡です。
世界最大級の仏教遺跡。
建造されたのは今から千二百年くらい昔です。
でも、ボロブドゥールが完成してすぐに、仏教を信仰する当時の王朝が崩壊。
代わりにヒンドゥー教を信仰する別の王朝がこの地を支配したため、千年近くの間、ボロブドゥールは歴史の表舞台から姿を消すことになりました。
その後、19世紀初頭に、当時ジャワを占領していたイギリス人によって発見され、数度の修復を経て、現在に至ります。
人知れずジャングルの中に眠っていた幻の巨大遺跡。
そう聞くとワクワクしてきませんか。
ボロブドゥール遺跡の見どころは?
ボロブドゥールの見どころは、大きく分けて3つあります。
- 巨大遺跡の存在感
- 壁面に刻まれた千種類以上のレリーフ
- 遺跡上部に林立するストゥーパ(仏塔)群
世界最大級の仏教遺跡ですから、実際に生でみると、やはりその存在感に圧倒されます。
航空写真で見ると1辺が約115mの正方形。
高さは33m以上です。
正方形の基壇が5層、その上に円壇が3層、そして最上部には釣鐘状の巨大なストゥーパが鎮座しています。
この遺跡を知り尽くすには、各層をぐるっと一周しながら上へと登っていかなくてはなりません。
すべてを回ると、かなりのボリュームがあります。
上からの眺めも最高です。
見晴らしが良く、眼下には緑も豊かです。
上の写真は東側を向いて撮影したもの。
天候に恵まれれば、この先にサンライズが見られます。
正方形の基壇の壁面には、仏教の物語をモチーフにしたレリーフが数多く刻まれています。
物語は数種類に分かれていて、釈迦の半生を描いた物語やインドの青年の巡礼物語、王子と天女の純愛物語など、内容は様々。
解説本を片手に、物語を想像しながらレリーフを眺めるのも楽しいですよ。
当サイトおすすめの解説本は、「ボロブドール遺跡めぐり (とんぼの本)」です。
それぞれのレリーフについての説明が、かなりマニアックです。
遺跡上部の円壇には、数多くのストゥーパ(仏塔)が建っています。
そして、ストゥーパの内部には、ストゥーパ1つにつき1体ずつ仏像が安置されています。
また、ストゥーパ以外にも、遺跡の至るところに仏像が座っています。
これらの仏像の位置にも意味があるそうです。
というのも、このボロブドゥール遺跡そのものが、仏の住む世界を表現しているものだからです。
仏の世界を表した立体的な曼荼羅図。
そこを訪れた旅行者は、当時の仏教の世界観を疑似体験することができます。
ちなみに、個人的には、狛犬もボロブドゥール遺跡の見どころの一つだと思います。
こちらは、サル顔の狛犬。
日本の凛々しい狛犬もいいですけど、インドネシアの可愛らしい狛犬も捨てがたいです。
注意深く観察すると、遺跡内の色んなところに座っていますよ。
レリーフにはどんな物語が描かれているの?
レリーフに描かれている物語は、階層ごとに異なります。
また、1階層目だけはレリーフが上下二段組になっていて、上段には釈迦の半生、下段にはマノハラ物語などが描かれています。
階層 | 物語 |
---|---|
第1層 (上段) |
釈迦の半生 |
第1層 (下段) |
「マノハラ物語」 王子と天女マノハラの恋物語。 |
「シビ王本生話」 自分の肉を差し出して、鷹から鳩を救った王様のお話。善行の大切さを説く。 |
|
「サンプラー妃本生話」 鬼に襲われかけた王妃が、夫に疑われるお話。最後は釈迦が夫婦に説法。夫婦愛の大切さを説く。 |
|
「四門本生話」 母の制止を振り切って海に出た青年が、地獄に落ちるお話。母親を敬うことの大切さを説く。 |
|
第2層 | 善財童子という青年の巡礼物語。 善き人と接することの尊さを説く。 |
第3層 | 善財童子の巡礼物語の続編。 善財童子が悟りをえる。 |
第4層 | 主題がいまだ不明。 |
例えば、釈迦の半生は120枚のレリーフで表現されています。
ものすごく大雑把に言うと、だいたい次のようなお話になっています。
地上に出現する前に天界にいた時の釈迦。
地上に降り、修行の末に悪魔たちを追い払う釈迦。
ついに悟りを開いた釈迦。
本格的な教えの伝道を始める釈迦。
涅槃まで描かれることはなく、ここで釈迦の物語は終了しています。
ボロブドゥール遺跡は世界遺産なの?
「ボロブドゥル寺院遺跡群」として1991年に世界文化遺産に登録されています。
登録されているのは、「ボロブドゥール寺院」の他に、近くにある「パオン寺院」と「ムンドゥッ寺院」の合計3つ。
この3つの寺院は、きれいに一直線に並んでいます。
かつてはムンドゥッ寺院からパオン寺院を通ってボロブドゥール寺院に至る参道があったと考えられているそうです。
パオン寺院の見どころは?
パオン寺院(Candi Pawon)は、こじんまりとした大きさの寺院です。
「寺院」というよりも「お堂」と言った方がしっくりとくるサイズ。
数段の階段を登ってお堂の中を覗いても、がらんとした空洞です。
特に仏像などがあるわけではありません。
このお堂で見るべきなのは、壁面のレリーフです。
天界にあるという大変おめでたい大樹「カルパタール」が中心に描かれ、樹の周囲には天界の住人の姿も見られます。
このレリーフは、死後に行ける、いわゆる「天国」の世界観を表しているそうです。
風化が進んでいるのが残念ですが、これも世界遺産。
せっかくボロブドゥールまで来たのですから、パオン寺院もあわせて観光することをおすすめします。
ムンドゥッ寺院の見どころは?
ムンドゥッ寺院(Candi Mendut)の見どころは、内部に安置されている3体の仏像と、壁面のレリーフです。
中央に釈迦牟尼仏。
左は観世音菩薩。
右は金剛手菩薩です。
3体とも、とても穏やかな顔をしています。
しかも、保存状態も良好。
私の知る限り、ボロブドゥール遺跡とプランバナン遺跡群にある石像のなかで最も美しい石像です。
仏教に馴染みのある人なら癒やされること間違いなし。
必見です。
また、壁面のレリーフも綺麗です。
こちらは、毘沙門天。
反対側には鬼子母神。
たくさんの子供たちと遊ぶ、父ちゃんと母ちゃんといった雰囲気。
見ているとほっこりします。
ボロブドゥール遺跡への行き方(アクセス)は?
ジョグジャカルタを拠点としてボロブドゥール遺跡を観光する場合、移動方法は大きく4つに大別されます。
現地ツアーは、空港などで簡単に申し込むことができます。
ホテルまで迎えにきてくれるのでラクチンですし、料金も比較的安価です。
ただし、行程の自由度は低いです。
車をチャーターする場合も、ツアーと同様に空港などで申し込めます。
こちらは、行程を自由に設計できるのがメリット。
私も、空港からボロブドゥールまでチャーター車で移動しました。
朝の10時に空港を出発して、プランバナンと周囲の遺跡を観光。その後、夕方6時にボロブドゥールのホテルまで送り届けてもらって55万ルピア。
多分、妥当な料金だったと思います。
タクシーも便利です。
私は、ボロブドゥールからの帰り道にタクシーを利用しました。
インドネシアを含む東南アジアでタクシーを利用する時に便利なのが、Grabという配車サービスです。
スマホアプリで、現在地と目的地を入力してドライバーを募集。
募集を見たドライバーから応答があり、その人でよければ手配完了です。
このアプリの利点は料金交渉が不要で、なおかつ料金も安価ということです。
Grab側で料金を設定してくれるので、値引き交渉の煩わしさがありません。
さらに、クレジットカードを登録しておけば、支払いも自動。
現金の受け渡しの必要もありません。
Grabで呼べる車はいくつか種類があります。
- 「Grab Car」は、一般人ドライバーが運転する自動車。料金は予約時に決定します。
- 「Grab Car Plus」は、5つ星評価の一般人ドライバー。料金は「Grab Car」よりも高いです。
- 「Grab Taxi」ならタクシーで移動。料金はメーター制で、Grab Car Plusよりも料金がさらにアップします。
私が利用したのは「Grab Car Plus」。
ちなみに料金は、ボロブドゥールから空港まで移動して、19万7千ルピアでした。
一度利用すると、普通のタクシーに乗るのが馬鹿らしくなるほど便利なサービスですよ。
バスに乗って自力でボロブドゥールに行くこともできます。
ただ、上で紹介した3つの交通手段の方が時間の短縮になりますし、なにより楽だと思います。
ちなみに、バスで行く場合は、トランス・ジョグジャ(Trans Jogja)という市内バスでジョグジャカルタのギワガン・バスターミナル(Terminal Giwangan)に移動。
そこでボロブドゥール行きの直行バスに乗車します。
❶アジスチプト国際空港
❷ジョグジャカルタ中心部
❸ギワガン・バスターミナル
ボロブドゥール遺跡の近くに空港はあるの?
ボロブドゥール遺跡のすぐ近くには空港がないので、ジョグジャカルタのアジスチプト国際空港を利用することになります。
空港からボロブドゥール遺跡までは、道路の混雑状況にもよりますが、自動車で1時間半から2時間くらいです。
ちなみに、日本からアジスチプト国際空港への直行便は飛んでません。
ジャカルタなどで乗り継ぎます。
私は、ガルーダ・インドネシア航空を利用して、まずは羽田からジャカルタに飛びました。
フライト時間は7時間45分。
国内線に乗り継いで、1時間半でジョグジャカルタに到着。
搭乗時間は、合計で9時間15分でした。
寝てれば着きます。
パオン寺院とムンドゥッ寺院へのアクセスは?
ボロブドゥール寺院からムンドゥッ寺院までは4kmくらい。
徒歩だとかなりしんどいと思います。
私はレンタサイクルを利用しましたが、交通量が多いので危険ですし、また坂道もあるので結構疲れます。
移動はバイタク(オジェッ)がおすすめです。
バイタクは、ボロブドゥール遺跡の出口付近を歩いていると頻繁に声をかけられますし、私は現地で確認していませんが、バスターミナルの近くにバイタク乗り場があるそうです。
ボロブドゥールからバスターミナルへの地図はこちらです。
参考にしてください。
ボロブドゥール遺跡の入場料はいくら?
ボロブドゥール遺跡の入場料は、2018年時点で25ドルでした。
ただし、支払いはドル建てではなく、インドネシアルピアです。
インドネシアルピアに換算した金額を支払います。
また、チケットにはいくつか種類があって、プランバナン遺跡がセットになったチケットや、2dayチケットなどもあります。
興味があれば公式サイトをチェックするといいですよ。
ちなみに、現地では、現金のほかにクレジットカードで支払うこともできます。
パオン寺院とムンドゥッ寺院の入場料は、それぞれ1人3,500ルピア。
こちらは現金払いです。
プランバナン遺跡って何?
プランバナンは、ボロブドゥールから車で南東に50kmくらいの距離にある遺跡群です。
こちらも世界文化遺産です。
建立されたのは9世紀中頃。
プランバナンとボロブドゥールは、ほぼ同時代の遺跡です。
でも、面白いことに、ボロブドゥールは仏教、プランバナンはヒンドゥー教なんです。
同時代の近接する場所に建立されたにもかかわらず、信仰する宗教が異なる2つの遺跡。
詳しくは、「きっとプランバナン寺院に行きたくなる観光ガイド」をご覧ください。
ボロブドゥール遺跡とプランバナン遺跡は1日で見れるの?
ボロブドゥールとプランバナンはそれぞれ別の日に観光したほうがいいです。
ボロブドゥールは周辺の遺跡を含めて観光すると半日はかかります。
プランバナンも遺跡公園内だけでも広いですし、周囲にも見るべき遺跡群が数箇所あります。
しかも、ボロブドゥールとプランバナンの間は車で片道1時間半から2時間くらい。
1日で両方とも観光することも勿論できますが、結構しんどいと思います。
2日に分けるのがおすすめです。
ボロブドゥール遺跡周辺にレストランはあるの?
ボロブドゥール遺跡周辺には、旅行者向けのレストランがいくつかあります。
例えば、私が利用したのは「Benoa Borobudur Resto & Gallery」というレストラン。
ここには2回お世話になりました。
メニューはインドネシアの地元料理が中心で、味も美味しいです。
しかも、雰囲気も良く、ディナーにもぴったり。
このレストランで、BinTtangビールを飲みながら、観光に疲れた身体を癒やすのもいいですよ。
ボロブドゥール遺跡のオススメ本は?
ボロブドゥール遺跡のガイドブックは意外と少ないです。
「旅名人ブックス74 ボロブドゥール遺跡・ジャワ島」という本もありますが、すでに絶版になっていて、私が調べたときにはアマゾンで9,800円の値段がついていました。
良さそうな本なんですけどね。
そんな中、私が旅に持って行ったのは、「ボロブドール遺跡めぐり (とんぼの本)」です。
1992年に書かれた本で、こちらもすでに絶版になっていますが、値段は高騰していません。
しかも、ボロブドゥールとその周辺の遺跡についてかなり細かく解説してくれているので重宝します。
この本と「地球の歩き方」があれば、十分にボロブドゥール遺跡を楽しめる思います。
ボロブドゥール観光のベストシーズンはいつ?
インドネシア全体の乾季はおおむね4月〜9月頃、雨季は10月〜3月頃です。
ボロブドゥール周辺の気候を調べてみると、7月〜9月までが極端に降水量が少ないです。
また、この時期は気温も比較的穏やか。
ですから、7月〜9月がボロブドゥール観光のベストシーズンと言えそうです。
私は12月に旅行しましたが、実際、観光中に雨に降られましたし、暑さも厳しかったです。
また、サンライズも曇っていて見られませんでした。
とは言うものの、スコールが来てもしばらく雨宿りしていれば止みますし、暑いのは南国だから当たり前です。
私は十分楽しめました。
雨季のインドネシアもいいものですよ。
ちなみに、下の2つのグラフは、ボロブドゥールから180kmくらい西にある、チラチャップという町の気候データです。
気象庁が公開している「世界の天候データツール(ClimatView 月統計)」のデータを、当サイトでグラフ化しました。
旅の参考にしてください。
以上、ボロブドゥール遺跡の観光ガイドでした。
現在のボロブドゥールは朝晩にコーランが流れるイスラム色の強い町です。
でも、かつては多くの仏教徒が住んでいて、こんなにも巨大な建造物をつくりました。
過去と現在のその隔たりが、とても興味深いです。
千年という時間の、途方もない大きさを感じます。
日本からはるばる来た甲斐がありました。
ボロブドゥール遺跡、超おすすめです。
ところで当サイトでは、インドネシア旅行の経験をもとに、ジャワ島やバリ島の観光スポットについて、別記事で詳しく解説しています。
次の記事もあわせてご覧ください。
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