トルコのパムッカレにある、ヒエラポリス遺跡(Hierapolis)をご紹介します。
ヒエラポリスとは、その石灰棚の最上部に残された、都市遺跡のことです。
その歴史は古く、最初に建造されたのは紀元前2世紀で、その後、ローマ帝国・ビザンツ帝国の時代を通して、温泉の街として栄えていたそうです。
ヒエラポリス遺跡の中で特に有名なのは、ローマ時代の野外劇場。
扇形の巨大な劇場は保存状態が良く、いまでも強烈な存在感を放っています。
また、かつては、劇場の向かいに、ギリシャ神話の太陽神・アポロンを祀った神殿も建っていました。
遺跡の一部を利用した温水プールで、プールの底にはローマ時代の石柱などがそのまま転がっています。
通称、パムッカレ温泉。
遺跡の楽しみ方としては、なかなか斬新です。
ちなみに、ヒエラポリスの遺跡とパムッカレの石灰棚は、「ヒエラポリス − パムッカレ」として、世界遺産に登録されています。
ヒエラポリス遺跡の見どころや行き方についてお伝えします。
ヒエラポリス遺跡の見どころ
ヒエラポリスに都市が造られたのは紀元前2世紀。
それ以前は、周辺に住む人々から「聖地」として崇められていたそうです。
白い石灰棚や湧き出る温泉、一部で噴出していたという有毒ガスなどが、この土地を特別なものにしていたのかも知れません。
ローマ時代には大浴場が建設され、皇帝も訪れるほどの温泉地でしたが、トルコ人の侵攻や大地震などにより、14世紀には衰退したそうです。
それでは、ヒエラポリス遺跡の見どころをご紹介します。
野外劇場
ヒエラポリス最大の目玉は、この野外劇場です。
2世紀のローマ帝国時代に建てられた、巨大な建造物。
席は、1万5千席あるそうです。
日本武道館の収容人数は1万4千人。
この野外劇場は、扇形の形状でありながら、それを凌ぐ規模を誇っています。
- たくさんの観客席
- 最後列からの眺めも良好
こちらは、ステージの拡大写真です。
ステージには、演者が出入りしていたと思われる出入り口が5つあり、また石像を飾る台座が4つあります。
- 向かって左側の石像
- 向かって右側の石像
上の写真は、形がある程度残っている2体の石像。
どちらも女性の姿をしていて、華のある雰囲気です。
レリーフもある程度残っています。
プルトニウムの穴
野外劇場の近くには、「プルトニウム」と呼ばれる穴が空いています。
かつては、この穴から大量の有毒ガス(二酸化炭素)が噴出していたことから、冥界の王「プルトン(別名ハデス)」が支配する地下世界への入り口と考えられていたそうです。
その有毒ガスはかなり強力で、鳥や小動物だけでなく、人間も死に至らしめるほどの威力だったのだとか。
また、この穴は、当時の神官たちの宗教的な権威付けのためにも利用されていました。
神官たちは、穴の内に入って無事に戻ってくることで、自分自身が神の加護を受けていることを人々に示したそうです。
どういう手を使ったのかは分かりませんが、なかなか命がけの行動ですね。
ちなみに、神官たちは、神殿の訪問者から質問を受け、その質問に神託という形で有料で回答していたそうで、それらの収入は神殿の大きな財源になっていたようです。
なお、現在でも穴からは微量のガスが出ているので、金網で覆われて立ち入り禁止になっています。
上の写真は、プルトニウムの穴の近くにある、アポロン神殿の跡地。
プルトニウムの穴は、この神殿の脇にあるそうなのですが、これ以上近づくことができないので、詳しい位置は現地でも分かりませんでした。
パムッカレ温泉
- 遺跡の上でお湯浴び
- 木々に囲まれたプール
パムッカレ温泉は、天然の温泉を使った温水プールです。
施設名は「アンティーク・プール」。
温度はぬるめで、入りやすい感じです。
みんな水着を着用して、思い思いに楽しんでいます。
本物の遺跡の上に作られた世界的にも珍しいプール。
プール内には無造作に石柱も横たわっています。
料金が別途20トルコリラ(約400円)かかりますが、旅の思い出作りと考えれば安いものだと思います。
観光の合間に小腹が空いたときなどに便利ですが、こちらは軽食にしては値段が結構高めです。
考古学博物館
考古学博物館は、ローマ時代の大浴場跡を修復した建物です。
ローマ浴場と言えばテルマエ・ロマエという作品が有名ですが、この建物は、同作品に登場する浴場ほど規模が大きくないものの、十分見応えがあります。
また、この博物館には、良質な彫刻やレリーフが多く展示されています。
- 精巧なデザインの棺
- 左の拡大写真
- エジプト神話の女神イシス
- メデューサの様な女性
- 半人半魚型の神トリトン
- 神聖な怪物スフィンクス
その他の見どころ
ヒエラポリスには、他にも見どころが沢山あります。
上の写真は、ドミティアヌス門。
造られたのはローマ時代です。
石造りのアーチ状の門が、未だに崩れずに健在であることに驚きます。
この門の数百メートル東側にあるのはビザンティン門。
2つの門の間には、石畳の道が続いていて、道の両脇には立派な石柱が林立しています。
- ビザンティン門
- 2つの門を結ぶ道
通称、北浴場。
こちらの建物は、修復があまり進んでおらず、今にも崩れそうな危うさを感じます。
北浴場の周辺と、その西側にはネクロポリスが広がっています。
ネクロポリスとは、ギリシャ語で「死者の都」を意味する言葉で、巨大な墓地のことです。
石造りの墓が広範囲に点在しています。
- 石造りの墓
- 門の上に置かれた石棺
ヒエラポリスは遺跡も勿論見応えがありますが、この地に来たからには、やはり石灰棚も外せません。
水着を持参すればお湯浴びも可能。
また、服のままでも足湯を楽しめます。
石灰棚については、別記事で詳しくお伝えします。
- 白色の石灰棚と水色のお湯。
- 石灰棚越しの風景
- 石灰棚の温泉
- 足湯を楽しむ観光客
ヒエラポリスのお役立ち情報
最後に、実際にヒエラポリスを観光するうえで、知っておくと便利な情報をお伝えします。
ヒエラポリスへの行き方
パムッカレの街から近いのは南門です。
近いと言ってもそこそこ離れているので、移動手段は、ホテルの送迎もしくはタクシーがおすすめです。
徒歩だと30分以上かかります。
ちなみに、ヒエラポリスや石灰棚を回る現地ツアーをパムッカレの街で手配できますが、ツアーに参加せず個人で訪れても問題なく観光できます。
むしろ、そちらの方が気楽です。
ヒエラポリスの地図
最後に、ヒエラポリスの見どころを網羅した地図をご紹介します。
現地を訪れた際に役立ててください。
❶南側入り口
❷野外劇場
❸パムッカレ温泉
❹プルトニウム
❺考古学博物館
❻ドミティアン門
❼ビザンティン門
❽北浴場
❾石灰棚
❿ネクロポリス
以上、トルコのパムッカレにある、ヒエラポリス遺跡についてお伝えしました。
ヒエラポリスは、野外劇場が素晴らしいですし、パムッカレ温泉もいい感じです。
この遺跡を訪れる際には、水着を持参することをおすすめします。
ところで当サイトでは、現地トルコでの経験をもとに、トルコの観光スポットやトルコ料理について、別記事で詳しく解説しています。
次の記事もあわせてご覧ください。
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