ウルワツ寺院は、バリ島南端の断崖絶壁の上に建つお寺。
垂直に切り立った崖の下には、荒々しいインド洋が広がっています。
ウルワツ寺院の魅力は3つあります。
- 迫力あるケチャダンス。猿の将軍・ハヌマーンが愛嬌たっぷり。
- 抜群のロケーション。高さ70mの垂直の崖はダイナミック。
- 美しい夕日。インド洋に沈むサンセット。
ウルワツ寺院はバリ島最大の見どころとの呼び声も高く、特に、夕暮れ時に境内で繰り広げられる荒々しいケチャダンス(ケチャックダンス)、そして、その後ろに沈みゆく夕日は必見です。
上の写真はケチャダンスの登場人物。
ウルワツ寺院のケチャダンスは、古代インドの物語「ラーマーヤナ」をベースとした舞踊です。
登場人物の表情が豊かで、また指先や腰などの細部の動きも洗練されています。
しかも、火を使った派手な演出もあるので、観客を飽きさせません。
さて、この記事では、ウルワツ寺院とケチャダンスの魅力を紹介するとともに、アクセスやチケットなど観光に必要な情報も合わせてお伝えします。
ウルワツ寺院のケチャダンス
ラーマ
(王子)
シータ
(ラーマの妻)
ハヌマーン
(猿の将軍)
ラクシュマナ
(ラーマの弟)
ラヴァナ
(魔王)
トゥリジャタ
(魔王の姪)
ウルワツ寺院のケチャダンスは、古代インドの物語「ラーマーヤナ」がベースになっています。
ここでは、ラーマーヤナの登場人物とストーリーをケチャダンスの写真とともにご説明します。
ちなみにケチャダンス版のラーマーヤナは、原作とは少し異なります。
起承転結があり、ハッピーエンドで終わるので、とても分かりやすいです。
男性ダンサー登場
ケチャダンスは、たくさんの男性ダンサーの登場からはじまります。
彼らには、特定の役どころがあるわけではありませんが、常に舞台にいて、雰囲気を盛り上げる重要なポジションを担っています。
ある時は、舞台の上のダイナミックな仕掛けになり、またある時は擬音を発して効果音代わりにもなる、生きた舞台装置です。
ラーマとシータが愛の舞を披露
男性ダンサーのプリミティブなダンスがクライマックスに達すると、物語の主役、ラーマとシータが登場します。
金と緑を基調にした綺羅びやかな衣装を身に纏った、若い王子と姫。
愛し合う2人の舞が披露されます。
魔王が2人の間を引き裂く
そこに黄金の鹿(写真右)が登場します。
この鹿は、実は魔王ラヴァナの化身。
魔王ラヴァナは、シータ姫の美しさに惹かれて、ラーマからシータを奪おうとたくらんでいます。
ある時、ラヴァナに魔法をかけられたシータは、ラーマに黄金の鹿が欲しいと泣いて懇願します。
ラーマ(写真左)は、愛する妻の頼みを聞き入れ、弟のラクシュマナに妻の安全を託し、鹿を追って森の中に消えます。
弟ラクシュマナはラーマを追う
ところが、ラーマはいつになっても戻ってきません。
ラーマのことが心配になったシータは、義弟ラクシュマナ(写真右)に様子を見てくるように頼みます。
とは言え、ラクシュマナは、シータを守るようにラーマから託されているので、シータが心配でなかなか決心が付きません。
でも最後には、しぶしぶ承諾します。
シータを火の輪で守り、輪の中からは決して出ないように告げて、ラーマを探しに出かけます。
魔王がシータに忍び寄る
ラーマもラクシュマナも去り、一人残されたシータ。
そんな中、魔王ラヴァナは、今がチャンスとばかりにシータに近付きます。
シータは火の輪で頑丈に守られていますが、ラヴァナの魔法により、とうとう輪の外に引きずり出されてしまいます。
シータが魔王に連れ去られる
シータは、魔王に連れ去られてしまいました。
白猿ハヌマーンが登場
ちょうどその頃、ラーマは、シータが魔王に連れ去られたことを知り、白猿のハヌマーンに助けを求めます。
ハヌマーンは、実は、このケチャダンスの陰の主役。
高いところから颯爽と現れるハヌマーンの姿はカッコイイです。
ハヌマーンがシータを捜索
ハヌマーンがシータを探すシーンは、客席も巻き込んで、大いに盛り上がります。
ちなみにハヌマーンの顔は、近くで見ると野性味溢れていて、キャラの割にけっこう怖いです。
ハヌマーンがシータを発見
シータをやっとのことで見つけ出したハヌマーンは、シータに疑いをかけられます。
もしかしたら、この白い猿も、魔王の化身なのではないかと。
しかしハヌマーンは、ラーマから預かった指輪を持っていました。
このシーンは、シータがその指輪を見て喜ぶところ。
ちなみにシータの横に写っているのは、魔王の姪トゥリジャタ。
トゥリジャタは、魔王の姪ですが、囚われの身となったシータを慰める役どころです。
シータがハヌマーンに髪飾りを託す
指輪がラーマのものであると分かったシータは、自分の髪飾りをハヌマーンに預け、自分の無事をラーマに伝えるように頼みます。
これが髪飾りを渡すシーンです。
ハヌマーンが魔王軍に捕まる
ところがハヌマーンは、そのあとに魔王の部下に捕らえられてしまいます。
ハヌマーンが魔王の王国から脱出
ちなみにハヌマーンが火あぶりに合うシーンは、本物の火がハヌマーンのまわりに放たれます。
すごくダイナミックなシーンで、このケチャダンスのクライマックスと言って良いと思います。
火に囲まれたハヌマーンは、このあとに自力で火を消して、この危機を脱し、魔王の王国から脱出することに成功します。
ハヌマーンが魔王を打ち倒す
魔王の王国にたどり着いたラーマは、再びハヌマーンに助けを借り、魔王をやっつけます。
上のシーンは、ハヌマーンが魔王の王冠を取り上げ、歓喜の雄叫びを上げているところです。
ラーマとシータが再会
物語の最後はハッピーエンドです。
ラーマとシータは無事に再会できたことを喜び、また平和な暮らしが始まります。
めでたしめでたし。
ケチャダンスには、セリフは一切ありません。
でも、ストーリーはとてもシンプルなので、役者の動きや表情を見ているだけで内容は分かりますよ。
さて次に、このケチャダンスが行われるウルワツ寺院のアクセスやチケットについてご説明します。
ウルワツ寺院とは
ウルワツ寺院(Uluwatu Temple)は、バリ島のほぼ南端にある寺院。
「Ulu」は先端、「Watu」は岩を意味します。
寺院にもロケーションは大切で、どういう場所に建っているかによって、大きく印象が変わります。
ウルワツ寺院が建っているのは不安定な絶壁の上。
しかも、そのすぐ下では激しい波が崖を常に浸食しています。
ダイナミックに変化する自然環境が、この寺院がより一層魅力的します。
ウルワツ寺院の歴史
ウルワツ寺院はいつ建立されたのか。
実はその時期は、はっきりとは分かっていません。
10〜11世紀ではないかと言われています。
寺を建立したとされているウンプ・クトゥラン(Empu Kuturan)は、もともとジャワ島の仏教の高僧でした。
地元の方のお話によると、高僧クトゥランには、とても不思議なエピソードが残っています。
自らのパワーで自らの体に火を付けたこの高僧は、神を体現している。
地元では、彼は神だと信じられているそうです。
現在のウルワツ寺院は、クトゥランとともに海の神が祀られており、ヒンドゥー教寺院として、地元民の厚い信仰を集めています。
ちなみに、寺の中にある3層の屋根を持つメル(塔)は、16世紀に、同じくジャワから来たダンヤン・ニラルタ(Danghyang Nirarth)によって増築された建物です。
また寺の壁面沿いには、ガネーシャなどの見事な石彫が見られますが、これは最近になって造られたものです。
この壁の内側には、残念ながら簡単には入れません。
この敷地の中に入ることが許されるのは、正装をしてヒンドゥー教の祈りをささげる人だけです。
ウルワツ寺院への行き方(アクセス)
ウルワツ寺院への交通手段は次の3つに大別されます。
- 現地ツアー
- チャーター
- タクシー
ちなみに、路線バスなどの公共の交通機関はありません。
現地ツアーを利用
現地ツアーは、ガイドさんが付くので少し高め。
ツアー料金は、旅行会社や内容によってかなり変わり、例えば、日本語ガイドとディナーが付く場合は1人60ドルくらいからあるようです。
そこそこ高いですけど、ガイドさんに解説してもらえるとバリ島やウルワツ寺院への理解がより深まるので、フリーで行くよりもずっと楽しめると思います。
ちなみに、ディナーが付く場合は、寺院から車で30分くらいのところにあるジンバランのレストランでシーフードを食べるプランが最も一般的なようです。
年末年始やゴールデンウイークなどは、ツアーが大変混雑する時期だそうですから、早めの予約がおすすめです。
車をチャーター&タクシー
ツアーを利用するのではなく、個人でウルワツ寺院に行く場合は、車をチャーターするか、タクシーを利用することなります。
ただその場合は、ウルワツ寺院の観光のハイライト、ケチャダンスのチケットを自力で取らなくてはいけません。
年末年始などのハイシーズンには、ケチャダンスのチケット売り場がかなり混雑します。
慣れたツアーガイドでも、このチケット取りには苦労するようですから、最悪の場合は取れないこともありえます。
タクシーの利用はGrabが便利
ところで、タクシーを利用するのなら、Grabという配車サービスがおすすめ。
インドネシアを含む東南アジアでタクシーを利用する時に便利なアプリです。
スマホアプリで、現在地と目的地を入力してドライバーを募集。
募集を見たドライバーから応答があり、その人でよければ手配完了です。
このアプリの利点は料金交渉が不要で、なおかつ料金も安価ということです。
Grab側で料金を設定してくれるので、値引き交渉の煩わしさがありません。
さらに、クレジットカードを登録しておけば、支払いも自動。
現金の受け渡しの必要もありません。
Grabで呼べる車はいくつか種類があります。
- 「Grab Car」は、一般人ドライバーが運転する自動車。料金は予約時に決定します。
- 「Grab Car Plus」は、5つ星評価の一般人ドライバー。料金は「Grab Car」よりも高いです。
- 「Grab Taxi」ならタクシーで移動。料金はメーター制で、Grab Car Plusよりも料金がさらにアップします。
一度利用すると、普通のタクシーに乗るのが馬鹿らしくなるほど便利なサービスですよ。
ウルワツ寺院へは、ジンバランからなら30分、レギャンからだったら1時間くらいかかります。
でも、渋滞すると、倍以上の時間がかかることもあります。
少し早めに出ることをおすすめします。
入場料・服装・トイレ事情
最後に、ウルワツ寺院の入場料や服装、トイレ事情についてご説明します。
ウルワツ寺院の入場料
ケチャダンスを見るには、料金を2回支払う必要があります。
ウルワツ寺院の入場料として3万ルピア。
ケチャダンスの鑑賞料として7万ルピアです。
上の画像はウルワツ寺院のチケット売り場、下の画像はケチャダンスのチケット売り場です。
ご覧の通り、かなりの混雑です。
繰り返しになりますが、ケチャダンスのチケットは、早めに手に入れた方がいいいですよ。
ウルワツ寺院での服装
ウルワツ寺院に入るには、素足を隠す必要があります。
短パンなどの足が見える服装の場合は、チケット売り場で紫色の布を借り、腰に巻いて足を隠します。
また、長ズボンや丈の長いスカートなどの場合は、腰布で足を隠す必要はありませんが、代わりにオレンジ色の細い布を腰に巻き付けます。
この布もチケット売り場で貸してもらえます。
ちなみに、上半身はタンクトップでも咎められることはないようです。
ウルワツ寺院のトイレ事情
ウルワツ寺院のトイレは、ケチャダンスの会場の横にあります。
舞台の出口を少し進んで、そのすぐ脇。
バリ観光のハイシーズンには、身動きできないくらいギュウギュウに席が埋まりますので、トイレは、早めに済ませておくといいですよ。
ケチャダンスの席取り
ケチャダンスは、完全自由席なので、席取りは、早いもの勝ちです。
人気の席は、目の前に海が見えるあたり。
開演30分前には半分くらいの席が埋まるので、こだわりのある方は急いだ方がいいです。
ちなみに下の方の席を取るか、上の方の席を取るかはお好みです。
舞台の近くにすれば、ダンサーの表情がはっきり見えますし、少し引いた場所を確保すれば、海を含めた舞台全体が見渡せます。
以上、ウルワツ寺院の観光ガイドでした。
ウルワツ寺院はバリ観光のハイライト。
夕日をバックに繰り広げられるケチャダンスは必見ですよ。
ところで当サイトでは、インドネシア旅行の経験をもとに、バリ島やジャワ島の観光スポットについて、別記事で詳しく解説しています。
次の記事もあわせてご覧ください。
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