天ぷら職人の土阪幸彦さんがすすめる、家庭で天ぷらを美味しく作るコツと「卵黄の天ぷら」のレシピをご紹介します。
土阪さんが腕を振るう日本料理店「旬彩天 つちや」は、ミシュランガイドで4年連続2つ星を獲得している名店です。
(一部情報元:TV「ジョブチューン」超一流職人スペシャル 2015年7月18日放映)
天ぷらを上手に揚げる方法
土阪さんによると、家庭で天ぷらを上手に作るには、次の6つのポイントが大切です。
- エビなどの冷凍食材は、脱水シートで10分包み、水気をしっかり取り除く。
- 衣の材料すべてを、事前に冷蔵庫に入れてしっかり冷やす。
- 衣作りは、まず卵黄と水を混ぜる。
- 衣に炭酸水を加える。
- 衣をつける前に、ネタに打ち粉をする。
- かき揚げを揚げる際は、油の中で具材を広げてから形を作る。
以上の6つのポイントを、土阪さんのお話をもとに説明します。
冷凍食材の下処理に脱水シートを使う
天ぷら作りでよく陥りがちな問題の1つに、カラッと揚がらない、衣がべちゃっとするというのがあります。
これを解決するには、天ぷらの大敵である水分をいかにおさえるかがポイントになります。
特に冷凍食材は、細胞膜が壊れているため、揚げた時に中の水分が出てきてしまいます。
そこで、脱水シートを使って、余分な水分を抜きます。
そうすると、カラッと揚げることができます。
ちなみに、これを踏まえた冷凍エビの下処理は、次のような手順で行います。
- 殻をむいて背ワタを取り、臭みを取るため水で洗う。
- キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取る。
- 脱水シートでエビを10分包む。
冷凍エビはこのような作業を終えてから、衣をつけるとカラッと揚がります。
衣作りのポイント
天ぷらの衣を上手に作るポイントは4つあります。
衣の材料すべてを冷蔵庫でしっかり冷やす
常温のままの材料を混ぜて作ると、衣に粘りが出てしまいがちです。
ただ、衣に氷を入れて冷やすのはNG。
衣の濃度や温度にムラができてしまうため、失敗しやすくなります。
水と卵を混ぜてから粉を加える
粉・水・卵を一緒に混ぜずに、まずは水と卵を混ぜてから粉を加えます。
材料すべてを一度に混ぜると、材料が馴染みにくく、混ぜすぎてしまいます。
これも、衣に粘りが出る原因になります。
衣に炭酸水を加える
炭酸水を入れると、衣がサクッと揚がります。
衣の中に発生した炭酸ガスが、揚げた時に熱を持つことで、中からも火が通るためです。
ダマが残っても混ぜすぎない
混ぜすぎは、衣に粘りが出る原因になります。
以上の4点を踏まえた上で、土阪さんおすすめの衣の作り方は、次のようになります。
なお、卵は卵黄だけを使います。
薄力粉 | 300g |
卵黄 | 1個 |
冷水 | 500cc |
炭酸水 | 50cc |
- 衣の材料は冷蔵庫でしっかり冷やしておく。
- 卵黄と冷水をボールに入れ、しっかり混ぜる。
- ふるった小麦粉(半量)を入れ、泡だて器で軽く混ぜる。
ふるった小麦粉の残りの半分は、2回に分けて加え、その都度、菜箸で軽く混ぜる。 - 最後に炭酸水を混ぜたらできあがり。
天ぷらの衣の黄金比は、薄力粉300g、卵黄1個、冷水500cc、炭酸水50ccです。
この割合を覚えておくと、便利に使えます。
衣をつける前にネタに打ち粉をする
天ぷらの失敗例の1つに、衣が剥がれてしまうというのがあります。
これを防ぐためには、衣をつける前に、ハケを使ってネタに薄力粉を薄くまぶします。
打ち粉が、具材と衣をつなぐ接着剤のようになります。
かき揚げの上手な揚げ方
かき揚げを揚げる時は、具材をしっかり固めて油に入れるのはNGです。
かき揚げは、固めて入れるのではなく、油の中に一度散らします。
そして具の1つ1つに、しっかり油を浸透させます。
その後で丸く形を整えると、サックリと揚がります。
ちなみに、揚げた天ぷらを、キッチンペーパーにのせてしばらく置くのもNG。
時間が経つと、キッチンペーパーに浸透した油や水分が、逆に天ぷらに戻ってしまいます。
天ぷらは揚げたてをすぐに食べるか、もしくはキッチンペーパーの上で一旦休ませるとしても、すぐに皿などに移すようにします。
ちょっとした配慮で、家庭でも美味しい天ぷらが作れるんですね。
卵黄の天ぷらの作り方
最後に土阪さんがすすめる、天ぷらにすると美味しい意外なネタをご紹介します。
それは、卵の黄身です。
「卵黄の天ぷら」は次のように作ると、美味しく仕上がるそうです。
- 卵黄に衣をつけ、160度の油で30秒ほど揚げたらできあがり。
箸を入れると、卵黄がとろっと溶け出します。
天ぷらにすると、卵黄の甘みが引き立ち、濃厚な卵黄が意外とあっさりといただけるようです。
この卵黄の天ぷらは、かき揚げの上にのせて天丼にすると美味しいようですよ。