トルコの紅茶は、トルコ語で「チャイ(çay)」と言います。
チャイと言えば、インドのミルクティーを思い出す方も多いかもしれません。
でも、トルコのチャイは、インドのチャイとは違って、ミルクやスパイスを一切加えずに飲むのが特徴です。
ほっと一息つきたい時などに、トルコ人は決まってチャイを飲みます。
人によっては、1日に十杯ものチャイを飲むそうです。
トルコの紅茶は、茶葉を煮出して作るので、かなり味が濃く、また渋みが強いです。
この濃い紅茶に、砂糖をたっぷり加えるのがトルコ流。
でも最近では、ダイエットのために、砂糖なしで飲むトルコ人も増えています。
トルコ紅茶に使われるグラスやポットなどの道具とともに、紅茶の入れ方や飲み方をご紹介します。
トルコ紅茶(チャイ)の入れ方
トルコに紅茶が伝わったのは、コーヒーよりも遅く、19世紀後半頃と言われています。
インド産の紅茶が、イラン経由で入ってきたと考えられています。
その後、国内産業の振興を図るため、トルコの初代大統領のムスタファ・ケマル・アタテュルクが、サムスン(Samsun)を中心とした東黒海地方での茶の栽培を奨励したことにより、本格的な国産茶の栽培が始まりました。
現在でも、リゼ(Rize)やトラブゾン(Trabzon)など黒海沿岸の街が、トルコ紅茶の名産地として知られています。
それぞれの街の位置関係については、下の地図をご覧ください。
❶サムスン
❷リゼ
❸トラブゾン
❹イスタンブール
チャイに使われるグラスやポット
ここからは、トルコ紅茶「チャイ」に使われる道具をご紹介します。
こちらは、トルコチャイを注ぐカップ。
「チャイバルダック(Çay Bardakları)」と呼ばれています。
持ち手がなく、真ん中辺りがくびれているのが特徴です。
トルコと言えばチューリップの原産地として知られていますが、このグラスは、チューリップの花の形を模しているのだそうです。
トルコチャイといえば、このグラス。
カフェでもレストランでも、また一般家庭でも、このグラスにお好みのソーサーを付けて使っています。
2段式になっているのが特徴で、下段で湯を沸かし、上の段で紅茶を作ります。
このポットの使い方は、後ほど詳しく説明します。
この器具は、「チャイダンルック」とまったく同じ2段構造になっていています。
こちらも後ほど紹介します。
チャイの作り方
ここからは、仲良くなったトルコ人に教えてもらった、トルコチャイの美味しい淹れ方をご紹介します。
トルコの二段式ポット「チャイダンルック」でチャイを作る方法です。
トルコの紅茶は、ロシアと同じサモワール式で作ります。
サモワール式とは、下の段で湯を沸かし、上段にティーポットを置いて保温する淹れ方です。
紅茶の茶葉 | 適量 |
- チャイダンルック(2段重ねのポット)の下段のポットに水を入れ、上段のポットに茶葉を入れ、湯を沸騰させる。
- 下段の湯を上段のポットに少し垂らし、再びポットを重ねて火にかけて、茶葉を蒸らす。
- 再び沸騰したら、下段の湯を上段のポットに適量加え、もう1度ポットを重ねて火にかける。
30分ほど煮出し、濃いめのチャイを作る。 - 3をチャイバルダック(グラス)に注ぎ、お好みで、下段の湯を注いで濃さを調整し、砂糖を混ぜてていただく。
茶葉の量はお好みですが、日本で使っているくらいの量で十分です。
トルコ紅茶は煮出すので、少量でも、かなり濃く仕上がります。
現代風チャイの作り方
ところで、先にも少し触れましたが、トルコのカフェやレストランでは、最近では、写真のような大型の器具を使ってチャイを作るところが多いです。
この器具の仕組みは、昔ながらの二段ポット「チャイダンルック」と実はまったく同じです。
写真の黒い四角い部分が湯を沸かす下のポットの代わりになっていて、その上に、紅茶を作るための普通サイズのポットが置かれています。
こちらが、その紅茶を作るポット。
ポットが置かれている部分の下には穴が開いていて、下段の金属製の湯沸かし器から上がる蒸気で、茶葉を蒸すようになっています。
これは、ポットの中身。
お茶パックが入っています。
トルコのカフェやレストランでは、最近では、茶葉が入ったお茶パックを使うところが多いです。
また、先に紹介したレシピでは、紅茶を煮出す理想的な時間を30分としていますが、実際は、いったいいつまで煮出すつもりなのかと思うほど、ほったらかしにしていることも多いです。
でも、これもトルコのチャイの作り方。
お好みでいろいろ試してみてください。
チャイができたら、グラスに注ぎます。
そして、お好みで、一緒に沸かした湯(下段の四角い湯沸かし器の湯)を注ぎ、濃さを調整したら完成。
煮出す時間によってチャイの濃さが変わるので、ここで、自分好みの味に調整します。
あとは、グラスをソーサーにのせ、砂糖を添えたら完成です。
チャイの飲み方
トルコのカフェでチャイを注文すると、砂糖は2個くらい付いてきます。
ごく一般的なトルコ人は、1杯につき2個くらいの砂糖を加えて飲むようです。
砂糖なしでは、胃にダメージがありそうなほど濃いチャイですが、砂糖をたっぷり入れると、ぐっと飲みやすくなります。
日本の飲み方と比べるとかなり刺激的ですが、トルコにはお酒を一切飲まない厳格なイスラム教徒の方も多くいらっしゃるので、おそらく、お酒に代わる飲み物として、お茶を楽しんでいるのではないかと思います。
トルコのチャイに慣れると、これはこれで美味しいと思うようになります。
私は、トルコのチャイもお酒も大好きです。
ところで、トルコでは、チャイに甘いお菓子を合わせるのが定番です。
甘いチャイに甘いお菓子の組合わせ。
しかも、どちらもかなり甘みが強いですけど、チャイの苦味や渋味がけっこういいんです。
試してみると意外としっくり来ます。
ちなみに、チャイに合わせるお菓子として特に人気があるのは「バクラヴァ(Baklava)」と「ロクム(lokum)」です。
- バクラヴァ
- ロクム
もし、トルコのイスタンブールを訪れて、これらのお菓子と一緒にチャイを楽しみたいのなら、バクラヴァの超人気店「karakoy gulluoglu」とロクムの超人気店「Hafiz MuStafa」がおすすめです。
また、チャイのグラスやポットを現地で買いたいのなら、イスタンブールの「グランド・バザール」をぜひ覗いてみてください。
トルコチャイの茶器は、くびれのあるグラスとソーサーという組み合わせが定番ですが、その伝統的なかたちを踏襲しながらも、デザインにも凝ったものが見つかります。
トルコらしい花柄をあしらった、お土産にもぴったりな茶器セットもあります。
そして、トルコ紅茶の茶葉が欲しいのなら、「グランド・バザール」の近くにある「エジプシャン・バザール」にも行ってみてください。
山積みになった紅茶の茶葉(写真左中央)と一緒に、トルコで人気のアップルティーやハーブティーの茶葉も並んでいます。
ここでは、いろいろなお茶を試飲してみるといいです。
種類がめちゃくちゃ豊富なので、珍しくて美味しい、あなたにぴったりのお茶がきっと見つかります。
面白いですよ。
また、日本でも、ネット通販でいろいろなメーカーの「トルコチャイの道具や茶葉」を販売していますので、合わせて参考にしてください。
最後に、トルコの老舗カフェの様子をご紹介します。
トルコのチャイハネ
チャイハネ(Chay Hane)とは、中東の伝統的な茶館のこと。
トルコでは、「チャイ・エヴィ(Çay Evi)」と言われることが多いです。
また、チャイは、伝統的なトルココーヒーのカフェ「カフヴェハネ(Kahvehane)」でも楽しめます。
写真は、トルコのイスタンブールにある、1959年創業の老舗カフェ「シャルク・カフヴェシ(Sark Kahvesi)」です。
トルコの伝統的なカフェは、もともと男社会の社交の場として機能していましたが、最近では、女性の姿も多く、旅行者もよく見かけます。
たとえば、こんな風に話し込んでいるのは、たいていは男性同士。
そんな男性たちが決まって飲んでいるのはチャイです。
これが、トルコの老舗カフェのチャイです。
定番のくびれた形状のグラスに、しっかりとした濃さのチャイが注がれています。
こちらでは、砂糖を添えるのではなく、お客に砂糖なしかありか聞いて、要望通りの味にして提供します。
チャイの他には、トルココーヒーも飲めますし、甘いお菓子も食べられます。
以上、トルコの紅茶「チャイ」についてお伝えしました。
トルコの紅茶は、日本の普通の紅茶でも作れますので、気軽に試してみてください。
ところで当サイトでは、現地トルコでの経験をもとに、トルコ料理やトルコの観光スポットについて、別記事で詳しく解説しています。
次の記事もあわせてぜひご覧ください。
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