鹿児島の人気和菓子、「かるかん」と「かるかん饅頭」のレシピをご紹介します。
かるかん(軽羹)とは、長芋・米粉・砂糖などを材料にしたお菓子のことです。
長芋を使っていますが、味にクセはなく、しっとりとした軽い食感が特徴です。
一般的には、餡なしのプレーンタイプのことを「かるかん」、中身にあんこを入れてまんじゅう型に成形したものを「かるかん饅頭」と呼びます。
かるかんは、鹿児島みやげの定番ですが、自宅で簡単に手作りすることもできます。
泡立てた卵白を加えることで、ふんわりとした軽快な食感に仕上がります。
なお、この記事は、かるかん発祥の地・鹿児島の老舗店、1854年創業の明石屋本店前よりお伝えします。
記事の後半では、かるかんの歴史や同店のかるかんについても解説します。
材料
長芋(山芋) | 100g |
砂糖 | 60g |
水 | 30ml |
上新粉 ※ | 90g |
卵白 | 1個分 |
あんこ | 好みで90g程度 |
- かるかん粉で代用しても良い。
- カロリー
- 1個分:120kcal
作り方
- ① 蒸し器にたっぷりめの水を入れ、火にかけておきます。
- ② 長芋(山芋)の皮を剥き、なめらかにすりおろして100g用意します。
長芋は、他の種類の山芋(大和芋・銀杏芋・自然薯など)でも代用できます。 - ③ すぐにボールに入れ、砂糖(45g)と水(30ml)を混ぜます。
長芋の色止めは不要
長芋は、切ったりすりおろしたりしてから時間が経過すると、酸化して茶色っぽく変色します。
でも、砂糖と水をすぐに混ぜておけば、多少放置したとしても、色が変わる心配がありません。
なお、生の長芋の代わりに市販の長芋粉を使って作ることもできますが、生の長芋を使う方がおすすめです。
補足:生長芋と長芋粉の違い
- ④ 別のボールを用意して、卵白(1個分)と砂糖(15g)を入れ、ハンドミキサーなどで角が立つまで泡立てます。
卵なしで作ると重い生地になる
ハンドミキサーがない場合は、少し力が要りますが、泡立て器でも作れます。
泡立てた卵白を加えてかるかんを作ると、市販品のようなふんわりとした食感に仕上がります。
ちなみに、卵を泡立てずに使ったり、あるいは卵なしで作ると、お団子のようなどっしりとした重めの生地になります。
- 上新粉の半量を
加える - ⑤
- 卵白の半量を
加える - ⑥
- 上新粉の残りを
加える - ⑦
- 卵白の残りを
加える - ⑧
続いて、かるかんの生地を作ります。
- ⑤ 長いもを入れたボールに上新粉の半量を加え、粉っぽさが少し残る程度にざっくりと混ぜます。
- ⑥ 卵白の半量を加え、粉っぽさがなくなるまで、切るように手早く混ぜます。
- ⑦ 上新粉の残りの半量を加え、粉っぽさが少し残る程度にざっくりと混ぜます。
- ⑧ 卵白の残りの半量を加え、全体が均一になるまで、切るように手早く混ぜます。
泡をつぶさないように均一に混ぜる
上新粉と卵白は少し混ざりにくいので、交互に半量ずつ混ぜるのがおすすめです。
また、卵白を加えたら、泡をなるべく潰さないように切るように手早く混ぜると、生地のふんわりとした食感が出やすいです。
なお、上新粉の代わりにかるかん粉を使うこともできます。
補足:かるかん粉を使う場合
- かるかん型
- 型の種類
- ⑨ 生地を型に流し入れます。
かるかん型を使う場合は、あらかじめ型の内側にサラダ油を薄く塗ってから、生地を入れます。
パウンド型を使う場合は、内側にクッキングシートを敷いてから、生地を入れます。
型について
型は、どのようなものを使っても構いません。
一般的には、あんこなしの「かるかん」は四角い型、あんこありの「かるかん饅頭」は丸い型に入れることが多いですけど、自宅で作る場合は、細かいことは気にせずに、好きな型を使ってOKです。
たとえば、市販の紙のマフィン型やグラシンカップでもいいですし、パウンド型1つに生地をすべて流してもいいです。
また、型がない場合は、湯のみなどの器で代用することもできます。
- ⑩ あんこ入りのかるかん饅頭を作る場合は、生地を半分くらいまで型に流し入れたあとに、あんこ(90g程度)を型の個数分に分け、平たい円形にして生地にのせて、その上にさらに生地を流し入れます。
- ⑪ 表面をヘラなどで平らにならします。
- ⑫ 蒸気が上がった蒸し器に、型ごと入れます。
- ⑬ 15分ほど蒸したら完成です。
途中でフタを開けると、膨らみが悪くなることがあります。
型1個に入れた場合の蒸し時間
大きな型1個に生地を流した場合は、火が通るまでに少し時間がかかります。
20分くらいを目安に、竹串を刺して生地が付かなくなるまで蒸してください。
金属の蒸し器はフタを布巾で包む
金属製の蒸し器を使う場合は、布巾などでフタを包んで蒸すのがおすすめです。
こちらが蒸し上がりです。
かるかん型を使った場合は、型をひっくり返すだけで、中身がすっとラクに取り出せます。
専用の型を使うと、かるかんがとても簡単に、おなじみの丸くてかわいいお饅頭の形に仕上がります。
かるかんの賞味期限
完成したかるかんは、蒸したてか、あるいは、蒸したその日くらいに食べ切るのがおすすめです。
かるかんと言えば、ふんわりとしつつもしっとりとした生地の食感が特徴的ですが、そうした食感は、たとえ市販品であったとしても、時間の経過とともに失われていくためです。
とは言え、すぐには食べ切れないこともありますよね。
そんな場合は、冬場だったら、ラップで包んでおけば常温で2〜3日くらい日持ちしますし、ふんわりとした柔らかさも比較的残っています。
夏場の常温保存は、半日程度と考えてください。
長期保存したい場合は、冷蔵よりも冷凍がおすすめです。
冷凍してしまった方が、味や食感の劣化が少なく抑えられます。
冷凍した場合の日持ちは、1ヶ月ほど。
食べる時は、レンジの半解凍モードで少しずつ解凍するのがおすすめです。
ただ、冷凍しても、時間の経過とともに生地の柔らかさが失われていくことには変わりないので、なるべく早めに食べ切ってください。
長芋のお菓子と聞くと、クセのある味を想像する方もいらっしゃるかもしれません。
でも、それは大きな誤解です。
実際は、素直な味をしていて、とても食べやすいです。
しかも、適度な甘みがあるうえに、食感も軽いので、パクパクと美味しく食べられます。
今回ご紹介したかるかんには、プレーンとあんこ入りの2タイプがありますが、プレーンでも十分な満足感を得られます。
長芋をたっぷりと使った栄養満点なスイーツなので、子供のおやつとしてもおすすめですよ。
鹿児島のかるかん
続いて、鹿児島におけるかるかんの歴史と、老舗店のかるかんについて、少しお伝えします。
かるかんは、今から300年ほど前に、薩摩藩(現在の鹿児島県)で生まれました。
その頃のかるかんは、限られた一部の人しか食べられない高級品で、主に祝いの席などで供されていたそうです。
というのは、当時は、砂糖が貴重品だったから。
薩摩藩では、奄美諸島から買い占めた砂糖を使って、かるかんを作っていたようです。
そうした御用菓子としての時代が長く続き、庶民が普通に食べられるようになったのは、明治以降とされています。
現在では、お菓子売り場の定番商品にもなっていて、観光客だけでなく、地元の人からも愛されています。
さて、そんなかるかんですが、その歴史を語るうえで外せないのが、明石屋本店の存在です。
明石屋本店は、1854年創業の超老舗。
薩摩藩主の島津斉彬公に招かれた明石の製菓職人が開いたお店で、当時のかるかんを改良し、現在のかるかんをつくったと言われています。
こちらが、明石屋本店のかるかんです。
左側の四角いのが、元祖かるかん。
そして、餡を入れて饅頭型にアレンジして作られたのが、右側のかるかん饅頭です。
自然薯・米粉・砂糖だけを原料とした昔ながらのかるかんになっていて、食感がしっとりとしていて柔らかいのが特徴です。
卵白を使わずにこの食感に仕上げるのは自宅ではなかなか難しく、有名店の技を感じます。
手作りする場合は卵白を加えるのがおすすめですが、市販品を色々食べ比べてみて、製法の違いを想像するのもなかなか楽しいものです。
ちなみに、鹿児島のかるかん店としては、薩摩蒸気屋も有名です。
作り方についての補足説明
生長芋と長芋粉の違い
かるかんは、生の長芋ではなく、長芋パウダーで作ることもできます。
ただ、長芋パウダーを使うと、仕上がりがパサつきやすいうえに、色が少し濁ってキレイな白色にならないので、あまりおすすめしません。
かるかん粉を使う場合
このかるかんは、上新粉の代わりに、同量のかるかん粉を使って作ることもできます。
かるかんらしいふんわりとした食感を出しやすいように、ごく一般的な上新粉よりも粒子がやや粗めになっているのが特徴です。
ただ、上新粉もかるかん粉も、どちらも同じ米粉ですし、実際に比較してみると仕上がりの違いはほとんどないので、どちらを使っても構いません。
以上、かるかんのおすすめの作り方についてお伝えしました。
かるかんは、クセがなくて食べやすく、長芋をたっぷりと使っているので、栄養も満点です。
蒸すだけで簡単に本格的なかるかんが作れるので、ぜひ気軽にお試しください。
ところで当サイトでは、鹿児島の郷土料理について、別記事で詳しく解説しています。
次の記事もあわせて参考にしてください。
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