ミャンマー屈指の仏教の聖地「バガン」の1日観光プランをご紹介します。
バガン観光のハイライトになっている遺跡群は、およそ40kmにも渡る平野部一帯に林立していますが、効率良く周ればわずか1日でも十分楽しめます。
一番の見どころだけを選んで満喫したいという方におすすめです。
ちなみに私はバガンに2泊して、残りの1日はバガン近郊の仏教の聖地「ポッパ山」に行き、残った時間はホテルの近くでゆっくりして旅の疲れを癒やしました。
遺跡の1日観光には、車をチャーターするのがおすすめです。
他にも自転車やバイクや馬車などをレンタルする方法がありますが、短時間の見学にはやっぱり車が一番。
特に日差しの暑い暑季(3〜5月中旬)は、日中が40度になることもよくありますし、周辺は建物も木もまばらで日避けのない道がひたすら続いているので、自転車やバイクは正直かなりシンドイです。
これからご紹介する遺跡観光のプランは、チャーターした車のドライバーのお兄さん(遺跡に詳しい地元の方)のおすすめと私の希望を合わせて作りました。
時系列に並べましたので、バガン観光の参考にしてください。
ちなみにホテルはニャンウー地区にある「Zfreeti Hotel」を利用しました。
8:45 | ホテルを出る |
9:00 | Ⓐティローミィンロー寺院 |
Ⓑアーナンダ寺院 | |
Ⓒダビィニュ寺院 | |
Ⓓマヌーハ寺院 | |
Ⓓナンパヤー寺院 | |
Ⓔグービャウッヂー寺院 | |
Ⓕゴードーパリィン寺院 | |
Ⓖマハボディー・パヤー | |
11:30 | ランチタイム |
13:00 | ホテルに戻る ニャンウーでマッサージを受ける |
16:00 | ホテルを出る |
16:30 | Ⓗダマヤンヂー寺院 |
Ⓘシュエサンドーパヤー | |
Ⓙブーパヤー | |
18:00 | エーヤワディー川でボート |
19:00 | ホテルに到着 ニャンウーで夕食 |
9:00 ティローミィンロー寺院
バガンの1日観光でまず最初に訪れたのは、バガンの入口にもなっているニャンウー地区とオールドバガン地区の間にある「ティローミィンロー(Hilominlo)寺院」です。
外壁の精細な装飾が美しい、こじんまりとしたお寺です。
お寺の入口では、子供たちがカルタのようなもので遊んでいました。
バガンの遺跡群を巡り私が最も魅力的だと思ったのは、地元の人たちの生活がそこにしっかり根付いていることでした。
熱心に祈りをささげる大人たちや、その脇で楽しく遊ぶ子供たち。
歴史的建造物もまた、地元の人々と同じ時の流れの中にあります。
同じ東南アジアにある遺跡でも、たとえばカンボジアのアンコールワットなどは観光客ばかりで、彼らが去った後はまたひっそりと静まり返ってしまいますが、バガンの遺跡はいつも活気があります。
このお寺の中には、趣がまったく異なる4体の仏像があります。
そのうちの1体は、幼子のような可愛らしいお顔をしています。
ミヤンマーの寺院では、あどけない表情の仏様をよく見かけました。
この仏様は、宇宙人(?)のような人間離れしたお顔立ち。
日本では絶対お目にかかれない、珍しい仏像です。
4体の仏様はお寺の四方に安置されていて、その間はこのような細い通路で繋がっています。
ちなみにこのお寺の名前「ティローミィンロー」には「傘の王」という意味があります。
この寺院は、バガンの王ナンダウンミャーが王位継承に選ばれたことを記念して造られたと言われおり、傘が倒れた方向に座っていた者を王に選んだというエピソードが残っているそうです。
アーナンダ寺院
次に訪れたのは、バガンの寺院群の中で最も有名なお寺。
「アーナンダ寺院(AnandaTemple)」です。
1090年にチャンスィッター王によって建てられました。
バガンの遺跡群は9〜13世紀に建てられているので、このお寺は比較的新しい建物になります。
お寺の規模は遺跡群の中でも最大で、本堂は1辺が63メートルの正方形。
中には高さ9.5メートルもある4体の仏像が収められています。
西側の入口には、大きな仏足石があります。
このお寺も地元のたくさんの人たちが毎日熱心にお参りにきます。
生活に溶け込んだお寺です。
これは堂内に収められている4体の仏像のうちの1体。西の入口の正面にある、釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)です。
ちなみにこの仏像と東側の1体(拘那含牟尼:くなごんむにぶつ)は、建造当時のものではありません。
火事で消失した後に造り直されました。
これは南側の1体、迦葉仏(かしょうぶつ)です。
北側の拘楼孫仏(くるそんぶつ)とともに、建造当時のままの姿が残っています。
堂内の仏像4体は、私が住んでいる街、鎌倉にある長谷寺の本尊と同じ10メートルもの高さがあります。
堂内が狭いということもあり、首を思い切り後ろにそらさないとお顔が見えません。圧巻ですよ。
ダビィニュ寺院
次に訪れたのは、アーナンダ寺院のほど近くにある「ダビィニュ(Thatbyinnyu)寺院」です。
このお寺はバガンでは最も高く、65メートルあります。
地上65メートルは、ビルで言うと20階建てくらいに相当します。
1144年にアラウンスィードゥー王によって建てられました。
ちなみにダビィニュとは全知者(仏陀)を意味しているそうで、1階には金で覆われた静かなお顔立ちの仏陀が鎮座しています。
そして仏陀を取り囲むように、建造当時に描かれた絵がごくわずかですが残っています。
ただバガンのお寺の壁画は、どれも保存状態があまり良くありません。残念。
マヌーハ寺院
続いて訪れた「マヌーハ(Manuha)寺院」は、オールドバガンとニューバガンのちょうど間にある小さなお寺です。
1059年に建てられたので、これも比較的新しい部類に入ります。
このお寺には悲しいエピソードがあります。
ここを建てたのは、捕虜の身となった王様です。
タトォン国の王であるマヌーハは、アノーヤターに攻められた時に、現在のバガンあたりに捕虜となって連行されました。
その時に許されて建てたのがこのお寺と言われています。
そうした建造当時の事情に加え、建物が少し変わっていることから、このお寺は見る人によって様々な解釈がされています。
たとえば、今私の手元にある旅行ガイドブック「地球の歩き方」には、「(このお寺には)捕らわれの身の鬱屈した気持ちが随所に表れている」と記されています。
ライターさんの感性がとても興味深いので、同著からこのお寺について書かれた部分を抜粋します。
(マヌーハ寺院は)2層構造で塔が建っているが、外観は平板でそれほど美しくない。
内部には3体の座像と1体の寝仏があり、どれも建物内部の空間いっぱいに造られており、窮屈そうだ。
座像の表情は、下から見ると怒っているようで、だんだん離れると表情が和らいでいくように見える。
確かにこのお寺は、仏像が「どれも建物内部の空間いっぱいに造られて」います。
そして本当に「窮屈そう」です。
上の写真は、「地球の歩き方」のライターさんが「怒っているよう」で、「だんだん離れると表情が和らいでいくように見える」とおっしゃる座像です。
圧迫感のある場所にいらっしゃるからか、近づくと本当にムッとしているように見えます。
そしてこれは「地球の歩き方」のライターさんが触れていた、内部の空間いっぱいに造られた寝仏です。
窮屈そうな仏像を見ていると、捕虜になったマヌーハの仏にすがる気持ちが、行き場なく堂内いっぱいに広がっているようにも思えます。
どんな気持ちでマヌーハがこのお寺を建てたかは誰も分かりませんが、想像が膨らむ興味深いお寺であることは間違いありません。
ナンパヤー寺院
マヌーハ寺院を見たら、隣にあるナンパヤー(Nanpaya)寺院もついでに見るのがおすすめです。
ナンパヤー寺院は、マヌーハ寺院の南西にあります。
このお寺は、修復中のため内部はがらんどうで仏像もありませんでしたが、壁に施された繊細優美なレリーフは見応えがありました。
グービャウッヂー寺院
次に訪れた「グービャウッヂー(Gubyaukgyi)寺院」は、オールドバガンとニューバガンの間にあります。
このお寺は、バガンの遺跡群の中では珍しく、内部が写真撮影禁止になっています。
その理由は、この中にミヤンマー最古と言われている壁画が残っているからです。
1113年建造当時の550の壁画が内部にはあるそうですが、内部は暗くて見にくく(懐中電灯を持ち込んでも良いようです)、壁画の残り方もかなり寂しい状態です。
私は以前、中国の敦煌の壁画を見に行った時、その保存状態の劣悪さにかなりがっかりしましたが、このお寺はそれよりもずっとひどい状態です。
壁画自体がほとんど残っていません。残念ながら消失寸前です。
ゴードーパリィン寺院
「ゴードーパリィン(Gawdawpalin)寺院」は、バガンで2番目に高いお寺。
ちなみに1番高いのは、すでにご紹介したダビィニュ寺院です。
1174〜1211年にかけて建てられた2層式のお寺で、2層目とその上の塔は1975年の地震で崩れ、1900年台以降に修復されました。
堂内の仏様は、和やかな気持ちにさせてくれる可愛らしいお顔が印象的でした。
マハボディー・パヤー
バガンの1日観光、午前の部の最後に訪れたのは、オールドバガンにある「マハボディー・パヤー(Mahabodhi Paya)」です。
1215年に建てれたこのお寺は、バガンの遺跡群の中ではかなり変わっています。
天に向かってすっと伸びる四角錐の仏塔が目を引くこの建物は、インドのブッダガヤにある「マハボディー寺院」を模したものだと言われており、当時この地がインドと交流していたことをあらわしています。
ちなみにこれがインドのマハボディー寺院。古い煉瓦構造建築様式の美しい仏塔が、バガンのお寺の塔と良く似ています。
このお寺があるブッダガヤは、仏教の4大聖地(ルンビニ・ブッダガヤ・サルナート・クシーナガラ)の1つとして知られており、境内には、ブッダがそのもとで瞑想をしたとされている菩提樹の子孫木があります。
ちなみに私はこの菩提樹のたもとで、ブッダになったつもりで10日ほど瞑想をしたことがあります。
マハボディー寺院は、世界中の仏教徒が集まる非常に活気のあるお寺で、私も良いパワーをいただいて帰って来ました。
さてよく似たかたちの仏塔についてですが、写真をくらべていただくと分かりますが、バガンのお寺の仏塔(上)は、大きさはかなり小さいものの、その角ばったかたちや精緻な装飾など本物の特徴をよく捉えています。
この頃からブッダガヤのマハボディー寺院は、仏教徒に絶大な影響力があったことが伺えます。
マハボディー寺院の本尊は、ミャンマーらしい幼い子供のような親しみやすい仏様でした。
お寺の外には、仏陀が瞑想した子孫木かどうかは分かりませんが、まだ小さい菩提樹が植樹されています。
11:30 オールドバガンでお昼
さてバガンの遺跡を8つ巡ったところで、オールドバガンでお昼にしました。
お昼のレストランを選んでくれたのは、この観光プランを一緒に作ってくれたタクシードライバーのお兄さん。
オールドバガンは考古学保護区に指定されているということもあり、レストランが少なく価格も少し高めですが、ドライバーのお兄さんによると、ここの屋外レストランだったら、近くの高級レストランよりも味が良く、ずっと安く食べられるとのこと。
上の写真がそのレストランです。観光客は私と夫の他に誰一人としておらず、地元の方で賑わっていました。
ドライバーのお兄さんのおすすめで、人気のお料理をいろいろと出してもらいました。
2人分でけっこう豪華。
飲み物もついて全部で6500Ks。日本円で550円くらいです。
写真の右上にあるのはミャンマーのフライドチキン。
1本がめちゃくちゃ大きくて、魚醤の風味をいかしたさっぱり味。日本人の口にも合います。
その下にあるのはもやしの酢漬け。
その上は辛くない唐辛子カレーです。
お肉を使ったカレーは、このお店にある全品を出してくれました。
左上からポークカレー。その隣がビーフカレー。その次がマトンカレー。
マトンカレーの下にあるのは、揚げた唐辛子と干し魚のふりかけ。魚の風味をいかした優しい味付けで、全然辛くありません。
その下はさっぱりとしたタケノコの和え物です。
この写真の一番奥にあるのは、チキンカレー。お肉のカレーは全部で4種類です。
チキンカレーの下はインドのダルスープのような豆の汁物。
その下がペースト状にしたナスのカレー。マイルドな味わいです。
その上にあるのは、ほのかな酸味のあるトムヤンクンのような味のスープ。
ミャンマーのお料理はすごく油っこいと聞いていたので、日本人の口に合うさっぱりとした味付けのお料理が意外と多くて驚きました。
13:00 ホテルに戻る
さてここで私たちは、いったんホテルに戻りました。
私たちがミャンマーを旅したのは、ミャンマーの気温が最も高い5月。
3〜5月の暑季には、日中が40度になることもよくあるようで(実際この日も40度ありました)、地元のミャンマー人でさえ、昼時はあまり出歩きません。
ですから13〜16時くらいの間は、ホテルに戻るなどして涼しいところで休むことをおすすめします。
ちなみに私たちは、ニャンウー地区の「ゼフリーティー・ホテル(Zfreeti Hotel)」に宿泊しました。
遺跡めぐりをするのに便利な場所にある清潔なホテルです。リンク先でホテルの紹介をしましたので、宜しければご覧ください。
私たちはこのお昼の時間を利用して、近くにある「シュエ・ピィ・ナン・タナカ・ギャラリー(Shwe Pyi Nan Thanakha Gallery)」でマッサージを受けてくつろぎました。
ニャンウー地区には他にも何件かマッサージ店があり、どこも1時間6〜10ドルとかなり安いので、空いた時間に旅の疲れを取るのもいいですよ。
16:30ダマヤンヂー寺院
バガンの1日観光、午後の部は16時からです。
午前中にお世話になったタクシードライバーのお兄さんと16時にホテルで待ち合わせをし、まず向かったのが「ダマヤンヂー(Dhammayangyi)寺院」です。
夜中になると幽霊が出ると言われているいわくつきのお寺です。
実はこのお寺、1167年頃に建て始められたられたものの、未完のまま現在に至ります。
この地にお寺を建てることを考えたナラトゥという王様は、王位継承争いのために父と兄を暗殺し、その罪滅ぼしをしたかったそうです。
贖罪のために、このお寺を建て始めました。
でもその後に、この王も何者かに暗殺され、お寺は放置されたままになったのだとか。
この不吉なエピソードを知ると、なんだか本当に幽霊が出るような気がしてきます。
でも中に収められている仏様は、穏やかな良い感じのお顔立ちです。
野良犬も住み着いていたりして。
バガンには犬がすごく多いです。
ちょっぴり不気味な言い伝えのあるお寺ですけど、そんな中で商売をしている地元の方もいます。
このお寺は未完ですが、規模が大きく、また装飾が施されたところがとても細かいということもあり、他の遺跡と同じくらい観光客も多く訪れます。
シュエサンドーパヤー
次に訪れた「シュエサンドーパヤー(Shwesandaw Paya)は、まるで展望台のような仏塔です。
外壁に沿って伸びた階段を登ると、バガンの遺跡群が遠くまで見渡せます。
ここに来るとバガンの遺跡のすごさがひと目で分かるので、絶対スケジュールに組み込んだ方がいいですよ。
場所は、オールドバガンのほど近くです。
展望台へのアクセスは、メキシコのピラミッドを連想させるかなり急な傾斜の階段です。
この仏塔は全部で5層になっていて、一番下の台座2層が八角形になっています。
ちなみに「シュエサンドー」という仏塔の名前についた「サンドー」とは、ビルマ語で「聖髪」を意味しているそうで、この仏塔の中にはモン族(タトォン国)が持っていた釈迦の遺髪が収められているそうです。
上まで登り切ると、バガンの景色が360度見渡せます。
果てしなく広がるバガンの遺跡!
圧巻です!!
ブーパヤー
バガンの1日観光、最後に訪れたのは「ブーパヤー(Bu Paya)」です。
ここにある金色のぽってりとした形の仏塔は、バガン遺跡群の中で最も古いものの1つで、建立は7〜8世紀頃。ピュー族によって造られたと言われています。
ただ現在残っているのは、1975年の地震の後に修復されたものです。
このお寺に寄ったら、ついでにその前にあるエーヤワディー川でボートに乗るといいですよ。
タクシードライバーのお兄さんにすすめられて、バガン観光の締めくくりに、ボートから夕日を眺めました。
ちなみに上の写真は、ボートの上から撮影した「ブーパヤー」です。
18:00 エヤワディー川
「ブーパヤー」のすぐ脇に、川岸に降りていく石の階段があります。
このすぐ下に船着き場があります。
ボートはいっぱい並んでいますが、殆どが外国人向けの観光に使われているようです。
ボートは1艘で15ドル。
私たちの他に観光客がいなかったので、完全貸切りです。
ボートで10分ほどかけて大きな川の中央あたりまでいくと、先ほどいた「ブーパヤー」とその周辺がこんな感じに見えます。
ここでボートを止め、日が沈むのをじっくりと眺めながら過ごしました。
この日はあまり天気が良くなかったのであまりきれいに見えませんでしたが、タクシーのお兄さんによると、しかるべき日に来ると感動するほど夕日が美しいそうです。
ちなみにボートに乗っていた時間は、トータルで45分くらいでした。
バガン観光の締めくくりにおすすめですよ。
19:00 ホテルに到着
以上のスケジュールを終え、ホテルに戻ったのは19時くらいでした。
たった1日の観光なので、バガンの遺跡をものすごくたくさん見学出来たわけではありませんが、十分満足しました。少し足りないくらいがちょうど良かったです。
車や馬車などを利用すると、ドライバーさんがガイドもしてくれるのでいいですよ。地元の方ですからいろいろ詳しいはず。
今回まわったお寺は、ほとんどがドライバーさんのおすすめです。
これだけは行った方がいいよと教えてくれたお寺はすべてまわりました。
バガン観光の参考にしてください。
この記事についてのご感想などをお寄せください。
サイト運営の参考にさせていただきます。
頂いたコメントには、2〜3日以内にメールアドレス宛に回答いたします。(詳細)
メールアドレスの入力ミスにご注意ください。
なお、頂いたコメント及びその後のメール等でのやり取りは、この欄でご紹介させていただく場合がございます。