
ザジキ(tzatziki sauce)の作り方と美味しい食べ方を、本場ギリシャの情報を交えながら詳しくご紹介します。
ザジキとは、きゅうりとヨーグルトとにんにくを使って作るディップソースのことで、ギリシャの伝統料理の一つ。
ちなみに、ギリシャの隣国トルコでも親しまれていて、ジャジュク(Cacık)と呼ばれています。
パンに付けて食べてもいいですし、肉料理や魚のフライなどのこってりとしたお料理にもよく合います。
日本で手に入る食材だけで簡単に作れるお料理ですが、まだまだ知名度が低いのが実情です。
そこで今回は、ザジキソースの簡単レシピを3品お伝えします。

きゅうりの皮をむき、タネを取ってから使うのがポイント。
食感がなめらかになるうえに、クセのない上品な味に仕上がります。

きゅうりを丸ごとすりおろし、クミンパウダーや粉チーズを味付けに使うのが特徴。
風味が豊かで、肉料理やガーリックトースの付け合わせにぴったりです。
レシピを考案したのは、料理愛好家の平野レミさんです。

きゅうりの半量だけをすりおろし、残りの半量を千切りにして使うので、食感がほどよく残ります。
こちらは、お笑いコンビ「ボルサリーノ」の関さんのレシピです。

なお、この記事は、古代ギリシャの聖地「デロス島」からお届けします。
春には一面に花が咲き誇る、とても美しい無人島です。
記事の最後では、本場ギリシャのザジキソースとトルコのジャジュクソースを写真とともにご紹介しているので、そちらもぜひご覧ください。
ギリシャの基本のザジキ

まずご紹介するのは、ギリシャ政府観光局がすすめる「ザジキ」の基本レシピ。
ギリシャ政府観光局のオリジナルレシピでは、きゅうりの分量が「1本」となっていますが、この記事では「3本」に変更しています。
理由は、きゅうりのサイズがギリシャと日本とでは異なるためです。
ギリシャのきゅうりはサイズがかなり大きいです。
詳しくは、下の文中をご覧ください。
材料
きゅうり | 3本 |
ギリシャヨーグルト※1 | 500g |
にんにく | 2かけ |
オリーブオイル | 1/2カップ(125ml)※2 |
塩 | 適量 |
酢 | 大さじ1 |
ディル | 適量 |
※1 水切りした普通のヨーグルトで代用可。
※2 ギリシャでは、1カップが250mlに相当します。
作り方
- きゅうりの皮をむいてタネの部分を取り除き、すりおろして、余分な水分を絞る。
- にんにくをすりおろし、塩を混ぜる。
- 2をボールに入れ、大さじ1〜2杯のギリシャヨーグルトを加え、よく混ぜる。
- 残りのギリシャヨーグルトと1を加え、にんにくが均等に行き渡るように混ぜる。ディルを添えたらできあがり。

ギリシャのきゅうりは、日本のきゅうりの3倍くらいのサイズがあります。
上の写真は、ギリシャのアテネの市場で売られていたきゅうり。
写真左上に写っているのが、日本のよりもややこ小ぶりのマスクメロンなので、比較すると、かなり大きいことがお分かりいただけると思います。
ですから、当サイトでは、こうしたサイズの違いを考慮して、オリジナルレシピの分量「きゅうり1本」を、日本向けに「きゅうり3本」に変更しています。
ちなみに余談ですが、ギリシャでは、最近は小さな品種のきゅうりも人気があるようです。
そうした品種は、日本のきゅうりと同程度か、2/3くらいの大きさしかありません。
それでは、写真をもとにレシピを説明します。

【工程1】
まず、きゅうり(3本)の皮をむき、種の部分を削ぎ落とします。
そして、きゅうりをすりおろし、余分な水分を絞ります。
きゅうりの皮をむき、タネの部分を取り除くと、青臭さのない、時間が経っても水っぽくならないザジキが作れます。

【工程2】
次に、にんにく(2かけ)をすりおろし、塩(適量)を混ぜます。

【工程3】
続いて、にんにくをボールに入れ、大さじ1〜2杯のギリシャヨーグルトを加え、よく混ぜます。
ちなみに、ギリシャヨーグルトが無い場合は、普通のヨーグルトでギリシャヨーグルトを作ることができます。
まず、ザルの上にキッチンペーパーを敷き、その上にヨーグルトをのせ、冷蔵庫に1時間ほど入れたらギリシャヨーグルトの完成。
水気が抜けて、濃厚でクリーミーに仕上がります。

【工程4】
そして、残りのギリシャヨーグルト(全部で500g)とすりおろしたきゅうりを加え、混ぜます。

最後に、ディル(適量)をのせたら完成です。
このザジキは、きゅうりの青臭さがないので、とても食べやすいです。
にんにくとヨーグルトの風味をいかした上品な味わいで、幅広いお料理に合わせやすいですよ。
ザジキの日持ち
このザジキは、きゅうりのタネを取り除くレシピになっているので、時間が経っても水っぽくなりにくいです。
そうした点で、作り置きにも向いています。
ただ、ヨーグルト自体がもともとそれほど日持ちする食品ではないので、冷蔵保存のうえで、2〜3日中には食べ切ってください。
次に、料理愛好家の平野レミさんの「ザジキ」のレシピをご紹介します。
スパイスを使ったザジキ

料理愛好家の平野レミさんの「ザジキ」のレシピです。
こちらは、きゅうりを丸ごと使い、クミンパウダーや粉チーズで風味付けするのが特徴です。
材料
きゅうり | 1本(120g) |
プレーンヨーグルト | 1カップ(190g)※ |
粉チーズ | 大さじ2 |
塩 | 小さじ1/4 |
オリーブオイル | 大さじ1 |
おろしにんにく | 小さじ1/4 |
レモン汁 | 小さじ1/2 |
クミンパウダー | 小さじ1/2 |
ディル(みじん切り) | 小さじ2(2g) |
作り方
- ザルの上にペーパータオルを敷き、ヨーグルトを入れて30分ほど置き、水気を切る。
- きゅうりをすりおろしてペーパータオルで包み、水気をしっかり絞る。
- 1とAをボールに入れ、よく混ぜる。
2を加えてさらに混ぜ、器に盛ったらできあがり。

【工程1】
まず、ザルの上にペーパータオルを敷き、プレーンヨーグルト(1カップ:190g)を入れ、30分ほど置いて水切りします。

【工程2】
次に、きゅうり(1本:120g)をすりおろしてペーパータオルで包み、水気をしっかり絞ります。

【工程3】
最後に、ヨーグルトときゅうりとAをボールに入れ、よく混ぜたら完成です。
Aは、粉チーズ(大さじ2)・塩(小さじ1/4)・オリーブオイル(大さじ1)・おろしにんにく(小さじ1/4)・レモン汁(小さじ1/2)・クミンパウダー(小さじ1/2)・ディル(みじん切り:小さじ2)です。
クミンパウダーや粉チーズを加え、風味豊かに仕上げます。

ほんのりスパイシーな「ザジキ」で、クミンとディルと粉チーズの風味がとてもよく合います。
この「ザジキ」には、ガーリックトーストを付け合わせるのがおすすめだそうです。
ガーリックトーストは、バゲットにオリーブオイルを塗ってこんがりと焼き、にんにくをこすりつけたら完成。
他にも、白身魚のお刺身やサーモンマリネの付け合せにしたり、グリルチキンに添えたり、サンドイッチの具材にしても合うとのことです。
続いて、シャキシャキとした食感が特徴のザジキのレシピをご紹介します。
シャキシャキ食感のザジキ

こちらは、お笑いコンビ「ボルサリーノ」の関さんが考案した「ザジキ」です。
きゅうりの半量を千切りにすることで、シャキシャキとした食感が生まれます。
材料
プレーンヨーグルト(無糖) | 200g※ |
きゅうり | 1本 |
塩 | 適量 |
おろしにんにく | 小さじ1 |
レモン汁 | 小さじ1 |
オリーブオイル | 小さじ1 |
塩 | 適宜 |
黒こしょう | 適宜 |
作り方
- ヨーグルトを水切りする。(コーヒーフィルターを使い、1時間放置する。)
- きゅうりの半分をせん切りにし、塩を振り、10~15分置いて水気を絞る。
- 残り半分のきゅうりをすりおろし、水気を絞る。
- 1・2・3・Aを混ぜたらできあがり。

【工程1】
まず、プレーンヨーグルト(無糖:200g)の水切りをします。
コーヒードリッパーにペーパーフィルターをセットし、1時間置きます。
1時間後は、ヨーグルトの水気が抜けて、140gくらいに減ります。
この工程が面倒な場合は、ギリシャヨーグルト(水切りヨーグルト:140g)で代用することもできます。

【工程2・3】
次に、きゅうりの半分(1/2本)をせん切りにし、塩(適量)を振り、10~15分置きます。(写真左)
そして、水気を絞ります。
続いて、残り半分のきゅうり(1/2本)をすりおろし、水気を絞ります。(写真右)
きゅうりの半量を千切りにし、食感をいかします。

【工程4】
最後に、ヨーグルト・千切りにしたきゅうり・すりおろしたきゅうり・Aを混ぜたら完成です。
Aは、おろしにんにく(小さじ1)・レモン汁(小さじ1)・オリーブオイル(小さじ1)・塩(適宜)・黒こしょう(適宜)です。

きゅうりのシャキシャキ食感がアクセントになった、さっぱりとした味わいの「ザジキ」です。
この「ザジキ」は、もともと「スズキのカレーフライ」の付け合せとして考案されたものです。
「スズキのカレーフライ」の作り方は、スズキの切り身(150g)を食べやすい大きさに切り、塩こしょうを振り、小麦粉とカレー粉を混ぜたもの・卵・パン粉(各適量)の順に衣を付けます。
そして、180度に温めた油でこんがりと揚げたら完成です。
魚のフライ以外にも、肉料理やパンなど、いろいろな料理に合わせやすいですよ。
旅で出会ったギリシャのザジキ・トルコのジャジュク
最後に、本場ギリシャのザジキとトルコのジャジュクを現地よりご紹介します。

上の写真は、ギリシャのミコノス島の人気レストランのザジキです。
千切りにしたきゅうりをヨーグルトに混ぜ、さらにその上に、きゅうりをたっぷりトッピングしているのが特徴です。
こんがりと揚げた小麦粉生地に付けていただきます。
味付けは、一番はじめに紹介したレシピに似ています。
ごく少量のにんにく・オリーブオイル・塩・酢ととてもシンプルです。
ザジキをレストランで単品で頼んだ場合は、このように、きゅうりの千切りが混ざった食感のあるザジキが出てくることが多いです。
逆に、お料理に付けるディップとして「ザジキ」が添えられている場合は、冒頭で紹介したレシピのように、きゅうりをすりおろして使っていることが多いです。

こちらも、ミコノス島で食べたお料理。
ザジキの上にズッキーニのフライが乗っています。
ズッキーニのフライは、細かく刻んだズッキーニにフェタチーズを混ぜ込んで、油でカリッと揚げたお料理。
食感はとろっとしていて、さっぱりとした中に優しいコクがあり、とても美味しいです。
ヨーグルトたっぷりの爽やかな味のザジキがとても良く合います。

続いては、ギリシャ風ハンバーガー「ギロピタ」。
ミコノス島で人気ナンバーワンのギロピタ屋「ジミーズ(Jimmy’s)」の一品です。
このハンバーガーにも「ザジキ」は欠かせません。
中身の具材は、グリルしたお肉とザジキ。
他には、トマト・紫玉ねぎ・フレンチフライ・パセリなども入っています。
「ギロピタ」に使われるお肉は、豚肉が最も一般的ですが、このお店ではチキンも選べます。
ギリシャ風ハンバーグの「ギロピタ」は、1個食べればもうお腹いっぱい。
超具だくさんで、日本人にはかなりボリュームがあります。

ギリシャのファストフード、串焼きの「スブラキ」にも、「ザジキ」がよく添えられます。
写真の上部中央にある白いお料理が、ザジキです。
ザジキは、肉料理のお供としても欠かせません。
きゅうりとヨーグルトの爽やかな風味が、お肉の味を引き立ててくれます。

こちらは、ギリシャ・クレタ島のイラクリオンで食べた「スブラキ」と、それに添えられた「ザジキ」です。
このスブラキにも、ザジキが添えられています。
お好みでピタパンに挟んでいただきます。

これは、トルコのイスタンブールにある人気レストラン「Three Partners Cafe&Restaurant」でいただいた、お通しのジャジュク(ザジキ)。
トルコのジャジュクも、ギリシャとまったく同じように作ります。
きゅうりを細かく刻むか擦り下ろして、ヨーグルトと塩を混ぜたら完成。
お好みでディルやミントの風味をプラスします。
ただ、トルコのジャジュクは、食べるシチュエーションに応じて水分量を変えるのが一般的です。
たとえば、トルコのおじさん達が晩酌のあてにするのは、ディップ状のジャジュク。
上の写真のジャジュクは、お酒のおつまみです。
お酒好きなトルコのおじさん達は、口を揃えて、トルコの代表的なお酒「ラク」とジャジュクはすごく合うと言います。
ラクは、アニスというハーブを漬け込んだほんのり甘いお酒です。
一方、女性や子供を中心に朝食や昼食にジャジュクを食べる場合は、水分を少し足してスープにすることが多いです。

こちらが、そのスープ状のジャジュク。
ヨーグルトの味が少し薄まるので、さっぱりしていて、夏でもごくごく飲めます。
ちなみに、トルコでは、このスープに限らず、ヨーグルトをよく飲みます。
中でも最も有名なのは、アイラン(ayran)。
ヨーグルト・水・塩を混ぜたシンプルな飲み物で、ジャジュクと同じく、水分補給が大事な季節に水代わりとしてたっぷり飲めます。
以上、ザジキ(ジャジュク)の作り方とおすすめの食べ方をご紹介しました。
ザジキ(ジャジュク)は洋風のお料理の副菜にぴったりです。
調理も簡単なので、ぜひお試しください。

なお、当サイトでは、「ギリシャヨーグルトの作り方と市販品の味の違い」を別記事で詳しくお伝えしています。
ザジキ作りには、ギリシャヨーグルト(水切りヨーグルト)が必要不可欠。
ギリシャヨーグルトは、自宅でも簡単に手作りすることができます。
また、当サイトでは、現地ギリシャとトルコでの経験をもとに、料理や観光スポットについても、別記事で詳しく解説しています。
次の記事もあわせてご覧ください。
(平野レミさん関さんレシピ情報元:NHK「ごごナマ」2017年6月6日・2018年7月13日放映)