栗の渋皮煮の基本の作り方をまとめました。
栗の風味をそのまま生かし、上品で奥行きのある味わいに仕上げます。
重曹でやさしく下処理し、弱火で静かに煮含めることで、実はほくほく、蜜はすっきりとした甘さになります。
割れを防ぐ火加減や、渋皮の表面の筋や薄皮の落とし方、保存方法まで丁寧に整理したので、ぜひ参考にしてください。
初心者でも失敗しない作り方のポイントは、次のとおりです。
- 弱火で加熱して、栗を踊らせない。
- 下ゆでした後は、水を少しずつ足して徐々に冷やす。
- 栗は鍋に一段に並べる。
材料
栗(鬼皮付き) | 約500g(渋皮付きで300〜350g) |
重曹 | 小さじ1 + 小さじ1/2 |
砂糖 | 220〜250g(お好みで加減) |
塩 | 小さじ1/8 |
みりん | 大さじ1 |
水(煮汁用) | 400ml |
栗の渋皮煮のレシピ・作り方
栗の鬼皮をむく
- ① 栗(鬼皮付きで約500g)をボウルに入れ、かぶるくらいの熱湯を注ぎます。
30分ほど置き、鬼皮を柔らかくしてむきやすくします。 - ② 栗むき器または包丁で鬼皮だけをむきます。
その際には、渋皮を傷つけないように、そっとはがすようにしましょう。
鬼皮のむき方は、冒頭の動画かリンク先で詳しく解説しています。
重曹を加えて栗を下ゆでする
- ③ 鍋に水(1.5L:分量外)と重曹(小さじ1)を加えてよく混ぜ、栗を加えて中火にかけます。
沸騰したら、栗が踊らない程度の火加減(弱めの中火〜弱火)にし、10分ほど静かにゆでます。
途中でアクが出ますが、取り除かなくても大丈夫です。
静かにゆでることで、渋皮を傷めず、均一に柔らかく仕上がります。
栗を冷まし、渋皮の表面を洗う
- ④ 火を止めたら、鍋ごと流しに持っていきます。
水を少しずつ静かに注ぎ、温度をゆっくり下げましょう。 - ⑤ 手を入れられるくらいの温度になったら、流水でやさしく洗いながら、渋皮の表面に浮いた筋や薄皮を指先や竹串などで丁寧に落とします。
渋皮を傷つけないように注意し、洗った栗はすぐに水に浸しておきます。
筋や薄皮をどこまで落とせば良いかは、FAQで詳しく解説しています。
2回目の重曹ゆでをする
- ⑥ 鍋をきれいに洗い、栗を戻します。
水(1.5L:分量外)と重曹(小さじ1/2)を加えてよく混ぜ、同様に10分ほど静かにゆでます。
再び鍋ごと流しに持っていき、水を少しずつ注いでゆっくり冷まします。
やさしく洗いながら、渋皮の表面に残った筋や汚れを丁寧に落としましょう。
重曹を抜くためにもう一度ゆでる
- ⑦ 最後にもう一度、鍋をきれいに洗い、栗を戻します。
水(1.5L:分量外)だけを加え、重曹なしで12〜15分ほど静かにゆでて、重曹をしっかり抜きます。 - ⑧ 火を止めたら、鍋ごと流しに持っていきます。
水を少しずつ静かに注いで、温度をゆっくり下げます。
手を入れられるくらいの温度(40℃前後)になったら、ぬるま湯に替えて2〜3回すすぎます。
渋皮を傷つけないようにやさしく洗い、水気を切ります。
同時に、渋皮が急に締まるのを防ぎ、やわらかさを保つ効果もあります。
シロップを作る
- ⑨ 鍋(内径20センチ程度推奨)に砂糖(220〜250g:お好みで加減)・塩(小さじ1/8)・みりん(大さじ1)・水(400ml)を入れて火にかけます。
砂糖が溶けてシロップができたら、なるべく温度が低いうちに栗を加えます。
より詳しく:鍋の大きさ
栗を煮含める
- ⑩ 煮立ってきたらクッキングシートの落としぶたをします。
ごく弱火に落として、40分ほど静かに煮含めましょう。
グラグラ加熱すると栗が煮崩れやすくなるので、沸騰させずに静かな状態を保ちながら加熱します。
味をなじませたら栗の渋皮煮の完成!

- ⑪ 火を止め、落としぶたをしたまま1時間ほど冷まします。
冷める間に、栗の中まで味がしっかり染み込みます。 - ⑫ 完全に冷めたら保存容器に移し、煮汁ごと冷蔵庫で半日ほどおいて味をなじませたら完成です。
栗の渋皮煮は作るのに手間はかかりますが、その分、格別な美味しさに仕上がります。
ほっくりした栗にやさしい蜜がしみて、上品な甘みと奥行きのある味わいに。
翌日以降さらに味がなじんで、より美味しさがアップします。
作り置きして、季節の恵みをゆっくり楽しんでください。
栗の渋皮煮の保存方法
栗の渋皮煮は、保存方法によって日持ちが変わります。
以下を目安にしてください。
- 冷蔵保存:7〜10日ほど。
栗がしっかり蜜に浸かるように保存し、清潔なスプーンで取り出します。
日が経つほど味がなじみ、2〜3日目が食べごろです。 - 冷凍保存:1か月ほど。
栗と蜜を一緒に密閉袋や瓶に入れ、空気を抜いて保存します。
食べるときは冷蔵庫で一晩かけてゆっくり解凍すると、風味が損なわれにくいです。
いずれの場合も、清潔な状態で保存すると風味が長持ちします。
最も美味しいのは、作ってから2〜10日目ごろ。味がなじみ、渋皮の風味と蜜のまろやかさが一体になります。
よくある質問(FAQ)
重曹で栗をゆでるとき、使えない鍋はありますか?
あります。
アルミ鍋や銅鍋は、重曹(アルカリ性)と反応して変色したり、栗に灰色の色や金属臭がつくことがあります。
ホーロー鍋やステンレス鍋を使うのがおすすめです。
栗をゆでていると白い泡(アク)が出てきました。取ったほうがいいですか?
アクは取らなくても大丈夫です。
これは栗の渋皮に含まれる成分や重曹が反応して出るもので、渋皮をやわらかくする役割があります。
ただし、泡が厚くなって鍋の中の栗が見えないほどになったときや、黒っぽい泡が出てきたときは、お玉の先で表面を軽くすくう程度に取り除くと良いです。
黒っぽい泡は、重曹と渋皮のタンニンが反応してできた自然なものですが、そのまま残すと鍋の縁にこびりついて見た目がくすんだり、ほのかに渋い香りが残ることがあります。
ゆでて柔らかくなった栗の筋や薄皮は、どこまで取ればいいですか?
渋皮の表面に浮いた「筋」や「薄く浮いてめくれる皮」は、やさしく取り除きましょう。これらを残すと、あとでシロップに渋みが移りやすくなります。
指先でなでてスッと落ちる部分や、竹串で軽く引っかけて自然に取れる部分を目安に。しっかり固く張りついている皮は、無理にこすらずそのままで大丈夫です。
黒っぽく染まっている部分は、渋皮そのものの色づきで、味や食感には影響しません。筋や浮いた薄皮だけをていねいに落とすことで、渋みが少なく上品な味わいに仕上がります。
栗は水からゆでるのですか?
はい。熱湯に入れると、渋皮が急に熱で膨張して割れやすくなります。
水からゆっくり加熱することで、渋皮を傷めず、均一に柔らかく仕上がります。
栗をゆでたあと、鍋ごと流しに持っていき、水を少しずつ注いで冷ますのはなぜですか?
急に冷ますと、渋皮が縮んで割れやすくなるためです。
水を少しずつ注いで温度を下げることで、渋皮を傷めずに柔らかさを保ち、筋やアクを落としやすくなります。
栗を煮る鍋は、どのくらいの大きさがいいですか?
栗が重ならず、一段に並べられる大きさが理想です。
栗500gほどなら、内径18〜20センチくらいの鍋がちょうど良いです。
栗が重なると、下の栗がつぶれたり、上の栗に味が染みにくくなるため、平らに並べて煮るのがポイントです。
この栗の渋皮煮の味付けは、栗の甘露煮と似ていますが、どんな味ですか?
私が栗の甘露煮の味付けをとても気に入っているので、その味付けを生かして渋皮煮にも応用しました。
甘露煮と同じ味付けでも、渋皮を残して煮ることでまったく違う味わいに。
渋皮のほろ苦さと深みが甘みを引き締め、上品で奥行きのある風味に仕上がります。
甘露煮が「やさしい蜜の甘さ」なら、渋皮煮は「深くまろやかな甘さ」が魅力です。
栗の渋皮煮が日を置くと少し渋く感じるのはなぜですか?渋みを抑える方法はありますか?
栗の渋皮煮は、作ってから数日経つと、後味にほんのり渋みを感じることがあります。これは失敗ではなく、保存中に自然に起こる現象です。
主な原因は、渋皮に含まれるポリフェノール(タンニン)がシロップにゆっくり溶け出し、再び栗に吸収されるためです。保存中にこの再吸収が進むと、後味に軽い渋みが出ることがあります。また、時間が経つことで甘みがまろやかに落ち着き、相対的に渋みが感じやすくなることもあります。
渋みをやわらげたい場合は、次の方法がおすすめです。
- 栗とシロップを鍋に入れ、ごく弱火で5〜7分ほど温め直してから自然に冷ます。
- 温め直す際に、みりん(小さじ1)または蜂蜜(小さじ1〜2)を加えると、渋みがまろやかになります。
- 食べる直前に少量のシロップをかけると、甘みが立って渋みを感じにくくなります。
なお、ほんのりとした渋みは渋皮煮本来の風味であり、甘みを引き締める役割もあります。完全に取り除くよりも、甘みと渋みの調和を楽しむのが理想的です。
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