甘夏みかんをほぼ丸ごと使った、甘さ控えめで風味の良いジャムの作り方をご紹介します。
この甘夏マーマレードのレシピは、甘夏の実だけでなく、外皮とその内側の白い部分、そして、房の薄皮も使うのが特徴です。
また、皮なしで作った場合とくらべると、甘夏の味と香りがしっかりと残るうえに、皮の柔らかい食感も加わるので、美味しさが格段にアップします。
甘夏(夏みかん)は、オレンジなど他の柑橘類とくらべると、味がこびておらず、野性味溢れる風味が魅力の果物です。
このレシピであれば、とても簡単に作れるうえに、旬の甘夏の味をたっぷりと堪能できますよ。
材料
甘夏 | 2個 |
砂糖 | 使用する甘夏の重量の40〜50% |
作り方
まず、甘夏(2個)の外皮をむきます。
外皮は、普通にざっくりと手でむいてもいいですけど、包丁で十字の切れ目を入れて、外皮が4等分になるようにむくと、あとで千切りにする時に長さが揃ってきれいです。
そして、甘夏の外皮を千切りにします。
外皮の内側の白い部分は、そのまま使います。
ただし、「ヘタ」と「ヘタのまわりにふわふわと浮いているワタ」(上の写真の①)は、あらかじめ取り除いてください。
なお、千切りは、あまり長くすると食べにくいです。
外皮を縦に12等分くらいに分けて、それを横向きにして刻むと、適度な長さに仕上がります。
千切りにしたら、外皮の重量をはかっておきます。
次に、たっぷりの湯(1.5Lくらい)を沸かし、外皮を3分ほど茹でます。
そして、たっぷりの水にさらし、30分ほど置きます。
甘夏に限らず、ほとんどの柑橘類は、「外皮」や「房に付いた白いワタの部分」に苦味があります。
ですから、ジャムにする場合は、こうした部分の一部を取り除くか、あるいは、茹でこぼしたり水にさらしたりして苦味を抜きます。
このレシピでは、「房に付いた白いワタの部分」は取り除きますが、「外皮の内側の白い部分」はそのまま使います。
その方が、ジャムの風味が良く、とろみも付きやすいためです。
また、このレシピでは、外皮の苦味を抑えるために、3分茹でてから水に30分さらします。
これだけでも十分に苦味が抜けますが、苦いのがとてもニガテという場合は、2時間から一晩くらい水にさらしてもいいです。
茹でたり水にさらしたりする時間を長くすると、より苦味が抜けやすくなります。
ただし、苦味を抜くということは風味を抜くということでもあるので、あまりやり過ぎると、甘夏らしくない、味気のないジャムになってしまいます。
続いて、甘夏の果肉を房から取り出し、種を除き、小さめに割きます。
上の写真の①が、果肉を取り出した後の薄皮です。
この①から、薄皮の白い部分(②)を取り除きます。
この部分は、苦味があるので使いません。
そして、残った側面部分(③)だけを、みじん切りにします。
甘夏みかんの外皮と薄皮には、ジャムのとろみのもとになるペクチン(食物繊維)が豊富に含まれているので、捨てずに使います。
また、果肉と一緒に皮も使うことで、風味も良くなります。
ここで砂糖の量を決めます。
砂糖の量は、「外皮」と「果肉」と「白い部分を取り除いた薄皮」を足した重量の40〜50%です。
- 外皮
- 果肉と薄皮
ごく一般的なサイズの甘夏を2個つかう場合、必要な砂糖の量は、250〜300gくらいになることが多いです。
とは言え、個体差もかなり大きいので、実際に計量してみてください。
なお、私は甘さ控えめが好みなので40%でよく作りますが、糖度が高い方が、ジャムらしいとろみが付きやすくなります。
甘夏の外皮を30分水にひたしたら、ザルに上げて水気を切ります。
そして、甘夏の外皮・果肉・薄皮を鍋に入れ、砂糖を加えて、ヘラでよく混ぜて火にかけます。
沸騰したら、アク(白い泡)を取ります。
アクをきれいに取ると、雑味の少ないクリアな味のジャムができます。
そして、たまに混ぜながら、10〜12分ほど煮詰めたら完成です。
ジャムの煮上がりはかなりサラッとしていますが、冷まして冷蔵庫に入れると、トロッと固まります。
ここであまり煮詰め過ぎると固くなってしまうので、10〜12分を目安にかなりゆるい状態で火からおろしてください。
外皮と薄皮を加えているので、甘夏の風味がしっかりと残っており、濃厚な味を楽しめます。
また、甘さが控えめなのも嬉しいところです。
味にしつこさがないので、パンにたっぷりのせても、ペロッと美味しく食べられます。
トロッとゆるめの舌触りとともに、皮の柔らかい食感をぜひ楽しんでみてください。
なお、このジャムは、冷蔵保存で2ヶ月ほど日持ちします。
より長持ちさせたい場合は、冷凍保存すると、半年くらいは美味しく食べられますよ。
何本かの瓶に詰めるとどうしても最後の瓶が煮汁が多くて、果肉が少なくなってしまうのですが、詰め方のこつがありますか?
それぞれの瓶に均等に少しずつ入れていくと良いと思います。
瓶が何本になるか分からない場合は、確実に使うと思われる本数の瓶と、瓶の代わりになるボールをいくつか用意して、それぞれに均等に入れていきます。
ある程度入れ終わり、瓶の本数が予想通りになりそうだったら、ボールに入れた分を、均等にそれぞれの瓶に移します。
反対に、瓶が予想以上に必要だった場合は、追加する瓶にボールの中身を移し、すべてを入れ終えると良いです。