ギリシャ・デロス島の見所を写真で紹介!行き方や歴史的背景も解説。

デロス島

エーゲ海に浮かぶ古代ギリシャの聖地「デロス島」の観光情報を、実体験をもとに詳しくお届けします。

島の歴史的背景や、見どころを網羅した地図、島への行き方など、デロス島を満喫するのに役立つ情報ばかりです。
また、デロス島内に点在する遺跡の様子も豊富な写真とともに詳しくお伝えします。

デロス島とは

デロス島

デロス島は、ミコノス島の約4kmほど南西にある小さな無人島。
太陽の神アポロンと月の女神アルテミスの生誕の地とされており、古代ギリシャにおいては、信仰と貿易の両面で、非常に重要な場所でした。
紀元前1世紀には他国に攻め滅ぼされて廃墟となってしまいましたが、島内には無数の遺跡が残っており、当時の繁栄を伺い知ることができます。

1990年には、デロス島全体が世界遺産に登録されています。

世界史の中のデロス島

デロス島は、世界史の教科書にも載っている、「デロス同盟」の本拠地です。
同盟が結成されたのは、紀元前のこと。
デロス同盟なんて忘れた!という方に、超簡単に解説します。

デロス同盟(デロスどうめい, 英: Delian League)はエーゲ海周辺のギリシア諸ポリス(都市国家)が、ペルシア帝国軍の来襲にそなえて、アテナイを盟主として結んだ同盟。紀元前478年に結成された軍事同盟で、最盛期には200のポリスが参加した。
引用元 – wikipedia

ようするに、ペルシア帝国軍という大勢力に、エーゲ海の小国が束になって対抗するための同盟です。

「デロス同盟」の重要な財産である共同金庫は、このデロス島に置かれていました。
デロス島が同盟の本拠地及び共同金庫の保管場所に選ばれたのには、次の2つの理由があるようです。

  1. デロス島がエーゲ海のほぼ中央に位置している。
  2. デロス島には各ポリスの共通の信仰の対象であるアポロン神殿があった。

なおデロス同盟は、諸ポリスの内戦「ペロポネソス戦争」を経て、紀元前404年に解散しました。

現在では、もちろんその金庫はありません。
いまデロス島に金庫があるとすれば、それは1人あたり12ユーロという入島料を保管するための金庫ぐらいだと思います。

ギリシャ神話の中のデロス島

デロス島のポセイドンの柱廊

ところで、デロス島はギリシャ神話の舞台でもあるんです。
アポロンとアルテミスが生まれた島。
この双子の神の誕生にまつわるエピソードが、ギリシャ神話に描かれています。

アポロンとアルテミスのお父さんはゼウス、お母さんはレトです。

出産場所を奪われた母・レト

天の支配者・ゼウスとの間に、アポロンとアルテミスという双子を身ごもった、女神・レト。
しかし、ゼウスにはヘラという正妻がいます。
ヘラは、これから生まれてくる子供たちが後に偉大な神となるというお告げを受け、激怒。
世界中の土地に、レトの出産場所となることを禁じてしまいます。

安息の地を求める母・レト

困り果てたレトは、かつてゼウスによって岩に変えられてしまった、自身の妹・アステリアを頼ります。
アステリアはゼウスの愛人になることを拒んだことで、ゼウスに呪いをかけられ、オルテュギアという岩に姿を変えられて海上を彷徨っていました。

レトはアステリアに、オルテュギアの上で出産させてもらえるよう懇願。
その代わりとして、オルテュギアをギリシャ世界の中心地に固定することを約束します。

アポロンとアルテミスの誕生

その後もヘラの嫌がらせは続いたものの、レトは、オルテュギアの上で双子をどうにか無事出産します。
そして、海神・ポセイドンの力を借りて、約束通りオルテュギアをエーゲ海の真ん中に固定し、その場所をデロス(明るい、輝く)と名付けました。

このように、デロス島は、エーゲ海の中心に位置するために、ギリシャ神話においても、政治の面においても注目されてきました。
地図を見ると、ホントにエーゲ海のど真ん中にあります。

デロス島への行き方

では、エーゲ海の中心・デロス島にはどのように行けば良いのでしょうか。

デロス島へのフェリー
デロス島へは、ギリシャ有数の観光地・ミコノス島からフェリーで向かいます。
乗船時間は30分程度。

フェリーが出るのは、ミコノス島のオールドポートです。
チケット売り場は、Captain’s Food for Sharingというレストランの向かいにあります。

発着時刻と本数は季節によって変動します。
2019年4月末の時点では、本数が1日に1本だけで、行きの便が10時にミコノス島発、帰りの便が13時半にデロス島発でした。

料金は往復で20ユーロです。

ちなみに、デロス島を観光するためには、フェリーの運賃の他に入場料として別途12ユーロがかかります。
デロス島に到着後、行列に並んで支払い。
運賃と一緒のタイミングで入場料も支払えると便利なんですけどね。
残念ながらそういうシステムではないようです。


ミコノス島の小型船
船の乗り場は、ミコノス島のチケット売り場から北に100mくらい歩いた場所にあります。
そこで、一旦小型の船に乗り込みます。

そして、向かいの港までこの船で移動。
そこでデロス島行きのフェリーに乗り換えます。

それぞれの位置関係は次の地図をご覧ください。

チケット売り場
小型船乗り場
フェリー乗り場

乗客の人数が多いと、小型船がピストン輸送するので、意外とここで時間がかかります。
当サイトが利用したときは、小型船が2往復。
フェリーが出航するまでに30分以上の時間がかかりました。

フェリーが動き出せば、30分ほどでデロス島に到着です。


デロス島観光の注意点

続いて、デロス島を観光するうえでの注意点を2つお伝えします。

帰りの出発時刻を必ずチェック

デロス島行きのフェリー
デロス島は、季節によっては船の発着が1日に1便しかなく、しかもデロス島に2時間半程度しか停泊していないので、注意が必要です。

私が訪れた時は、11時過ぎにデロス島に着いて、13時半に帰りの最終便が出航。
その便を逃すと、無人島に一泊する羽目になります。

デロス島は面積がおよそ3.4k㎡の小さな島ですが、見どころが盛りだくさん。
それらをくまなく回りたい場合は、急ぎ目に観光することをおすすめします。


飲料水と帽子は必須

デロス島内には太陽を遮るものがほとんどありません。
また、島内にも一カ所だけあるカフェがありますが、港からはちょうど正反対の位置にあります。

ですから、デロス島を観光するなら、飲料水と帽子は持参した方がいいです。
特に春以降の暖かい季節は必須と言えます。

デロス島内の観光スポット

それでは、デロス島内の見どころをご紹介します。

下の地図は、今回ご紹介するデロス島の見どころの大まかな位置を表しています。
こちらをクリックすると拡大版が表示されるので、観光の際の目安として活用してください。

今回は、港をスタートして、反時計回りに見どころを観光します。

古代人の住宅地

デロス島の古代人の住宅地

まず最初に見えてくるのは、「古代人の住宅地」です。


デロス島の古代人の住宅地

石を積み上げて作られた紀元前の住宅群。
壁や床の一部が残っていて、当時のデロス島の人々の生活を伺い知ることができます。


デロス島の富豪の家

ほとんどの住宅はこじんまりとしたサイズですが、中には富豪が建てたとされる大きな家もあります。
上の写真は、ディオニソスの家。
この家には立派な柱と綺麗なモザイク模様の床が残っています。

ディオニソスの家の向かいには、クレオパトラの家もあります。
ちなみに、エジプトの女王とは別人です。


デロス島のディオニソスの家

こちらが、ディオニソスの家の床のモザイク画。
いまから2千年以上も前に描かれた作品です。
現在、ディオニソスの家にあるのはレプリカで、本物は島内のデロス考古学博物館に所蔵されています。


古代劇場

デロス島の古代劇場

古代人の住宅地を抜けると、次に見えてくるのは、古代劇場です。

この劇場は、舞台を中心として扇型に観客席が広がっています。
また、観客席は舞台よりも高い位置にあり、上から俯瞰するスタイルになっています。


ドルフィンの家

デロス島の景色

古代劇場を抜けると、少し上り坂。
一面に花が咲き乱れていて、とても綺麗です。
ギリシャ観光のベストシーズンは、一般的には夏と言われていますが、デロス島は春も素晴らしいですよ。


デロス島のドルフィンの家

花に囲まれた細道を少し進むと、「ドルフィンの家(Maison Des Dauphins)」と呼ばれる住宅跡があります。
この住宅の床にイルカをモチーフにしたモザイク画があることからそう呼ばれています。

ディオニソスの家のモザイク画と同様、2千年以上も前に描かれたものですが、いまでも意外なほど綺麗に残っています。


キントス山&ゼウス神殿

デロス島のキントス山への道

さて、ドルフィンの家を過ぎると、次はいよいよデロス島最大のおすすめスポット「キントス山&ゼウス神殿」です。

キントス山は高さ110mの小高い丘。
石造りの階段を登って頂上を目指します。


デロス島のキントス山の頂上からの景色

丘と言えども意外と足にきますが、その頂上からの眺めは最高です。
デロス島に広がる遺跡群と、港に浮かぶ白い船。
そして、その先にはエーゲ海と空の青がきれいに溶け合っています。
山頂の岩に腰掛けて、それらの景色を眺めるのは、とても気持ちがいいですよ。


デロス島のキントス山の頂上

また、キントス山の頂上には、ゼウスの神殿もあったそうです。
現在では神殿の残骸があるのみですが、当時の厳かな雰囲気は今も残っています。
ギリシャ神話の最高神の神殿を当時の人々がこの場所に造った理由も分かる気がします。


イシスの神殿

デロス島のイシスの神殿

キントス山を下って少し先に進むと、イシスの神殿があります。

イシスと言えば、古代エジプトの女神。
ギリシャ神話の神々だけでなく、エジプトの神も祀られているところに、古代デロス島の懐の深さを感じます。


デロス島のセラピス神殿

イシス神殿の向かいには、イシスの夫・セラピスを祀った神殿があります。


デロス島のシリア人の神殿

イシス神殿の隣にはシリア人の神殿もあったそうです。
現在は、建物の基礎の一部だけが残っています。

デロス島は貿易の要衝として栄えた島。
自国以外の多様な文化を許容していたことも繁栄の一つの理由なのかもしれません。


イノポスの家&ヘルメスの家

デロス島のイノポスの家とヘルメスの家
眼下には、イノポスの家(手前)とヘルメスの家(奥)もあります。

デロス島のイノポスの家

イノポスの家。


デロス島のヘルメスの家

ヘルメスの家。


ディロス考古学博物館

デロス島のディロス考古学博物館
しばらく歩くと、ディロス考古学博物館が見えてきます。
こちらには、モザイク画や彫刻など、島内の美術品が多数所蔵されています。

デロス島のライオン像

最も目を引くのは、ライオン像です。
島内にあるのはレプリカで、こちらが本物。

デロス島のライオン像

レプリカのライオン像。
たとえレプリカでも、大地に立っている方が絵になります。


デロス島の彫刻

アテネの女王オレイテイアを略奪するボレアス。


デロス島の絵画と彫刻

絵画と彫刻。


聖なる湖

デロス島の聖なる湖

ディロス考古学博物館の先には、聖なる湖があります。
この湖は、アポロンとアルテミスの母レトがお産に使ったとされる場所です。

現在は水はありませんが、湖を囲む塀は残っています。
マラリア蚊対策のために1924年に埋め立てられてしまったそうです。


体育練習場

デロス島の体育練習場

こちらは体育練習場(ギュムナシオン)の跡地。
古代ギリシャにおいて、ギュムナシオンは、肉体鍛錬の場として使われていたそうです。


ポセイドンの柱廊

デロス島のポセイドンの柱廊

こちらはポセイドンの柱廊です。
このエリアには、海神・ポセイドンを信仰する商人たちが集まっていたそうです。


ライオン像

デロス島のライオン像

デロス島を見守る5体のライオン像。
これらのライオン像は、紀元前7世紀に、デロス島の隣にあるナクソス島の人々から送られました。
当時は、8〜9体のライオン像が立っていたと考えられています。


デロス島のライオン像

ライオンの姿には、日本の狛犬にも通じるものを感じます。


レト神殿

デロス島のレト神殿

アポロンとアルテミスの母、レトを祀る神殿です。


イタリア人のアゴラ

デロス島のイタリア人のアゴラ

イタリア人のアゴラです。
「アゴラ」とは、古代ギリシャでは「人が集まる広場」を意味しています。
この場所は、イタリア人が集う市場や集会場だったそうです。


デロス島のイタリア人のアゴラ

当時のデロス島にはたくさんの人種が暮らしていましたが、それぞれが上手に住み分けていたのかもしれません。


アポロン神殿

デロス島のアポロン神殿

デロス島で生まれた偉大な神、太陽神・アポロンを祀る神殿です。

今では神殿の基礎部分しか残っていませんが、当時は立派な神殿が建っていたと思われます。
この神殿の存在が、この島がデロス同盟の本拠地に選ばれた理由の一つと言われています。


アルテミスの聖域

デロス島のアルテミスの聖域

海の直ぐ近くには、同じくデロス島出身の偉大な神、月の女神・アルテミスの聖域もあります。

以上、デロス島の観光ガイドでした。
デロス島は、ギリシャ神話の面でも、世界史の面でも重要な意味を持つ場所です。
その点を踏まえたうえで観光するとさらに楽しいですよ。


ところで当サイトでは、現地ギリシャでの経験をもとに、ギリシャの観光スポットやギリシャ料理について、別記事で詳しく解説しています。
次の記事もあわせてご覧ください。

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